発音のことで友達に何か言われたとき家庭でできること

「友達に発音を真似された」

「『言い方が変』と言われた」

「聞き返されることが続いて、子どもが気にしている」

構音に難しさがある子どもでは、園や学校で友達から発音について何か言われることがあります。

一度言われただけで強く傷つくとは限りませんが、本人が気にしていたり、からかいが繰り返されていたりする場合には、家庭でも丁寧に対応することが大切です。

家庭でまず意識したいのは、「正しく発音できるようにすれば解決する」と考えるのではなく、子どもの気持ちを受け止め、必要に応じて園や学校と連携することです。

この記事では、発音のことで友達に何か言われたときに家庭でできることを解説します。


まず何があったのかを聞く

子どもが、「今日、発音のこと言われた」と話したら、まず何があったのかを確認します。

例えば、

  • 誰に言われたのか
  • 何と言われたのか
  • 一度だけだったのか
  • 何度も続いているのか
  • そのとき本人はどう感じたのか

などです。

ただし、細かく問い詰める必要はありません。

本人が話せる範囲で聞きましょう。


「そんなの気にしなくていい」で終わらせない

保護者としては、「そんなこと気にしなくていいよ」と励ましたくなるかもしれません。

しかし、本人が嫌だったのであれば、その気持ちは実際にあります。

まず、

「そんなことを言われたんだね」

「嫌だったんだね」

と受け止めることが大切です。

そのうえで、今後どうしたらよいかを一緒に考えます。


子どもの気持ちを決めつけない

反対に、

「それはいじめだよ!」

「すごく傷ついたでしょう?」

と大人が先に意味づけしすぎることにも注意します。

子ども自身は、それほど気にしていない場合もあります。

大切なのは、「あなたはどう思った?」と本人の感じ方を確認することです。


「発音が悪いから言われた」と本人の責任にしない

友達から発音について何か言われたとき、

「もっと練習しないとね」

「ちゃんと言えるようになれば言われないよ」

と返すことは避けたいところです。

このように言われると、子どもが、「自分の発音が悪いからからかわれた」と受け止める可能性があります。

発音の練習が必要なことと、周囲が発音をからかうことは別の問題です。


「あなたが悪いわけではない」とシンプルに伝える

本人が落ち込んでいる場合には、

「言いにくい音があることは悪いことじゃないよ」

「今、少しずつ練習しているところだね」

と伝えてもよいでしょう。

発音を理由に自分自身まで否定的に感じないようにすることが大切です。


一度言われただけなら様子を見ることもある

友達が単純に、「なんでそういう言い方なの?」と疑問に思って聞いただけの場合もあります。

また、子ども同士で発音の違いに気付いて、一度話題になっただけということもあります。

本人が特に困っておらず、その後続いていないのであれば、すぐ大きな対応をする必要がない場合もあります。


繰り返し真似されたり笑われたりしているなら対応する

一方、

  • 発音を繰り返し真似される
  • 「変な話し方」と言われる
  • 笑われる
  • 発音を使ってあだ名を付けられる

などが続いている場合には、家庭だけで解決しようとせず、園や学校へ伝えましょう。

子ども本人に、「自分で言い返して」と任せきりにする必要はありません。


園や学校には具体的に伝える

先生へ相談するときには、「発音のことで少し心配です」だけではなく、

「本人から、○○と言われたと聞いています」

「何度か発音を真似されているようです」

「最近、人前で話したがらなくなっています」

など、分かっている範囲で具体的に伝えます。

先生が園や学校での状況を確認しやすくなります。


先生に発音を直してもらうことが解決ではない

友達から発音について言われたからといって、園や学校で、

「正しく言えるまで何度も練習させてください」とお願いする必要はありません。

問題が友達からのからかいであれば、必要なのは構音訓練だけではなく、子どもが安心して話せる集団環境をつくることです。

発音の訓練と、園・学校での環境調整は分けて考えます。


子どもと返し方を考えておく

本人が望む場合には、友達に何と言えばよいか一緒に考えることもできます。

例えば、

「今、発音を練習しているんだ」

「そういう言い方されるの嫌だよ」

「真似しないで」

など、本人が言いやすい短いことばを考えます。

ただし、必ず本人が自分で言い返さなければならないわけではありません。

難しい場合には、大人に助けを求めてよいことも伝えます。


「先生に言っていい」と伝える

子どもによっては、「先生に言ったら告げ口になる」と考えることがあります。

その場合には、「嫌なことが続いたら先生に話していいんだよ」と伝えましょう。

発音について何か言われて困っているのであれば、大人へ助けを求めることは適切な行動です。


家庭では発音の話題ばかりにしない

友達に指摘されたことを知ると、保護者も発音が気になり、

「今日はちゃんと言えた?」

「学校でまた何か言われなかった?」

と毎日確認したくなるかもしれません。

しかし、家庭でも発音の話題が続くと、本人がさらに意識することがあります。

必要な確認をした後は、普段どおりの家庭生活を大切にしましょう。


家庭での構音訓練を急に増やさない

友達から何か言われたことをきっかけに、

「早く治さなければ」と家庭練習を増やす必要はありません。

構音訓練は、その子の現在の段階に合わせて進めることが大切です。

家庭練習の量や内容を変更したい場合には、担当の言語聴覚士などに相談するとよいでしょう。


子どもが「言いたくない」と言ったら

発音について言われた後、

「もう学校で話したくない」

「発表したくない」

と言うことがあります。

その場合には、「そんなこと言わずに話しなさい」と無理に促すのではなく、

「人前で話すのが嫌になったんだね」と気持ちを聞きます。

どの場面が特に負担なのかを確認し、必要に応じて学校へ相談します。


話しやすい場面を残しておく

学校で発音を気にするようになっても、家庭では安心して自由に話せることが大切です。

家族との会話で発音を細かく訂正せず、

「それでどうなったの?」

「もっと教えて」

と内容に反応します。

「ここでは発音を気にせず話していい」と感じられる場所を残しておくことが重要です。


発音が正しくなればすべて解決するとは限らない

構音訓練によって発音が改善することは、本人のコミュニケーションを助ける可能性があります。

しかし、「発音さえ治れば友達との問題も解決する」とは限りません。

からかいや人間関係への対応は、それ自体を別に考える必要があります。

子どもの発音を治すことだけに責任を負わせないことが大切です。


本人が気にしていないなら必要以上に問題化しない

友達から、「その言い方ちょっと違うね」と言われても、本人が、

「そうなんだよ」と気にせず会話を続けていることもあります。

その場合、大人が必要以上に心配し、

「大丈夫だった?」

「傷つかなかった?」

と何度も確認する必要はありません。

本人の反応を見ながら対応しましょう。


言語聴覚士にも共有する

構音訓練を受けている場合には、「最近、友達から発音について言われて本人が気にしています」と担当者へ伝えるとよいでしょう。

発音の状態だけでなく、本人の気持ちや学校生活への影響も含めて、今後の訓練や支援方法を考えることができます。


こんな変化があれば早めに相談する

発音について友達から何か言われた後に、

  • 学校へ行きたがらない
  • 人前で話さなくなった
  • 声が極端に小さくなった
  • 発表や音読を強く嫌がる
  • 言いにくいことばを避ける
  • 発音について何度も不安を訴える
  • からかいが繰り返されている

といった変化がみられる場合には、早めに園・学校や専門家へ相談するとよいでしょう。

発音そのものだけでなく、生活への影響を見ることが重要です。


家庭でできることを整理すると

家庭では、次のような対応を意識しましょう。

  • 何があったのか本人の話を聞く
  • 嫌だった気持ちを受け止める
  • 本人のせいにしない
  • 必要以上に問題化しない
  • 繰り返されている場合は園・学校へ相談する
  • 本人が望めば返し方を一緒に考える
  • 大人へ助けを求めてよいと伝える
  • 家庭練習を急に増やさない
  • 家では安心して話せる環境を守る

状況の程度によって、家庭で見守る場合と園・学校との連携が必要な場合を分けて考えます。


まとめ

発音のことで友達に何か言われたとき、家庭でまず大切なのは、子どもがどう感じたのかを聞くことです。

「気にしなくていい」とすぐに終わらせるのではなく、

「嫌だったんだね」

「そんなことを言われたんだね」

と一度受け止めましょう。

一方、一度発音について質問されただけで本人も気にしていないのであれば、必要以上に大きな問題として扱う必要はありません。

しかし、発音を繰り返し真似されたり、笑われたりしている場合には、本人だけに解決を任せず、園や学校へ相談することが大切です。

そして家庭では、「早く発音を治さなければ」と練習を増やすより、今の発音でも安心して話せる場所を守ることを意識しましょう。

構音訓練によって発音を改善することと、発音の状態にかかわらず子どもが安心してコミュニケーションできる環境をつくること。その両方を大切にしていくことが必要です。

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