吃音はなぜ話すときに起こる?
話すことはとても複雑な作業です
「なぜ話そうとすると言葉が詰まってしまうの?」
「頭ではわかっているのに、なぜ言葉が出ないの?」
このような疑問を持つ方は少なくありません。
吃音は、話すために必要な脳や口の動きのタイミングがうまく合わなくなることで起こると考えられています。
私たちは普段、何気なく話していますが、その裏では脳が非常に複雑な処理を瞬時に行っています。
話すまでには多くのステップがある
一つの言葉を話すだけでも、脳の中では次のような流れで処理が行われています。
- 話したい内容を考える
- 言葉を選ぶ
- 音の並びを決める
- 発音するための動きを計画する
- 呼吸を整える
- 声帯や舌、唇を動かす
これらは一瞬のうちに行われており、私たちは普段そのことを意識することはありません。
タイミングがずれると話しにくくなる
吃音では、この一連の流れのタイミングがうまく合わないことがあります。
例えば、
- 声を出す準備はできているが、口の動きが追いつかない
- 発音の準備が間に合わない
- 次の音へスムーズに移れない
といった状態になると、
- 音を繰り返す
- 音を引き伸ばす
- 言葉が詰まる
といった症状が現れると考えられています。
脳のネットワークが関係している
近年の研究では、吃音のある人では、話すときに働く脳のネットワークに特徴があることがわかってきました。
特に、
- 言語を組み立てる働き
- 発音を計画する働き
- 話す動きを調整する働き
などを担う脳のネットワークの連携に違いがあると考えられています。
そのため、本人が努力不足だから話せないわけではありません。
緊張すると話しにくくなる理由
「緊張すると吃音がひどくなる」という人は多くいます。
これは、
- 呼吸が浅くなる
- 筋肉がこわばる
- 話すことを強く意識する
などが重なり、もともと調整が難しい話す動きがさらにスムーズに行えなくなるためと考えられています。
つまり、緊張は症状を強めることはありますが、吃音そのものの原因ではありません。
話しやすい場面もある
吃音には、「場面によって症状が変わる」という特徴があります。
例えば、
- 家族との会話
- 独り言
- 歌を歌う
- ペットに話しかける
では話しやすい人もいます。
一方で、
- 電話
- 自己紹介
- 発表
- 面接
などでは話しにくくなることがあります。
これは、話す場面によって脳の働きや心理的な負荷が変化するためと考えられています。
「話したいこと」と「話せること」は違う
吃音のある人は、「何を話そうか分からない」のではありません。
むしろ、
「言いたいことは決まっているのに、言葉が出ない」という状態です。
そのため、
- 理解力
- 知的能力
- 語彙
などに問題があるわけではありません。
話すための動きがスムーズにつながりにくいことが、吃音の特徴です。
話すことへの不安がさらに影響することもある
吃音が続くと、「また詰まるかもしれない」「笑われたらどうしよう」という不安を感じることがあります。
その結果、
- 話すことを避ける
- 言葉を言い換える
- 電話を避ける
などの行動につながることがあります。
このような経験が積み重なると、話すことへの緊張が強まり、さらに症状が目立ちやすくなることもあります。
そのため、吃音への支援では、話し方だけでなく、本人の気持ちや生活の困りごとにも目を向けることが大切です。
まとめ
吃音は、話すために必要な脳の働きや口の動きのタイミングがうまく合わなくなることで起こると考えられています。
言いたいことが分からないのではなく、話すための動きがスムーズにつながりにくいことが特徴です。また、緊張や不安によって症状が強くなることはありますが、それ自体が吃音の原因ではありません。吃音を正しく理解し、安心して話せる環境を整えることが大切です。

