複数の場所に障害があるとどうなる?
「舌だけでなく、唇ものども動きにくいと言われた」
「いくつもの場所が悪くなることはあるの?」
「障害が複数あると症状は重くなるの?」
構音障害は、舌や唇など一つの場所だけに問題が起こるとは限りません。
病気によっては、話すために必要な複数の器官や働きが同時に影響を受けることがあります。
そのため、症状は人それぞれ異なり、同じ病気でも話し方が違うことは珍しくありません。
この記事では、複数の場所に障害があると、どのような話しにくさが起こるのかを分かりやすく解説します。
話すためには多くの器官が協力している
言葉を話すためには、
- 脳
- 神経
- 呼吸
- 声帯
- 舌
- 唇
- あご
- 軟口蓋(なんこうがい)
など、多くの器官が同時に働いています。
どれか一つだけでも話しにくくなりますが、複数の場所に障害があると、その影響はさらに大きくなります。
舌と唇の両方が動きにくい場合
舌と唇は、それぞれ異なる音を作る役割があります。
例えば、
- 舌は「た」「か」「ら」など
- 唇は「ぱ」「ば」「ま」など
を作るために重要です。
両方が動きにくくなると、さまざまな音が不明瞭になり、
全体的にろれつが回らない印象になります。
声帯にも影響がある場合
舌や唇に加えて声帯の動きも低下すると、
- 声が小さい
- 声がかすれる
- 発音も不明瞭
という状態になります。
相手は言葉だけでなく、声そのものも聞き取りにくくなるため、コミュニケーションがさらに難しくなることがあります。
呼吸にも問題がある場合
呼吸する力が弱くなると、
- 長く話せない
- 途中で息継ぎが増える
- 声が弱くなる
ことがあります。
そこに発音の問題も加わると、話すこと自体が疲れやすくなります。
病気によっては複数の場所に影響する
構音障害の原因となる病気の中には、一つの場所だけでなく、複数の器官に影響するものがあります。
例えば、
脳卒中
脳からの指令が障害されることで、舌・唇・のどなどの動きがまとめて影響を受けることがあります。
パーキンソン病
声が小さくなるだけでなく、舌や唇の動きも小さくなり、発音が不明瞭になることがあります。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)
舌やのど、呼吸の筋肉などが徐々に弱くなるため、話し方だけでなく、声や呼吸にも影響が現れることがあります。
症状は一人ひとり違う
同じ病気でも、
- 舌の症状が強い人
- 声の変化が目立つ人
- 呼吸の影響が大きい人
など、現れ方はさまざまです。
そのため、「この病気だから必ず同じ症状になる」とは限りません。
リハビリでは全体を評価する
言語聴覚士は、発音だけを見るのではなく、
- 呼吸
- 声
- 舌
- 唇
- のど
- 話すスピード
などを総合的に評価します。
どこに一番困りごとがあるのかを確認し、その方に合ったリハビリを行います。
例えば、声が小さい方には発声練習を、
舌の動きが悪い方には発音練習を重点的に行うなど、内容は一人ひとり異なります。
家族が知っておきたいこと
「昨日は話せていたのに、今日は話しにくそう」ということもあります。
複数の場所に障害がある場合は、疲れや体調によって症状が変化しやすくなることがあります。
そのため、調子が悪い日があっても、「頑張れば話せるはず」と考えるのではなく、
その日の体調に合わせて会話することが大切です。
まとめ
話すためには、脳・神経・呼吸・声帯・舌・唇・のどなど、多くの器官が協力しています。
複数の場所に障害があると、発音だけでなく、声や呼吸にも影響が現れ、話しにくさが強くなることがあります。
症状の現れ方は一人ひとり異なるため、全体を評価したうえで、その方に合ったリハビリや支援を行うことが大切です。

