伝導失語とは?
失語症にはさまざまな種類がありますが、その中でも比較的特徴的な症状を示すのが「伝導失語(でんどうしつご)」です。
伝導失語の方は、
- 会話は比較的できる
- 相手の話も理解できる
にもかかわらず、
「聞いた言葉をそのまま繰り返すことが難しい」
という特徴があります。
そのため、一見すると失語症には見えにくいこともあります。
この記事では、伝導失語の特徴や症状、リハビリについてわかりやすく解説します。
伝導失語とは?
伝導失語とは、言葉を理解する領域と話す領域を結ぶ神経経路が障害されることで起こる失語症です。
従来は、
- ブローカ野(話す中枢)
- ウェルニッケ野(理解する中枢)
を結ぶ「弓状束(きゅうじょうそく)」の障害によって起こると考えられてきました。
現在では、より広い言語ネットワークの障害が関係すると考えられています。
主な原因
伝導失語の原因として最も多いのは脳卒中です。
特に、
- 脳梗塞
- 脳出血
によって左頭頂葉や側頭葉周辺が障害されることで起こります。
そのほか、
- 頭部外傷
- 脳腫瘍
- 脳炎
などが原因となることもあります。
伝導失語の特徴
伝導失語では、
「理解できる」
「話せる」
にもかかわらず、
「復唱が難しい」
という特徴がみられます。
話す
- 比較的流暢に話せる
- 言い間違いがみられる
- 自分で言い直そうとする
聞く
- 比較的理解できる
読む
- 比較的保たれることが多い
書く
- 軽度の障害がみられることがある
復唱
- 特に苦手
これが最大の特徴です。
復唱障害とは?
復唱とは、
相手が言った言葉をそのまま繰り返すこと
です。
例えば、
「今日は良い天気ですね」
と言われたとき、
そのまま繰り返してもらうと、
「今日は……よい……てん……」
のように途中でつかえたり、言い間違えたりします。
特に長い文章になるほど難しくなる傾向があります。
音韻性錯語がみられる
伝導失語では、
音韻性錯語(おんいんせいさくご)
がよくみられます。
例えば、
「テレビ」
と言いたいのに、
「テベリ」
「テレピ」
のように音が入れ替わることがあります。
ご本人は間違いに気づくことが多く、
何度も言い直そうとする姿がみられます。
ご本人は障害を自覚しやすい
伝導失語の方は、
- 理解が比較的保たれている
- 自分の言い間違いに気づく
ため、
「うまく話せない」
ことを強く自覚する場合があります。
そのため、
- イライラする
- 自信を失う
- 会話を避ける
こともあります。
ブローカ失語やウェルニッケ失語との違い
ブローカ失語
- 話すことが難しい
- 理解は比較的保たれる
ウェルニッケ失語
- 流暢に話す
- 理解が難しい
伝導失語
- 話せる
- 理解もできる
- 復唱が難しい
この違いが伝導失語の大きな特徴です。
リハビリでは何をする?
伝導失語では、
- 復唱訓練
- 音読練習
- 呼称訓練
- 音韻訓練
などが行われます。
特に、
音を正確に並べる練習
が重要になります。
症状に応じて言語聴覚士が訓練内容を調整します。
家族ができる関わり方
伝導失語の方と話すときは、
- 言い直しを急がせない
- 最後まで話を聞く
- 間違いを責めない
ことが大切です。
ご本人は自分で誤りに気づいていることが多いため、焦らせずにコミュニケーションを取ることが重要です。
まとめ
伝導失語とは、言葉を理解する機能と話す機能を結ぶネットワークが障害されることで起こる失語症です。
特徴は、
- 会話は比較的できる
- 理解も比較的保たれる
- 復唱が難しい
- 音韻性錯語がみられる
ことです。
一見すると失語症と気づかれにくいこともありますが、ご本人は大きな困難を抱えている場合があります。
適切なリハビリと周囲の理解によって、コミュニケーションの改善が期待できます。

