子どもの構音障害にはどんな種類がある?

「子どもの発音が聞き取りにくいのですが、どのような原因が考えられますか?」

「構音障害にはいくつか種類があるのでしょうか?」

子どもの発音について、「さかな」が「たかな」になる、「し」がうまく言えない、家族には伝わるけれど他の人には伝わりにくい、といった悩みを持つ保護者の方は少なくありません。

発音に問題がみられる状態を「構音障害」と呼ぶことがありますが、構音障害は一つのタイプだけではありません。原因や発音の特徴によって、いくつかの種類に分けて考えます。

この記事では、子どもの構音障害にはどのような種類があるのか、言語聴覚士がわかりやすく解説します。


そもそも「構音」とは?

構音とは、舌や唇、あご、口蓋などを動かして、ことばの音をつくることです。

例えば「さ」と発音するときには、舌の位置や息の出し方を細かく調整しています。「ぱ」では唇を閉じてから開き、「か」では舌の奥を使って音をつくります。

私たちは普段意識していませんが、話すときには口や舌を複雑に動かしながら、一つひとつの音をつくっています。

この音をつくる過程に問題があり、発音が不明瞭になったり、特定の音を正しく発音できなかったりする状態が構音障害です。


子どもの構音障害は大きく分けて考える

子どもの構音障害は、原因によって大きく次のように分類して考えることができます。

  • 機能性構音障害
  • 器質性構音障害
  • 運動障害性構音障害

それぞれ原因や発音の特徴が異なるため、「発音がおかしい」という症状だけで判断するのではなく、なぜそのような発音になっているのかを確認することが大切です。


① 機能性構音障害

機能性構音障害とは、発音に関係する口や舌などに明らかな形態的・運動的な問題がないにもかかわらず、特定の音を正しく発音できない状態です。

子どもの構音障害として、比較的よくみられるタイプです。

例えば、

  • 「さかな」→「たかな」
  • 「つくえ」→「くくえ」
  • 「らっぱ」→「だっぱ」

など、ある音を別の音に置き換えて発音することがあります。

また、音を省略したり、どの音とも表現しにくいような歪んだ発音になったりすることもあります。


発音の発達途中でも似た誤りがみられる

小さな子どもは、最初からすべての音を正しく発音できるわけではありません。

「ぱ・ば・ま」など比較的発音しやすい音から獲得し、「さ行」「ら行」など難しい音は後から安定していきます。

そのため、幼い子どもの発音の誤りがすべて構音障害というわけではありません。

年齢、誤っている音の種類、誤り方などを確認しながら、発達の途中としてみられるものなのか、専門的な評価や練習が必要なのかを判断していきます。


② 器質性構音障害

器質性構音障害とは、発音に関係する器官の形態的な問題によって、正しい音をつくることが難しくなっている状態です。

発音には、

  • あご
  • 硬口蓋・軟口蓋

など、さまざまな部分が関係しています。

これらの形や構造に問題があると、舌や息を適切な位置へ持っていくことが難しくなり、発音に影響することがあります。


口蓋裂による構音障害

器質性構音障害の代表的な原因の一つが口蓋裂です。

口蓋裂では、口と鼻を分けている口蓋の形態や鼻咽腔閉鎖機能などの影響によって、発音するときの息が鼻へ漏れることがあります。

また、正しい場所で音をつくりにくいため、本来とは異なる場所を使って発音することがあります。

代表的な異常構音として、

  • 声門破裂音
  • 咽頭摩擦音
  • 口蓋化構音

などがみられることがあります。

手術によって形態が改善した後も、誤った発音の習慣が残っている場合には構音訓練が必要になることがあります。


歯やかみ合わせが影響することもある

歯並びやかみ合わせの状態が発音に影響することもあります。

特に「さ行」などの音は、舌と歯の位置関係や息の通り道を細かく調整してつくります。

そのため、歯やあごの状態によっては特定の音がつくりにくくなる場合があります。

ただし、歯並びが悪ければ必ず構音障害になるわけではありません。実際の発音と口腔内の状態を合わせて評価する必要があります。


③ 運動障害性構音障害

運動障害性構音障害とは、脳や神経、筋肉などの問題によって、発音に必要な運動を適切に行うことが難しくなる状態です。

英語では「dysarthria(ディサースリア)」と呼ばれます。

子どもでは、例えば脳性麻痺などに伴ってみられることがあります。


発音だけでなく話し方全体に影響することがある

運動障害性構音障害では、特定の音だけを間違えるというより、話すための運動全体に影響がみられることがあります。

例えば、

  • 発音が全体的に不明瞭
  • 声が小さい
  • 声の質が変わる
  • 話す速さを調整しにくい
  • 息が続きにくい
  • 抑揚が乏しい

などです。

発音だけではなく、呼吸、発声、共鳴、プロソディなどを含めて評価することが重要です。


「構音障害」と「発音の発達」はどう違う?

子どもの発音を考えるうえで難しいのが、発達途中の発音の誤りとの区別です。

例えば、3歳の子どもが「さかな」を「たかな」と言う場合と、小学生になっても同じ発音が続いている場合では意味が異なります。

判断するときには、

  • 子どもの年齢
  • どの音を間違えているか
  • どのような間違い方か
  • 誤りが一貫しているか
  • 他の人にどの程度伝わるか

などを確認します。

単純に「○歳だから大丈夫」「○歳だから構音障害」と判断するのではなく、発音の特徴を総合的にみることが大切です。


発音の誤り方にも種類がある

構音障害では、どの音を間違えるかだけでなく、どのように間違えているかも重要です。

代表的な誤り方には、

  • 置換
  • 省略
  • 歪み

があります。


「置換」とは?

置換とは、本来発音する音を別の音に置き換えることです。

例えば、

「さかな」→「たかな」

では、「さ」が「た」に置き換わっています。

子どもの発音発達の途中でもみられることがあります。


「省略」とは?

省略とは、本来あるはずの音を発音しないことです。

例えば、単語の一部の子音などが抜けて発音されることがあります。

音が抜けることで、ことば全体が聞き取りにくくなる場合があります。


「歪み」とは?

歪みとは、別の日本語の音へ明確に置き換わるのではなく、正しい音とも別の音とも言いにくい、不自然な発音になることです。

舌の位置や息の出し方などが通常とは異なることで起こります。

側音化構音などでは、このような歪みとして聞こえることがあります。


側音化構音とは?

側音化構音は、子どもにみられる異常構音の一つです。

「し」「ち」「じ」などを発音するときに、本来とは異なる舌の使い方をして、息が舌の側方から流れることで独特の歪んだ音になります。

自然な発達の中でみられる一般的な音の置き換えとは異なるため、必要に応じて専門的な評価や構音訓練を検討します。


口蓋化構音とは?

口蓋化構音では、本来よりも舌の奥を使って音をつくるため、独特の発音になります。

特定の音を別の音へ置き換えているように聞こえることもあります。

口蓋裂のある子どもにみられることがありますが、口蓋裂がない子どもにみられる場合もあります。


声門破裂音とは?

声門破裂音は、本来口の中でつくるはずの音を、のどの奥にある声門付近でつくる発音です。

口蓋裂などによって口の中に十分な圧力をつくりにくい場合にみられることがあります。

本人なりに音をつくろうとした結果として身についた発音であるため、単純に「もっとはっきり話して」と言うだけでは改善しにくいことがあります。


種類によって対応方法は異なる

構音障害では、どのタイプでも同じ練習をすればよいわけではありません。

例えば、機能性構音障害では舌の位置や息の出し方を練習することがありますが、器質性構音障害では、まず口腔内の形態や鼻咽腔閉鎖機能などへの医学的な対応が必要になる場合があります。

運動障害性構音障害では、発音だけでなく呼吸や発声、話す速さなども含めて支援を考えることがあります。

そのため、原因や構音の特徴を確認してから練習方法を考えることが重要です。


発音が気になったらどこへ相談する?

子どもの発音が気になる場合は、地域によって異なりますが、

  • 耳鼻咽喉科
  • 小児科
  • 歯科・口腔外科
  • 言語聴覚士がいる医療機関
  • 児童発達支援施設
  • 自治体の発達相談
  • ことばの教室

などが相談先になります。

特に、聞こえの問題や口腔内の形態的な問題が疑われる場合には、医療機関での確認も重要です。


言語聴覚士は何をみるの?

言語聴覚士(ST)が子どもの構音を評価するときは、単に「正しく言えるか」だけを確認するわけではありません。

例えば、

  • どの音を間違えるか
  • どのように間違えるか
  • 単語のどの位置で間違えるか
  • 舌や唇をどのように動かしているか
  • 発音の誤りに規則性があるか
  • 聞き取りやすさはどの程度か

などを確認します。

必要に応じて、口腔内の状態や聴力、言葉の発達などについても確認し、原因や今後の対応を考えていきます。


まとめ

子どもの構音障害は、原因によって大きく「機能性構音障害」「器質性構音障害」「運動障害性構音障害」などに分けて考えることができます。

また、発音の誤り方には「置換」「省略」「歪み」があり、側音化構音、口蓋化構音、声門破裂音など特徴的な構音がみられることもあります。

一方で、小さな子どもでは発音の発達途中として音の誤りがみられることも珍しくありません。

そのため、発音が間違っているという一点だけで構音障害と判断するのではなく、年齢や誤り方、口や舌の状態、聞こえなどを総合的に確認することが大切です。

発音が気になる状態が続いている場合や、家族以外にはことばが伝わりにくい場合には、言語聴覚士などの専門家へ相談してみましょう。

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