構音障害と高次脳機能障害の違い

脳卒中や頭部外傷の後、

「話し方がおかしくなった」
「会話がかみ合わなくなった」

と感じることがあります。

その際によく聞かれるのが、

「構音障害と高次脳機能障害は何が違うのですか?」
「どちらも話しにくくなる障害ですか?」

という質問です。

どちらもコミュニケーションに影響することがありますが、障害される部分や症状は大きく異なります。

この記事では、構音障害と高次脳機能障害の違いについて分かりやすく解説します。

構音障害とは

構音障害とは、舌や唇、あご、のどなどを動かす機能が低下し、発音が不明瞭になる障害です。

本人は何を話したいのか分かっていますし、相手の話も理解できます。

しかし、

  • ろれつが回らない
  • 発音が不明瞭になる
  • 声が小さくなる
  • 話し方がぎこちなくなる

といった症状がみられます。

つまり、構音障害は「話すための運動」の障害です。

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは、脳の損傷によって記憶や注意、考える力、感情のコントロールなどが低下する障害です。

代表的な症状には、

  • 記憶障害
  • 注意障害
  • 遂行機能障害
  • 社会的行動障害
  • 半側空間無視

などがあります。

言葉そのものの発音ではなく、「考える」「覚える」「判断する」といった脳の働きに影響が出るのが特徴です。

一番大きな違いは?

最も大きな違いは、障害される機能です。

構音障害

発音するための運動機能の障害

高次脳機能障害

記憶・注意・判断・行動など認知機能の障害

つまり、構音障害は「どう話すか」の問題、

高次脳機能障害は「どう考えるか」の問題

と考えると分かりやすいでしょう。

症状の違いを例で考えてみよう

例えば、家族が「今日は病院に行く日だよ」と伝えたとします。

構音障害の場合

内容は理解しています。

病院に行くことも分かっています。

ただし、「わかりました」と言おうとしても発音が不明瞭になります。

高次脳機能障害の場合

発音ははっきりしていても、

  • 話を忘れてしまう
  • 注意が向かない
  • 準備ができない

などの問題が起こることがあります。

比較表で見てみましょう

項目構音障害高次脳機能障害
発音不明瞭になる保たれることが多い
言葉の理解保たれることが多い注意や記憶の影響を受けることがある
記憶力保たれる低下することがある
注意力保たれる低下することがある
段取りを立てる力保たれる低下することがある
主な問題発話運動認知機能

両方がみられることもある

脳卒中や頭部外傷では、構音障害と高次脳機能障害が同時に起こることがあります。

例えば、

  • ろれつが回らない
  • 注意が続かない
  • 忘れっぽくなる

といった状態です。

そのため、「話し方だけ」を見て判断することはできません。

言語聴覚士や医師による詳しい評価が必要になります。

家族が気を付けたいこと

構音障害の方は、発音が不明瞭でも理解力や判断力は保たれていることが少なくありません。

一方、高次脳機能障害では、

  • 約束を忘れる
  • 同じことを何度も聞く
  • 段取りが立てられない

といった症状がみられることがあります。

「話し方がおかしい=理解していない」とは限らないため、それぞれの障害を正しく理解することが大切です。

まとめ

構音障害と高次脳機能障害は、どちらも脳の病気やけがの後にみられることがありますが、障害される機能は異なります。

構音障害は発音のための運動機能の障害、高次脳機能障害は記憶や注意、判断など認知機能の障害です。

症状が似て見えることもありますが、支援の方法やリハビリの内容は異なります。まずはそれぞれの特徴を理解し、ご本人に合った支援につなげることが大切です。

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