構音訓練とは?どんなことをするの?
「構音訓練では、実際にどんな練習をするのでしょうか?」
「ひたすら『さ・し・す・せ・そ』を繰り返すのでしょうか?」
子どもの発音に誤りがあり、専門家から構音訓練を勧められると、どのようなことをするのか気になる保護者も多いでしょう。
構音訓練とは、正しい発音の仕方を身につけ、それを単語や文章、最終的には普段の会話でも使えるようにするための練習です。
単純に同じ音を何度も言わせるだけではありません。子どもの発音の特徴を確認しながら、音の聞き分け、舌や唇の使い方、息の出し方などを練習し、少しずつ日常会話へつなげていきます。
この記事では、構音訓練では実際にどのようなことをするのか、基本的な内容をわかりやすく解説します。
構音訓練とは?
「構音」とは、舌や唇、あごなどを使って、ことばの音をつくることです。
例えば「さ」を発音するときには、舌の位置を調整しながら、狭いすき間に息を通して音をつくります。
構音障害がある子どもでは、このような音のつくり方がうまく身についておらず、
「さかな」→「たかな」のように別の音へ置き換わったり、独特に歪んだ音になったりすることがあります。
構音訓練では、正しい音のつくり方を一つずつ学習していきます。
構音訓練は言語聴覚士などが行う
医療機関などでは、言語聴覚士(ST)が構音訓練を担当します。
子どもによって、
- 間違えている音
- 誤り方
- 正しい音を出せるか
- 年齢や発達
- 会話での聞き取りやすさ
などが異なるため、訓練内容も一人ひとり違います。
「さ行が言えない子どもは全員同じ練習をする」というわけではありません。
① 正しい音と間違った音を聞き分ける
構音訓練では、発音する練習だけでなく、音を聞く練習を行うことがあります。
例えば、「さ」と「た」を聞いて、どちらの音だったか判断します。
正しい音を身につけるためには、「どのような音を目指すのか」を聞いて理解することも大切だからです。
② 舌や唇の位置を確認する
次に、正しい音をつくるための口の使い方を練習します。
音によって、
- 舌をどこに置くか
- 唇をどのような形にするか
- 舌と歯の間をどのくらい空けるか
などが異なります。
言語聴覚士が見本を見せたり、鏡で自分の口元を確認したりしながら練習することがあります。
③ 息の出し方を練習する
「さ行」などでは、息の流れも重要です。
舌の位置がある程度合っていても、息が適切な方向へ流れなければ正しい音にならないことがあります。
そのため、発音そのものを繰り返す前に、息を一定方向へ出す感覚を練習することがあります。
④ まず一つの音を正しく出せるようにする
正しい音をまだ出せない場合には、まず一音で発音することを目指します。
例えば「さ」の訓練であれば、単語を何度も言わせるのではなく、まず正しい「さ」をつくります。
一音を安定して出せるようになったら、次の段階へ進みます。
⑤ 単語で練習する
一音で正しく発音できるようになったら、単語の中で使う練習をします。
例えば「さ」であれば、
- さかな
- さいふ
- やさい
など、さまざまな単語で練習します。
一音では正しく言えても、単語になると以前の発音へ戻ることがあるため、段階的に難しくしていきます。
⑥ 文章で練習する
単語で安定してきたら、文章へ広げます。
例えば、「さかなを見ました」のように、練習している音が含まれる文章を使います。
文章では多くの音を続けて発音するため、単語よりも難しくなります。
⑦ 会話で正しく使う練習をする
構音訓練の最終的な目標は、訓練室で正しく発音することではありません。
普段の会話で自然に正しい発音を使えるようになることが重要です。
そのため、文章で安定した後は、
- 今日あったことを話す
- 絵について説明する
- ゲームをしながら会話する
など、より自然な状況で練習します。
「練習では言えるのに会話では間違える」は珍しくない
構音訓練をしていると、「先生の前では言えるのに、家では元の発音に戻ります」ということがあります。
これは珍しいことではありません。
正しい音を一回つくれることと、普段の会話で無意識に使えることは別の段階だからです。
一音から単語、文章、会話へ少しずつ広げていく必要があります。
遊びを取り入れることもある
特に幼い子どもの構音訓練では、遊びを取り入れることがあります。
例えばカードやすごろくなどを使い、楽しみながら対象となる音を練習します。
ただし、単に遊ぶのではなく、その子の訓練目標に合わせて課題を組み込みます。
子どもが集中して取り組める方法を工夫することも大切です。
家庭で練習することもある
構音訓練では、言語聴覚士との訓練だけでなく、家庭練習を提案されることがあります。
例えば、その日に練習した単語を自宅でも数回練習します。
ただし、長時間行えばよいわけではありません。
正しく発音できない状態で何十回も繰り返すより、現在できる課題を短時間、正しい方法で行うことが大切です。
普段の会話をすべて発音練習にしない
家庭で特に注意したいのが、子どもの発音を一日中訂正することです。
子どもが話すたびに、
「違うよ」
「もう一回言って」
「ちゃんと発音して」
と訂正すると、会話そのものが負担になることがあります。
構音訓練では、練習する時間と普段の会話を分けることが大切です。
普段の会話では、発音の正確さだけでなく、子どもが何を伝えたいのかを受け止めることを優先しましょう。
構音訓練の進み方は子どもによって違う
構音訓練は、すべての子どもが同じ速さで進むわけではありません。
一音を比較的早く獲得する子どももいれば、正しい舌の位置を身につけるまで時間がかかる子どももいます。
また、一音や単語ではすぐ正しく言えても、会話への定着に時間がかかることもあります。
他の子どもと比較せず、その子の変化を見ながら進めることが大切です。
構音訓練の基本的な流れ
構音訓練の内容を簡単にまとめると、
正しい音を聞く・聞き分ける
↓
舌・唇・息の使い方を確認する
↓
一音で正しく発音する
↓
単語で使う
↓
文章で使う
↓
会話で自然に使う
という流れになります。
実際には、子どもの状態に合わせて必要な段階から始めます。
まとめ
構音訓練とは、正しい発音を身につけ、それを日常会話でも自然に使えるようにするための練習です。
単に同じ音を繰り返すのではなく、音の聞き分け、舌や唇の位置、息の流れなどを確認しながら正しい音をつくります。
その後、
一音 → 単語 → 文章 → 会話
と段階的に練習を進めていきます。
子どもによって発音の誤り方や現在できることは異なるため、構音訓練の内容も一人ひとり違います。
そして最も大切なのは、訓練室できれいに発音することだけではありません。
普段の生活の中で、子どもが発音を過度に意識せず、伝えたいことを自然に話せるようになることが構音訓練の大きな目標です。

