息の出し方を使った構音訓練とは?

「発音の練習なのに、どうして息を出す練習をするのでしょうか?」

構音訓練では、舌や唇の位置だけでなく、息をどのように出すかを練習することがあります。

特に「さ行」のような摩擦音では、舌と上あごなどで狭い通り道をつくり、そこへ息を流すことで音が生まれます。そのため、舌の位置がある程度合っていても、息の流れが適切でなければ正しい音にならないことがあります。

この記事では、息の出し方を使った構音訓練について、どのような目的で、どのように行うのかを解説します。


発音には「息」が必要

私たちが話すとき、肺から送り出された息が喉を通り、舌や唇などによって調整されることで、さまざまな音がつくられます。

例えば「ぱ」では、いったん閉じた唇を開きながら息を出します。

「さ」では、舌と上あごなどでつくった狭い通り道に息を流します。

このように、音によって息の使い方が異なります。


「さ行」では息の流れが重要

「さ行」の発音では、息の流れが特に重要になります。

例えば「さ」では、舌先を上の歯の裏側付近に近づけ、狭いすき間をつくります。そこへ息が流れることで「スー」という摩擦の成分が生まれます。

舌が完全に接触して息を一度せき止めてしまうと、「た」に近い音になることがあります。

そのため、「さ→た」のような誤りがある場合には、舌の位置とともに息の流し方を練習することがあります。


まず「息だけ」を出してみることもある

いきなり「さ」と言わせるのではなく、まず息を出す練習から始める場合があります。

例えば、「スーッと息を出してみよう」と促し、細く持続的に息を出す感覚をつくります。

正しい息の流れができたら、そこへ少しずつ音を組み合わせていきます。


手を使って息を感じる

息は目では見えません。

そこで、自分の手を口の前に置いて、「息が出ているかな?」と確認することがあります。

子ども自身が息を感じることで、発音するときにどのような空気の流れがあるのか理解しやすくなります。


ティッシュなどを使うこともある

息の流れを分かりやすくするため、軽い紙やティッシュなどを利用することもあります。

息を出すと紙が動くため、目では見えない息を視覚的に確認できます。

ただし、強く吹くこと自体が目的ではありません。

目的となる音に必要な息の流れを理解するための手掛かりとして利用します。


息を「強く」出せばよいわけではない

発音練習で息を使うというと、「強く吹く練習をすればいいの?」と思うかもしれません。

しかし、重要なのは息の強さだけではありません。

  • どの方向へ流れるか
  • どのくらいの幅で流れるか
  • 持続して出せるか
  • 舌や唇の状態と合っているか

などが関係します。

強い息を出せても、正しい構音につながるとは限りません。


舌の位置と息を組み合わせる

構音訓練では、息だけを練習して終わるわけではありません。

例えば「さ行」であれば、

舌の位置をつくる

狭い通り道へ息を流す

摩擦する音をつくる

母音と組み合わせる

というように、実際の発音へつなげていきます。

舌と息を別々に練習した後、最終的には一つの動きとして組み合わせます。


息が横へ漏れている場合もある

発音の歪みによっては、息が口の中央ではなく横方向へ流れていることがあります。

例えば側音化構音では、舌の使い方や息の流れが通常とは異なり、独特な音に聞こえることがあります。

このような場合には、単純に「もっと息を出そう」と練習するのではなく、舌の形や位置と合わせて息の通り道を調整することが必要です。


鼻から息が漏れている場合は注意が必要

発音するときに、本来は口から出るはずの息が鼻へ多く漏れている場合もあります。

特に口蓋裂や鼻咽腔閉鎖機能不全などがある場合には、口の中に十分な圧力をつくれないことがあります。

この場合、息を吹く練習だけで改善するとは限りません。

必要に応じて医療機関で鼻咽腔閉鎖機能などを評価することが重要です。


ストローや吹く遊びをすれば発音は良くなる?

ストローで吹く、風車を回す、シャボン玉を吹くといった遊びが発音練習として紹介されることがあります。

こうした活動は、息を意識するきっかけとして利用されることはあります。

ただし、吹く動作と実際の発音は同じ運動ではありません。

そのため、吹く練習をたくさん行えば構音障害が改善するとは限りません。

構音訓練では、最終的に実際の発音へ直接つなげていくことが重要です。


正しい音が出たら息の感覚を確認する

訓練中に正しい音が出たときには、「今、息はどう出ていた?」「手に息を感じた?」などと確認することがあります。

子ども自身が正しい発音の感覚を覚えることで、次も同じ音を再現しやすくなります。


最終的には息を意識しなくてもよい

訓練の初期には、「息を前に出そう」などと意識して練習することがあります。

しかし、日常会話で一音ずつ息の方向を考えて話すわけではありません。

そのため、正しい音が安定してきたら、

息を意識して発音する → 手掛かりを減らす → 自然に発音する

というように進めていきます。


家庭で息の練習をするときは?

家庭では、言語聴覚士から具体的な方法を教えてもらっている場合に、その方法で練習するのが基本です。

「息を強く出せば発音がよくなる」と考えて、吹く遊びだけを長時間行う必要はありません。

また、子どもの誤り方によって必要な練習は異なります。

家庭では専門家から示された課題を短時間行い、それ以外では普段どおり会話を楽しむことが大切です。


まとめ

構音訓練では、正しい音をつくるために息の出し方を練習することがあります。

特に「さ行」のような摩擦音では、適切な舌の位置をつくり、狭い通り道へ息を流すことが重要です。

訓練では、手やティッシュなどを使って息を感じたり、息だけを出したりしながら、少しずつ実際の発音へつなげることがあります。

ただし、単に強く息を吹けばよいわけではありません。吹く遊びを繰り返すだけで構音障害が改善するとも限りません。

大切なのは、目的となる音に必要な舌や唇の動きと、適切な息の流れを組み合わせることです。

正しい音が安定してきたら、息を意識するための手掛かりを少しずつ減らし、最終的には普段の会話でも自然に発音できる状態を目指します。

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