怒りっぽいときの対応方法
高次脳機能障害になると、
- 以前より怒りっぽくなった
- 些細なことでイライラする
- 感情を爆発させてしまう
- 急に大声を出すようになった
など、感情の変化がみられることがあります。
ご家族は、
- 「どうしてこんなに怒るの?」
- 「前は穏やかな人だったのに……」
- 「どう接したらいいか分からない」
と戸惑うことも少なくありません。
怒りっぽくなると、ご本人もご家族もつらい思いをします。
しかし、高次脳機能障害では、脳の障害によって感情をコントロールする力が低下していることがあります。
この記事では、怒りっぽくなったときの原因や、ご家族ができる対応について解説します。
怒りっぽくなるのは脳の障害が影響していることがある
感情をコントロールする働きには、脳の前頭葉が大きく関わっています。
前頭葉が損傷すると、
- イライラしやすい
- 衝動的に行動する
- 感情を抑えにくい
といった症状が現れることがあります。
そのため、ご本人も「怒りたくて怒っている」わけではない場合があります。
まずは、「性格の問題ではなく、障害の影響かもしれない」という視点を持つことが大切です。
「怒らせない」より「怒るきっかけを知る」
怒りを完全になくすことは難しいかもしれません。
しかし、どのような場面で怒りやすいのかを知ることはできます。
例えば、
- 疲れているとき
- 予定が急に変わったとき
- 思い通りにできなかったとき
- 人が多くて疲れたとき
などです。
怒るきっかけが分かれば、その状況を避けたり、事前に準備したりすることができます。
感情的に言い返さない
怒鳴られたり強い口調で言われたりすると、つい言い返したくなることもあるでしょう。
しかし、感情的に反応すると、お互いの気持ちが高ぶり、さらに状況が悪化することがあります。
まずは落ち着いた声で、「少し休みましょう。」「あとでゆっくり話しましょう。」と伝え、距離を置くことも大切です。
否定せず気持ちを受け止める
怒っている内容よりも、まずは気持ちを受け止めることが大切です。
例えば、「そんなことで怒らないで。」ではなく、
「嫌な気持ちだったんですね。」「困っていたんですね。」と伝えることで、ご本人も落ち着きやすくなることがあります。
気持ちを理解してもらえたと感じることが、安心につながります。
一度にたくさん説明しない
怒っているときは、冷静に話を聞くことが難しくなっています。
そのため、長い説明や説得は逆効果になることがあります。
まずは、短く分かりやすく伝え、落ち着いてから必要な話をするようにしましょう。
疲れているときは無理をしない
高次脳機能障害では、疲れると感情のコントロールが難しくなる方も少なくありません。
最近怒りやすくなったと感じたら、
- 睡眠は十分か
- 活動量が多すぎないか
- 休憩が取れているか
を見直してみましょう。
無理を減らすだけでも、気持ちが安定しやすくなることがあります。
落ち着いた後に一緒に振り返る
怒っている最中ではなく、落ち着いてから、
「何が嫌だったかな?」「次はどうしたらよさそうかな?」と一緒に振り返ることも大切です。
ご本人自身が、怒りのきっかけや対処法に気づけることがあります。
家族だけで抱え込まない
怒りっぽい状態が続くと、ご家族も心身ともに疲れてしまいます。
「自分の接し方が悪いのでは」と責める必要はありません。
困ったときは、
- 主治医
- 言語聴覚士
- 作業療法士
- 公認心理師
- 高次脳機能障害支援拠点
などへ相談しましょう。
第三者と一緒に対応方法を考えることで、ご家族の負担が軽くなることもあります。
身の危険を感じるときは安全を優先する
大きな声を出したり、物を投げたりするなど、
ご本人や周囲の安全が脅かされるような状況では、無理に説得しようとしないことが大切です。
まずは距離を取り、安全を確保しましょう。
そのような状況が繰り返される場合は、早めに主治医へ相談してください。
適切な治療や支援方法について検討することが必要になる場合があります。
怒りだけではなく「困っている気持ち」に目を向ける
怒りの背景には、
- うまく伝えられない
- 思うようにできない
- 自信を失っている
といった気持ちが隠れていることがあります。
怒っている姿だけを見るのではなく、
「何に困っているのだろう」という視点で関わることが、ご本人への理解につながります。
まとめ
高次脳機能障害では、脳の障害によって感情のコントロールが難しくなり、怒りっぽくなることがあります。
そのようなときは、感情的に言い返すのではなく、まずは落ち着いて気持ちを受け止めることが大切です。
また、疲れや環境の変化など、怒りのきっかけを知ることで予防できる場合もあります。
ご家族だけで抱え込まず、困ったときは専門職に相談しながら、ご本人もご家族も安心して生活できる方法を一緒に考えていきましょう。

