失語症と高次脳機能障害の違いとは?
まずは5分ほどの動画で全体像をご覧ください。
その後、記事でさらに詳しく解説しています。
脳卒中や頭部外傷の後遺症について調べていると、「失語症」と「高次脳機能障害」という言葉を目にすることがあります。
どちらも脳の損傷によって起こる障害ですが、同じものではありません。
実際の臨床でも、
「失語症と高次脳機能障害は何が違うのですか?」
「失語症も高次脳機能障害の一種ですか?」
といった質問を受けることがあります。
この記事では、失語症と高次脳機能障害の違いについてわかりやすく解説します。
失語症とは?
失語症とは、脳の言語中枢が損傷されることで起こる言葉の障害です。
主に、
- 話す
- 聞く
- 読む
- 書く
といった言語機能に影響が現れます。
例えば、
- 言葉が出てこない
- 相手の話が理解しにくい
- 文字が読めない
- 文字が書けない
といった症状がみられます。
失語症の中心的な問題は、「言葉」にあります。
高次脳機能障害とは?
高次脳機能障害とは、脳の損傷によって起こる認知機能の障害の総称です。
認知機能には、
- 記憶
- 注意
- 判断
- 計画
- 感情のコントロール
などが含まれます。
高次脳機能障害では、
- 物忘れが増える
- 集中できない
- 段取りが立てられない
- 感情のコントロールが難しい
といった症状がみられます。
失語症は高次脳機能障害の一種?
広い意味では、失語症も脳の高次な機能が障害された状態であり、高次脳機能障害に含まれることがあります。
しかし医療現場では、
- 失語症
- 高次脳機能障害
を区別して扱うことが一般的です。
これは症状や支援方法が異なるためです。
違いを比較してみましょう
失語症
主な障害
- 言葉
困りごと
- 話せない
- 聞いて理解できない
- 読めない
- 書けない
代表的な症状
- 呼称障害
- 錯語
- 聴理解障害
高次脳機能障害
主な障害
- 記憶
- 注意
- 遂行機能
- 社会的行動
困りごと
- 忘れ物が多い
- 約束を忘れる
- 集中できない
- 仕事の段取りができない
代表的な症状
- 記憶障害
- 注意障害
- 遂行機能障害
- 社会的行動障害
両方の症状がみられることもある
脳卒中や頭部外傷では、
- 失語症
- 高次脳機能障害
が同時にみられることも珍しくありません。
例えば、
失語症によって言葉が出にくいだけでなく、
- 注意力が低下している
- 物忘れがある
- 段取りが苦手になっている
ことがあります。
そのため、症状を正しく評価することが重要です。
家族から見ると区別が難しいことも
ご家族からすると、
- 会話が成り立たない
- 指示が伝わらない
- 忘れっぽくなった
などの様子から、失語症なのか高次脳機能障害なのか分かりにくいことがあります。
実際には複数の症状が重なっていることもあるため、医師や言語聴覚士などの専門職による評価が大切です。
リハビリの違い
失語症では、
- 呼称訓練
- 音読訓練
- 復唱訓練
- 書字訓練
など、言語機能に対するリハビリが中心になります。
一方、高次脳機能障害では、
- メモの活用
- スケジュール管理
- 注意訓練
- 問題解決訓練
など、日常生活を支えるための訓練が行われます。
まとめ
失語症と高次脳機能障害は、どちらも脳の損傷によって起こる障害ですが、対象となる機能が異なります。
失語症は「言葉の障害」、高次脳機能障害は「記憶・注意・判断など認知機能の障害」と考えると分かりやすいでしょう。
ただし、両方の症状が同時にみられることも少なくありません。
正しい理解と適切な支援によって、ご本人の生活をより良いものにしていくことが大切です。

