高次脳機能障害と長く付き合っていくために
高次脳機能障害になると、退院した頃は、
「いつ元通りになるのだろう」「以前と同じ生活に戻りたい」という気持ちを抱く方が多くいます。
もちろん、リハビリによって症状が改善することは少なくありません。
しかし、高次脳機能障害では、症状が長く続いたり、一部の困りごとが残ったりすることもあります。
そのようなときに大切なのは、障害と上手に付き合いながら、自分らしい生活を続けていくことです。
「障害を受け入れなければならない」ということではありません。
困りごとに対して工夫を重ね、できることを増やしながら、自分らしい人生を歩んでいくことが大切です。
この記事では、高次脳機能障害と長く付き合っていくための考え方をご紹介します。
回復には個人差がある
高次脳機能障害の回復には、大きな個人差があります。
発症の原因や障害された部位、年齢、リハビリの内容などによって、回復の経過は一人ひとり異なります。
そのため、他の人と比べる必要はありません。
「昨日の自分」と比べながら、少しずつ前に進んでいくことが大切です。
「元通り」を目標にしすぎない
発症前の生活へ戻りたいと思う気持ちは自然なことです。
しかし、「元通りにならなければ」という思いが強すぎると、できないことばかりに目が向いてしまいます。
一方で、高次脳機能障害があっても、新しい生活に合わせた工夫を取り入れることで、以前とは違う形でも充実した毎日を送ることは十分可能です。
「元通り」ではなく、「今の自分らしい生活」を目指していきましょう。
困ったら工夫を考える
高次脳機能障害では、生活の中で困る場面が出てくることがあります。
例えば、
- 忘れやすいならメモを使う
- 疲れやすいなら休憩を増やす
- 段取りが苦手ならチェックリストを作る
など、工夫によって生活しやすくなることがたくさんあります。
「頑張る」だけではなく、「工夫する」という考え方が大切です。
一人で抱え込まない
高次脳機能障害と長く付き合っていくためには、周囲の支えも欠かせません。
困ったときは、
- 家族
- 友人
- 主治医
- 言語聴覚士
- 作業療法士
- 高次脳機能障害支援拠点
などへ相談しましょう。
相談することは、弱さではなく、安心して生活を続けるための大切な力です。
リハビリは生活の中でも続いている
退院すると、「リハビリは終わった」と思う方もいます。
しかし、実際には、毎日の生活そのものがリハビリになります。
例えば、
- 家事をする
- 買い物へ行く
- 人と話す
- 趣味を楽しむ
など、日常生活の一つひとつが、認知機能を使う大切な機会になります。
自分のペースを大切にする
高次脳機能障害では、疲れやすさが続く方も少なくありません。
そのため、周囲に合わせて無理をすると、体調を崩してしまうことがあります。
疲れたら休む、予定を詰め込みすぎない、できない日は無理をしない。
こうした生活を続けることが、長く元気に過ごすための秘訣です。
楽しみを持ち続ける
毎日が、通院やリハビリだけになってしまうと、気持ちも疲れてしまいます。
趣味や旅行、散歩や読書など、「楽しい」と思える時間を大切にしましょう。
笑顔になれる時間は、生活の質を高めるだけでなく、前向きな気持ちを支えてくれます。
家族も自分の生活を大切にする
ご家族も、長く支え続けるためには、無理をしすぎないことが大切です。
必要に応じて、地域の支援や福祉サービスを利用し、自分の時間や健康も大切にしましょう。
ご家族が元気でいることは、ご本人にとっても安心につながります。
将来を悲観しすぎない
高次脳機能障害になると、将来への不安を感じることがあります。
しかし、今できないことが、数か月後や数年後にも必ずできないとは限りません。
リハビリや生活経験を積み重ねることで、できることが増えていく方もたくさんいます。
焦らず、一歩ずつ進んでいくことが大切です。
「自分らしい人生」を歩んでいく
高次脳機能障害は、人生の一部ではありますが、人生のすべてではありません。
仕事や家族、趣味や地域活動など、大切にしたいものは人それぞれです。
障害があるからこそ工夫が必要になる場面もありますが、
その中でも、自分らしい生き方を選ぶことはできます。
毎日を少しずつ積み重ねながら、自分らしい人生を歩んでいきましょう。
まとめ
高次脳機能障害と長く付き合っていくためには、「元通り」を目指すだけではなく、今の自分に合った生活を工夫しながら続けていくことが大切です。
困ったときにはメモやチェックリストなどを活用し、一人で抱え込まず、家族や専門職、地域の支援を頼ることも重要です。
また、趣味や人との交流、日々の楽しみを大切にしながら、自分のペースで生活を続けることが、充実した人生につながります。
高次脳機能障害があっても、自分らしい未来を築くことは十分可能です。焦らず、一歩ずつ歩みを重ねながら、その人らしい人生を育んでいきましょう。

