吃音に対して言語聴覚士はどのように支援する?
言語聴覚士は一人ひとりに合った支援を行います
吃音のある人に対して、言語聴覚士(ST)はどのような支援を行うのでしょうか。
「発音の練習をするの?」
「どもらないように話す練習だけをするの?」
と思われる方もいるかもしれません。
しかし、現在の吃音支援では、話し方だけでなく、本人の気持ちや日常生活での困りごとまで含めて支援することが大切と考えられています。
吃音の現れ方や困りごとは一人ひとり異なるため、支援の内容もそれぞれ違います。
まずは困りごとを一緒に整理する
支援では、最初に本人や家族から詳しく話を聞きます。
例えば、
- どんな場面で吃音が出やすいか
- 一番困っていることは何か
- 学校や仕事への影響
- 話すことへの不安
などを確認します。
言語聴覚士は、話し方だけを見るのではなく、「その人がどんな生活を送りたいのか」という目標も大切にしています。
吃音について正しく理解できるよう支援する
吃音について誤った情報を持っていると、
- 「自分の努力が足りない」
- 「もっと頑張れば話せるはず」
と自分を責めてしまうことがあります。
言語聴覚士は、
- 吃音が起こる仕組み
- 現在わかっている原因
- 症状の特徴
- 今後の見通し
などをわかりやすく説明します。
正しい知識を持つことで、不安や誤解を減らすことにつながります。
話し方の工夫を一緒に考える
必要に応じて、話しやすくするための方法を練習します。
例えば、
- 呼吸を整える
- 力を入れすぎずに話す
- ゆったりしたペースで話す
などです。
ただし、「この方法なら必ずどもらなくなる」というものではありません。
本人が話しやすい方法を一緒に探していくことが大切です。
話すことへの不安を軽くする
吃音では、
- 「またどもるかもしれない」
- 「笑われたらどうしよう」
という不安が強くなることがあります。
言語聴覚士は、
- 不安な気持ちを整理する
- 苦手な場面を一緒に考える
- 成功体験を積み重ねる
などを通して、話すことへの自信を育てていきます。
回避行動への支援
吃音がある人は、
- 電話を避ける
- 発表を断る
- 注文を家族に頼む
などの回避行動が増えることがあります。
回避行動が続くと、「やっぱり自分は話せない」という気持ちが強くなることがあります。
そのため、言語聴覚士は、本人のペースに合わせながら、「少しなら挑戦できそう」
という場面を一緒に考え、小さな成功体験を積み重ねていきます。
家族への支援も大切
幼児や学童期では、家族への支援も重要です。
例えば、
- 子どもの話を最後まで聞く
- 話を急がせない
- 話し方ではなく内容に注目する
など、家庭での関わり方について助言を行います。
保護者が安心して接することは、子どもにとっても大きな安心につながります。
学校や職場との連携
必要に応じて、学校や職場と連携することもあります。
例えば、
学校では
- 音読や発表の方法を工夫する
- 話す時間に余裕を持つ
- 無理に発表を求めない
職場では
- 電話対応について相談する
- 会議で発言しやすい環境を整える
- 周囲に吃音への理解を促す
など、一人ひとりに合った配慮を一緒に考えます。
「どもらないこと」だけを目標にしない
現在の吃音支援では、「どもらないこと」だけを目標にすることは少なくなっています。
それよりも、
- 話したいことを伝えられる
- 必要な場面で安心して話せる
- 吃音があっても自分らしく生活できる
ことを大切にしています。
吃音が少し残っていても、自分らしく生活できることは十分に可能です。
一人ひとり違う支援が必要
吃音は、
- 年齢
- 症状
- 困っている場面
- 性格
- 生活環境
によって支援方法が異なります。
そのため、「みんな同じリハビリ」ではなく、一人ひとりに合わせた支援を行うことが、言語聴覚士の大切な役割です。
まとめ
言語聴覚士は、吃音の話し方だけではなく、本人の気持ちや生活での困りごと、学校や仕事への影響まで含めて支援を行います。話し方の工夫を学ぶだけでなく、不安への対応や回避行動への支援、家族や学校・職場との連携も重要な役割です。
現在の吃音支援では、「どもらないこと」だけを目標にするのではなく、吃音があっても安心して話し、自分らしく生活できることを目指しています。

