祖父母にも子どもの発音について伝えた方がいい?
「子どもが構音訓練を受けていることを祖父母にも話した方がいい?」「祖父母が発音を何度も言い直させるのですが、どう伝えればいいでしょうか?」
子どもの発音について相談や構音訓練を始めると、同居している祖父母や、よく会う祖父母にも伝えるべきか迷うことがあります。
すべての親戚に詳しく説明する必要はありませんが、子どもと接する機会が多い祖父母には、発音の状態と家庭での関わり方を簡単に共有しておくとよいでしょう。
特に重要なのは、診断名や専門用語を詳しく説明することより、「発音を間違えたときにどう接してほしいか」を具体的に伝えることです。
よく会う祖父母には伝えておくとよい
祖父母と頻繁に会う場合や同居している場合には、発音について簡単に共有しておくと対応をそろえやすくなります。
例えば、
「今、『さ』の発音を練習しているところなんだ」
「普段の会話では、間違えても毎回直さなくて大丈夫だよ」
と伝えます。
発音の状態を知らなければ、祖父母は「間違っているから教えてあげよう」と考えて、何度も言い直させることがあります。
詳しい専門用語まで説明する必要はない
構音障害について伝えるときに、
「置換があって……」
「側音化構音で……」
など、専門的な説明をする必要は必ずしもありません。
例えば、
「この音が少し言いにくくて、今練習しているよ」
「本人がふざけて言っているわけではないんだ」
という程度でも十分なことがあります。
祖父母に知ってもらいたいのは、子どもがどのような状態で、どのように接してほしいのかという点です。
「ちゃんと言って」と言わないようお願いする
発音が不明瞭だと、
「もっとゆっくり言いなさい」
「ちゃんと話して」
「もう一回言ってみて」
と声をかけることがあります。
しかし、構音そのものに難しさがある場合には、「ちゃんと」と言われても正しい発音にはならないことがあります。
そのため、「何度も言い直させなくて大丈夫」とあらかじめ伝えておくとよいでしょう。
発音をかわいがって真似する場合にも注意
幼い子どもの発音を、「かわいいね」と感じる祖父母も多いでしょう。
例えば子どもが「さかな」を「たかな」と言うと、「そうだね、たかなだね」と同じ発音を真似することがあります。
悪意があるわけではありませんが、本人が発音を意識する年齢になると、真似されることを嫌がる場合があります。
「かわいい言い方だけど、今は正しい音を練習しているから、普通の発音で返してあげてね」
と伝えると分かりやすいでしょう。
「まだ言えないの?」という言葉にも気をつける
祖父母の世代から、
「○歳なのに、まだ言えないの?」
「お父さんはその年にはちゃんと話していたよ」
などと言われることがあります。
発音の発達には個人差があります。また、構音障害がある場合には、単純に年齢だけで比較できません。
本人の前でほかの子どもや家族の幼少期と比較することは避けてもらうとよいでしょう。
正しい発音を自然に返してもらう
祖父母にも簡単な対応方法を伝えておくと安心です。
例えば、
子ども:「たかながいる!」
祖父母:「さかながいるね」
という返し方です。
「違うよ」と指摘したり、言い直させたりせず、正しいことばを自然に使って会話を続けます。
そのまま、「どんな魚?」「大きいね」と話題を広げてもらえば十分です。
発音より話の内容を聞いてもらう
祖父母には、「発音より、何を話しているかを聞いてあげて」と伝えるのもよいでしょう。
子どもが祖父母に、
「幼稚園でこんなことがあった」
「今日こんなものを見つけた」
と話す時間は、大切なコミュニケーションの機会です。
発音を一つひとつ訂正するより、話の内容に興味を持ってもらう方が自然な会話につながります。
聞き取れないときの対応も共有する
発音が不明瞭で、祖父母が聞き取れないこともあります。
その場合には、
「ごめんね、もう一回教えて」
「○○のことかな?」
「どっち?指さして教えて」
など、子どもが伝えやすい方法を使ってもらいます。
何度も「もう一回」と言わせるのではなく、選択肢や指さしなども利用するとよいでしょう。
構音訓練の先生役になってもらう必要はない
熱心な祖父母ほど、「私も練習させてあげよう」と考えることがあります。
しかし、祖父母が独自に舌の位置を教えたり、難しい単語を何度も言わせたりする必要はありません。
構音訓練を受けているのであれば、家庭練習は言語聴覚士などから示された内容を中心に行います。
祖父母には、訓練の先生ではなく、安心して話せる会話相手になってもらうことが大切です。
家庭練習を手伝ってもらう場合は?
祖父母が日常的に子どもの世話をしている場合には、家庭練習をお願いすることもあるでしょう。
その場合には、
- 練習する音や単語
- 1回の練習時間
- どのように声をかけるか
- 間違えたときにどうするか
などを具体的に共有します。
「発音を練習しておいて」だけでは、祖父母が自己流で何度も反復させてしまうことがあります。
祖父母と保護者で対応が違っても大丈夫?
できれば、基本的な方針はそろえておくとよいでしょう。
例えば家庭では言い直させていないのに、祖父母宅へ行くたびに、
「違うよ」
「もう一回」
と言われると、子どもが戸惑うことがあります。
細かな対応まですべて統一する必要はありませんが、
間違いをからかわない
毎回言い直させない
普段は会話の内容を大切にする
といった基本的な考え方は共有しておくとよいでしょう。
本人が発音を気にしている場合は特に共有する
子ども自身が、「うまく言えない」「発音を笑われるのが嫌」などと話している場合には、祖父母にも伝えておくことが大切です。
「本人も少し気にしているから、発音のことはあまり話題にしないでね」
と具体的に伝えます。
本人の前で、「この子、まだ『さ』が言えないんですよ」などと大人同士で話すことにも配慮しましょう。
親戚全員に説明する必要はない
発音について誰まで伝えるかに決まりはありません。
年に一度しか会わない親戚まで詳しく説明する必要はないでしょう。
一方で、
- 同居している
- 頻繁に会う
- 子どもを預けることがある
- 発音についてよく指摘する
といった人には、簡単に共有しておくとよいでしょう。
子どもとの関わりの多さを基準に考えると分かりやすくなります。
祖父母への伝え方の例
難しく説明する必要はありません。
例えば、
「今、『さ』の発音が少し難しくて練習しているんだ。普段は間違っても毎回直さなくて大丈夫だよ。『たかな』って言ったら、『さかなだね』って普通に返してあげて。本人が話している内容を聞いてくれれば十分だよ」
といった伝え方ができます。
「○○しないで」と禁止するだけでなく、代わりにどうしてほしいかまで伝えることがポイントです。
家族みんなが安心して話せる環境をつくる
構音障害への対応は、保護者だけが行うものではありません。
子どもと日常的に関わる家族が、
「発音を笑わない」
「間違いを必要以上に指摘しない」
「話している内容を聞く」
という共通した姿勢を持つことで、子どもが安心して話しやすくなります。
祖父母にも構音訓練について詳しく理解してもらうことより、こうした基本的な関わり方を共有することが重要です。
まとめ
子どもと頻繁に関わる祖父母には、発音について簡単に伝えておくとよいでしょう。
ただし、専門用語を使って構音障害を詳しく説明する必要はありません。
伝えておきたいのは、
- 発音をわざと間違えているわけではない
- 毎回言い直させなくてよい
- 発音を笑ったり真似したりしない
- 正しいことばを自然に返す
- 発音より話の内容を聞く
- 家庭練習は決められた方法で行う
といったことです。
特に、「何をしないでほしいか」だけでなく、「代わりにどう接してほしいか」まで伝えると、祖父母も対応しやすくなります。
構音訓練の先生になってもらう必要はありません。祖父母には、発音が少し不明瞭でも、子どもが安心してたくさん話せる相手でいてもらうことが何より大切です。

