きょうだいが発音の間違いを指摘するときはどうする?

「お兄ちゃんが、弟の発音を毎回直してしまいます」「お姉ちゃんが『また間違えた』と言うのですが、止めた方がいいでしょうか?」

子どもの発音に誤りがあると、保護者だけでなく、きょうだいが気付くことがあります。特に年上のきょうだいは正しい発音が分かるため、「違うよ」「○○って言うんだよ」と教えようとすることがあります。

悪気があるとは限らず、「正しい言い方を教えてあげたい」という気持ちから指摘している場合もあります。

しかし、家庭で発音を間違えるたびにきょうだいから指摘される状況は、できるだけ避けた方がよいでしょう。

今回は、きょうだいが発音の間違いを指摘するときの対応について解説します。


まず「教えてくれようとしたんだね」と受け止める

きょうだいが、「違うよ!『たかな』じゃなくて『さかな』だよ!」と言ったとき、すぐに、

「そんなこと言わないの!」と強く叱る必要はありません。

本人はからかっているのではなく、正しいことばを教えようとしている可能性もあります。

その場合には、「正しい言い方を教えてあげようと思ったんだね。でも、毎回直さなくても大丈夫だよ」と説明するとよいでしょう。

きょうだいの意図を受け止めたうえで、どのように関わればよいのかを伝えます。


なぜ毎回直さなくてよいのか説明する

年上のきょうだいであれば、簡単に理由を説明することもできます。

例えば、

「○○ちゃんは今、この音を練習している途中なんだよ」

「間違えていることが分かっていても、まだうまく言えないことがあるんだよ」

と伝えます。

発音は、「間違っていると教えればすぐ直せるもの」とは限りません。

そのことを家族みんなが理解しておくと、必要以上の指摘を減らしやすくなります。


「違うよ」ではなく正しいことばで返す

きょうだいにも、保護者と同じような返し方を教えることができます。

例えば、

弟:「たかながいる!」

兄:「『たかな』じゃなくて『さかな』だよ!」

ではなく、

弟:「たかながいる!」

兄:「ほんとだ、さかながいるね」

という形です。

わざわざ間違いを指摘しなくても、自然な会話の中で正しいことばを返すことができます。


発音より「何を話しているか」を聞いてもらう

きょうだいには、「言い方を直すより、何を話しているのか聞いてあげてね」と伝えるのもよいでしょう。

例えば弟が、「きょう、たかな見た!」と言ったら、「どこで見たの?」と話を続けます。

発音の正確さではなく、話している内容に反応することで、自然なきょうだい同士のコミュニケーションになります。


面白がって真似する場合は止める

「正しい発音を教える」のとは違い、誤った発音を面白がって真似する場合には、大人が止めた方がよいでしょう。

例えば、

「また『たかな』って言った!」

「たかな、たかな!」

と笑いながら繰り返すような場合です。

そのときは、「発音のことを笑ったり、真似したりするのはやめよう」と伝えます。

本人が笑っていたとしても、繰り返されるうちに嫌になることがあります。


「赤ちゃんみたい」などの言葉にも注意する

きょうだい同士では、

「そんな言い方、赤ちゃんみたい」

「まだ○○も言えないの?」

といった言葉が出ることがあります。

発音の違いを能力や年齢と結びつける言い方は避けたいところです。

「発音には得意な音と難しい音があるんだよ」など、子どもにも分かりやすく説明するとよいでしょう。


きょうだいを「先生役」にしすぎない

年上のきょうだいが発音練習に興味を持ち、

「私が教えてあげる!」と言うこともあります。

一緒に遊びながら練習する程度ならよい場合もありますが、毎日きょうだいが発音をチェックするような関係にはしない方がよいでしょう。

きょうだいは、構音訓練の指導者ではありません。

発音を教える役割より、一緒に遊んだり話したりする相手であることを大切にします。


発音練習に参加するならルールを決める

家庭練習にきょうだいが参加したい場合には、簡単なルールを決める方法があります。

例えば、

  • 練習するのは決めた時間だけ
  • 間違えても笑わない
  • 何度も言い直させない
  • 言語聴覚士から教わった課題だけ行う
  • 練習が終わったら普通に遊ぶ

といったルールです。

神経衰弱や絵カードなどを使い、きょうだいで交互に発音する方法もあります。


年下のきょうだいが真似する場合は?

年下のきょうだいが、兄や姉の発音をそのまま真似することもあります。

その場合にも、「その言い方はダメ」と強く注意する必要はありません。

大人が自然に正しいことばを使って話しかけます。

例えば、

子ども:「たかな!」

保護者:「そうだね、さかなだね」

というように、正しいモデルを示します。


きょうだいが「どうして言えないの?」と聞いたら

発音の違いについて質問されることもあります。

その場合には、

「舌の動かし方が少し難しい音なんだよ」

「今、上手に言えるように練習しているところだよ」

など、簡単に説明するとよいでしょう。

「発音が下手だから」「ちゃんと練習していないから」といった説明は避けます。

発音には発達の段階や個人差があることを伝えましょう。


本人が嫌がっているか確認する

きょうだいから発音を指摘されても、本人があまり気にしていないこともあります。

一方で、表面上は笑っていても、「お兄ちゃんに言われるの嫌」と思っていることもあります。

発音の指摘が続いている場合には、「発音のこと言われるの、どう?」と本人の気持ちを聞いてみてもよいでしょう。

嫌がっているのであれば、家族で対応を統一します。


保護者自身の関わり方も影響する

きょうだいは、大人の行動をよく見ています。

保護者が毎回、

「違うよ」

「もう一回言って」

「ちゃんと発音して」

と訂正していると、きょうだいも同じように対応することがあります。

反対に、保護者が、

子ども:「たかながいた」

保護者:「さかながいたんだね」

と自然に返していれば、きょうだいも同じ関わり方を覚えやすくなります。


家族でルールを共有する

構音訓練を受けている場合には、家庭内で簡単なルールを決めておくと分かりやすくなります。

例えば、

普段の会話では発音を毎回直さない
間違いを笑ったり真似したりしない
発音練習は決めた時間だけ行う
普段は話している内容を聞く

といったルールです。

保護者だけでなく、きょうだいや祖父母なども同じ対応ができると、子どもも安心して話しやすくなります。


きょうだいにも「聞き役」になってもらう

きょうだいにお願いしたいのは、「発音を直す先生」になることではありません。

「今日何して遊んだの?」

「それ面白そう!」

「一緒にやろう!」

と自然に会話する相手でいてもらうことです。

子どもにとって、きょうだいとのやり取りは家庭内の大切なコミュニケーションの機会です。

発音が多少不明瞭でも、たくさん話したり遊んだりできる関係を守ることを優先しましょう。


まとめ

きょうだいが発音の間違いを指摘するとき、まず「悪いことをしている」と決めつける必要はありません。

「正しい言い方を教えてあげたい」という気持ちから、

「違うよ。○○だよ」と指摘していることもあります。

その場合には、「教えてあげようと思ったんだね。でも、毎回直さなくても大丈夫だよ」と伝えましょう。

そして、

子ども:「たかながいた!」

きょうだい:「さかながいたんだね」

というように、間違いを指摘せず、正しいことばで自然に返す方法を教えることもできます。

一方、発音を面白がって真似したり、「赤ちゃんみたい」とからかったりする場合には、大人が止めることが大切です。

きょうだいに求めたいのは、発音を直す「先生役」ではありません。

一緒に遊び、話を聞き、安心してコミュニケーションできる相手でいてもらうことが大切です。

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