大脳が傷つくと話しにくくなる理由
「脳卒中のあとから、ろれつが回らなくなった」
「大脳が傷つくと、なぜ話しにくくなるの?」
「口や舌は動くのに、うまく発音できないのはなぜ?」
構音障害は、舌や唇そのものに問題がなくても、大脳が傷つくことで起こることがあります。
大脳は、私たちが「話そう」と思ったときに、話すための指令を作り出す重要な役割を担っています。
そのため、大脳に障害が起こると、話すための動きがうまくコントロールできなくなることがあります。
この記事では、大脳が傷つくとなぜ話しにくくなるのかを分かりやすく解説します。
大脳は「話す司令塔」
大脳は、脳の中で最も大きな部分です。
考えたり、覚えたり、体を動かしたりする働きだけでなく、話すための指令を出す役割も担っています。
例えば、「こんにちは」と言おうとすると、大脳は、
- 話す内容を考える
- 舌や唇をどう動かすか決める
- 話すタイミングを調整する
といった準備を一瞬で行っています。
その指令が神経を通って筋肉へ伝わることで、私たちは言葉を話しています。
大脳が傷つくと指令が出しにくくなる
脳卒中や頭部外傷などで大脳が傷つくと、
話すための指令が十分に作れなかったり、正しく送れなかったりすることがあります。
すると、舌や唇を動かす筋肉に問題がなくても、動きがぎこちなくなり、
発音が不明瞭になることがあります。
これが構音障害の一つの原因です。
「ろれつが回らない」と感じることが多い
大脳が障害されると、よくみられる症状として、
- ろれつが回らない
- 発音がはっきりしない
- 話すスピードが変わる
などがあります。
特に脳卒中では、病気の直後からこのような症状が現れることがあります。
話したい内容は分かっていることも多い
構音障害では、「何を話そうか」という考えは頭の中にあることが少なくありません。
しかし、その内容を口や舌の動きへ変える指令がうまく伝わらないため、思うように発音できなくなります。
そのため、「考える力がなくなった」とは限りません。
失語症とは違う
大脳の障害では、構音障害だけでなく、失語症が起こることもあります。
構音障害は、話すための筋肉を動かすことが難しくなる障害です。
一方、失語症は、言葉を理解したり、言葉を選んだりする働きに障害が起こる状態です。
脳卒中では、この二つが同時にみられることもあります。
大脳のどこが傷つくかで症状が変わる
大脳は広い器官であり、障害される場所によって症状が異なります。
例えば、
- 発音が中心に障害される方
- 言葉を理解することも難しくなる方
- 手足の麻痺も伴う方
など、人によって現れ方はさまざまです。
そのため、同じ「脳卒中」でも症状は一人ひとり違います。
リハビリで回復することはある?
脳卒中などでは、時間の経過とともに症状が改善することがあります。
さらに、言語聴覚士によるリハビリでは、
- 発音練習
- 呼吸や発声の練習
- 会話練習
などを行い、残っている脳の働きを活用しながら、話しやすさの改善を目指します。
回復の程度には個人差がありますが、早い時期からリハビリを始めることが大切です。
家族が知っておきたいこと
大脳が傷ついた方は、話しにくくても、伝えたいことがたくさんある場合があります。
そのため、話し終わる前に言葉を先回りしたり、急かしたりせず、最後までゆっくり待つことが大切です。
安心して話せる環境が、ご本人の力を引き出します。
まとめ
大脳は、話すための指令を出す「司令塔」の役割をしています。
脳卒中や頭部外傷などで大脳が傷つくと、舌や唇を動かす指令がうまく伝わらず、構音障害が起こることがあります。
また、大脳の障害では失語症を伴うこともあり、症状は一人ひとり異なります。
大脳の働きを理解することは、構音障害を正しく理解し、ご本人に合った支援を考える第一歩になります。

