保育園・幼稚園ではどんな配慮が必要?
園で安心して話せる環境をつくることが大切です
吃音のある子どもにとって、保育園や幼稚園は多くの人と関わり、たくさん話す場所です。
友達との会話や先生への報告、朝の挨拶や発表など、家庭よりも話す機会が増えるため、吃音が目立つこともあります。
そのため、
「園で困っていないだろうか」
「先生にはどのように伝えればよいのだろう」
と心配になる保護者も少なくありません。
園で大切なのは、吃音を無理に減らそうとすることではなく、子どもが安心して自分の気持ちを伝えられる環境をつくることです。
話し方を注意しない
子どもが言葉を繰り返したり、詰まったりすると、
- ゆっくり話して
- 落ち着いて
- 深呼吸して
- もう一度言ってみよう
と声をかけたくなることがあります。
しかし、このような声かけが続くと、子どもが自分の話し方を強く意識することがあります。
話し方を直そうとするよりも、普段どおりに話を聞き、伝えたい内容を受け止めることが大切です。
最後まで話を聞く
子どもが言葉に詰まっているときも、途中で言葉を補ったり、代わりに答えたりせず、最後まで待ちましょう。
目を見つめ続けてプレッシャーを与える必要はありませんが、自然な表情で落ち着いて聞くことが大切です。
話し終わった後は、
- そうだったんだね
- 楽しかったんだね
- 教えてくれてありがとう
など、話し方ではなく内容に反応しましょう。
子どもは、自分の話をきちんと聞いてもらえたと感じやすくなります。
一人ずつ話せるようにする
集団生活では、複数の子どもが同時に話し始めることがあります。
話す順番を急いで取らなければならない状況では、吃音のある子どもが焦りやすくなることがあります。
そのため、
- 一人ずつ順番に話す
- 話している人の話を最後まで聞く
- 手を挙げた順に答える
など、クラス全体に共通するルールをつくるとよいでしょう。
吃音のある子どもだけを特別扱いするのではなく、すべての子どもが話しやすい環境をつくることが大切です。
発表や挨拶を無理に急がせない
朝の会や帰りの会、行事の練習などでは、人前で話す機会があります。
吃音があるからといって、すべての発表を免除する必要はありません。
ただし、
- 本人が強く嫌がっている
- 言葉が出ず、苦しそうにしている
- 発表への不安が非常に強い
という場合は、方法を調整することも必要です。
例えば、
- 先生と一緒に話す
- 少人数の前で発表する
- 短い言葉だけ担当する
- 発表の順番を本人と相談する
などの工夫があります。
参加するかどうかや方法を、子どもの様子に合わせて考えましょう。
答えを急かさない
先生が質問した後、すぐに答えが出ないと、別の子どもを指したくなることがあります。
しかし、吃音のある子どもは、答えが分からないのではなく、言葉が出るまでに時間がかかっている場合があります。
少し待ってから、「ゆっくりで大丈夫だよ」
と安心させるよりも、落ち着いた様子で自然に待つ方が、話し方を意識させにくいことがあります。
必要に応じて、うなずきや指差しなど、話す以外の方法で答えられるようにすることも一つの方法です。
からかいやまねを見過ごさない
園児は悪意がなくても、友達の話し方をまねしたり、笑ったりすることがあります。
先生が笑って一緒に流してしまうと、吃音のある子どもが傷つく可能性があります。
からかいやまねが見られた場合は、
- 人の話し方を笑わない
- 一人ひとり話し方は違う
- 相手の話を最後まで聞く
ということを、クラス全体に分かりやすく伝えましょう。
本人をみんなの前で取り上げるのではなく、日頃から多様な話し方を尊重する雰囲気をつくることが大切です。
子どもが吃音について話したら否定しない
子ども自身が、
- 言葉が出なかった
- うまく話せなかった
- 友達に笑われた
と話すことがあります。
そのとき、
「気にしなくて大丈夫」
「そんなことないよ」
とすぐに否定すると、子どもが自分の気持ちを分かってもらえなかったと感じることがあります。
まずは、
- 話しにくかったんだね
- 嫌な気持ちになったんだね
- 教えてくれてありがとう
と気持ちを受け止めましょう。
そのうえで、先生や保護者と一緒に困った場面への対応を考えることが大切です。
保護者と園で情報を共有する
吃音の程度は、家庭と園で異なることがあります。
家庭ではよく話していても、園では緊張して言葉が出にくいことがあります。反対に、園ではあまり目立たず、家庭で強く出る場合もあります。
そのため、
- どの場面で吃音が出やすいか
- 本人が気にしているか
- 話すことを避けていないか
- からかいや困りごとがないか
などを、保護者と園で共有することが大切です。
吃音の回数だけでなく、子どもの表情や気持ち、園生活への影響も確認しましょう。
園だけで判断せず専門家と連携する
吃音が長く続いている場合や、子どもが話すことを嫌がっている場合は、言語聴覚士などの専門家に相談することがあります。
専門家から助言を受けている場合は、保護者の同意を得たうえで、園でも対応方法を共有するとよいでしょう。
家庭、園、専門家が同じ方向で関わることで、子どもが混乱しにくくなります。
特別な対応を増やしすぎない
配慮は必要ですが、何でも先回りして話す機会を減らしてしまうと、子どもが自分で伝える経験を失うことがあります。
大切なのは、
- 無理に話させない
- すべての発言を避けさせない
- 本人の気持ちを確認する
- 必要な場面だけ方法を調整する
というバランスです。
吃音があることだけで活動を制限せず、安心して参加できる方法を一緒に考えましょう。
まとめ
保育園や幼稚園では、吃音を無理に直そうとするのではなく、子どもが安心して話せる環境をつくることが大切です。
話し方を注意せず、最後まで話を聞き、発表や挨拶は本人の様子に合わせて方法を調整しましょう。
また、からかいやまねを見過ごさず、クラス全体で相手の話を大切にする雰囲気をつくることも重要です。
保護者と園が日頃の様子を共有し、必要に応じて言語聴覚士などの専門家と連携することで、子どもが安心して園生活を送れるようになります。

