両側の脳が障害されるとどうなる?
「脳の両側が傷つくと話せなくなるの?」
「片側の脳卒中より重くなるの?」
「両側の脳が障害されると、どんな症状が出るの?」
私たちが話すときは、大脳から舌や唇、のどの筋肉へ指令が送られています。
この指令は、左右どちらか一方だけではなく、左右の脳が協力しながら行っています。
そのため、両側の脳が障害されると、話すための筋肉を動かす力が大きく低下し、構音障害が強く現れることがあります。
この記事では、両側の脳が障害されたときに起こる変化について分かりやすく解説します。
話すための指令は左右の脳から送られている
舌や唇、のどを動かす神経には、左右両方の大脳から指令が送られています。
これは、話すという大切な機能をできるだけ保つための仕組みでもあります。
そのため、片側だけの障害では、もう一方の脳がある程度補うことができる場合があります。
両側が障害されると補い合うことが難しくなる
左右の脳がともに障害されると、互いに補うことが難しくなります。
その結果、
- ろれつが大きく乱れる
- 発音が非常に不明瞭になる
- 声が出しにくくなる
- 話すスピードが極端に遅くなる
などの症状が現れることがあります。
話したい内容は頭の中にあっても、口や舌を思うように動かせず、相手に伝わりにくくなることがあります。
飲み込みにも影響することがある
話すことと飲み込むことには、共通する筋肉が多く使われています。
そのため、両側の脳が障害されると、
- むせやすい
- 飲み込みにくい
- 食事に時間がかかる
などの嚥下障害を伴うことも少なくありません。
話しにくさと飲み込みにくさの両方がある場合は、早めの評価と支援が重要です。
「考える力」が必ず低下するわけではない
話し方が大きく変わると、「理解もできなくなったのでは?」と心配されることがあります。
しかし、構音障害は話すための運動の障害です。
そのため、ご本人は話したい内容を理解し、考えていることが多くあります。
もちろん、障害された場所によっては失語症や認知機能の障害を伴うこともありますが、
話しにくさだけで理解力を判断することはできません。
どのような病気で起こるの?
両側の脳が障害される原因としては、
- 両側の脳卒中
- 時期を変えて左右それぞれに脳卒中を起こした場合
- 重い頭部外傷
- 一部の神経疾患
などがあります。
障害された範囲や部位によって、症状の程度は大きく異なります。
リハビリは一人ひとりに合わせて行う
両側の脳が障害された場合でも、リハビリを行うことで、話しやすさが改善したり、伝え方を工夫したりできることがあります。
言語聴覚士は、
- 発音
- 声の大きさ
- 呼吸
- 飲み込み
- コミュニケーションの方法
などを総合的に評価し、その方に合った練習や支援を行います。
必要に応じて、筆談やコミュニケーションノート、スマートフォンなどを活用することもあります。
家族が知っておきたいこと
両側の脳が障害されると、話し方の変化が大きく、ご家族も戸惑うことがあります。
しかし、ご本人は「伝えたい」という気持ちを持っていることが少なくありません。
話すのに時間がかかっても、途中で言葉を補いすぎず、最後まで待つことが大切です。
また、言葉だけでなく、表情やジェスチャーなどにも目を向けることで、ご本人の思いを受け取りやすくなります。
まとめ
話すための筋肉には、左右両方の脳から指令が送られています。
そのため、両側の脳が障害されると、互いに補い合うことが難しくなり、構音障害が強く現れることがあります。
また、飲み込みにも影響が出ることがあり、早い段階から言語聴覚士による評価やリハビリを受けることが大切です。
話し方が大きく変わっても、ご本人の「伝えたい」という気持ちは残っていることが多くあります。
その思いを大切にしながら、周囲がゆっくり耳を傾けることが、安心してコミュニケーションを続ける第一歩になります。

