言恋(言語聴覚士ヒューマンシリーズ第6弾)

言葉は、人と人の心をつなぐものです。

「ありがとう。」
「ごめんね。」
「大好き。」

私たちは普段、言葉を当たり前のように口にしています。

しかし、もしある日突然、その言葉が出なくなってしまったら――。

『言恋(ことこい)』は、失語症になった一人の青年と、その恋人、そして言語聴覚士が紡ぐ、静かで優しい恋の物語です。

事故によって失語症となった主人公・蒼は、想いは胸の中にあるにもかかわらず、その想いを言葉にすることができません。

伝えたい。

それなのに、言葉だけが届かない。

そんなもどかしさの中で、蒼はリハビリを続けながら、もう一度、大切な人へ想いを伝える日を目指します。

本作で描きたかったのは、「話せなくなること」ではありません。

伝えたい気持ちは決して失われないということです。

失語症は、言葉を失う障害だと思われがちです。

しかし実際には、頭の中から気持ちや記憶が消えてしまうわけではありません。

言いたいことはある。

相手を想う気持ちもある。

それでも、その言葉へたどり着くことが難しくなる。

私は言語聴覚士として多くの失語症の方と関わってきました。

その中で何度も感じたのは、「話せない人」ではなく、「話したいことがたくさんある人」だということです。

その思いを、小説という形だからこそ伝えられるのではないかと考え、この作品を書きました。

リハビリの様子や失語症という障害を丁寧に描きながらも、物語の中心にあるのは、一人の青年が大切な人へ想いを届けようとする姿です。

舞台は神奈川県・鎌倉。

夕暮れの由比ヶ浜、江ノ電の走る街並み、潮風が吹き抜ける海辺。

ゆっくりと流れる時間の中で、言葉もまた、少しずつ歩み始めます。

作品の中には、こんな言葉が登場します。

「失語症は、言葉を失うのではなく、言葉へ至る道が、少しだけ遠回りになるだけです。」

この一文は、『言恋』という作品全体を象徴する言葉でもあります。

遠回りだからこそ見える景色があります。

遠回りだからこそ伝わる想いがあります。

そして、遠回りしたからこそ、本当に大切な言葉の重みを知ることができます。

失語症をご存じの方にも、初めて知る方にも、恋愛小説として楽しんでいただける一冊になれば幸いです。

読み終えたあと、きっとあなたも、大切な人へ伝えたい言葉を思い浮かべるはずです。

『言恋』は、人生で一番大切な一言を届けるまでの、静かで優しい恋の物語です。

  Amazon販売ページへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です