注意力を高める練習方法
高次脳機能障害では、
- 集中力が続かない
- 気が散りやすい
- ミスが増えた
- 一度に複数のことができない
といった「注意障害」がみられることがあります。
ご本人やご家族の中には、
- 「注意力は鍛えられるの?」
- 「家でも練習できる?」
- 「どんなリハビリをすればいいの?」
と疑問に思う方もいるでしょう。
結論からお伝えすると、注意力は適切なリハビリや生活の工夫によって改善が期待できます。
ただし、「集中しなさい」と言われて集中できるものではありません。
大切なのは、ご本人の状態に合った練習を無理なく続けることです。
この記事では、自宅でも取り組める注意力を高める練習方法をご紹介します。
注意力は一つではない
注意力と一言でいっても、いくつかの種類があります。
例えば、
- 一つのことに集中する力
- 注意を切り替える力
- 二つのことを同時に行う力
- 必要な情報だけに注意を向ける力
などです。
どの力が低下しているかによって、困りごとや練習方法も変わります。
まずは集中しやすい環境を作る
練習を始める前に、環境を整えることが大切です。
例えば、
- テレビを消す
- ラジオを止める
- 人の出入りが少ない部屋を選ぶ
- 机の上を整理する
などです。
周囲の刺激が少ないほど、一つのことに集中しやすくなります。
これは日常生活でも役立つ工夫です。
短時間から始める
長時間集中し続けることは、多くの方にとって負担になります。
最初は、10〜15分程度を目安に始めましょう。
疲れる前に休憩を入れることで、集中力を維持しやすくなります。
慣れてきたら、少しずつ時間を延ばしていきます。
間違い探しやパズル
楽しみながら取り組める練習です。
例えば、
- 間違い探し
- パズル
- 点つなぎ
- 迷路
などがあります。
一つの課題に集中する練習になるだけでなく、達成感も得られます。
難しすぎる問題ではなく、「少し頑張ればできる」レベルを選ぶことがポイントです。
文字や数字を探す練習
注意障害のリハビリでは、「抹消課題」と呼ばれる練習がよく行われます。
例えば、紙に並んだ文字の中から、「あ」だけを探して丸を付ける
数字の中から、「3」だけを探すといった課題です。
必要な情報だけに注意を向ける力を鍛える練習になります。
読書を取り入れる
読書も注意力のトレーニングになります。
ただし、長い文章を読む必要はありません。
新聞記事や短いコラムなど、5〜10分程度で読める内容から始めましょう。
読み終えた後に、「どんな内容だった?」と振り返ると、理解力や記憶力の練習にもなります。
家事をリハビリにする
日常生活の中でも注意力を鍛えることができます。
例えば、
- 洗濯物をたたむ
- 食器を片付ける
- 料理をする
などです。
一つ一つの作業を丁寧に行うことで、集中する練習になります。
家事は実際の生活につながるため、リハビリとしても効果的です。
「ながら作業」は避ける
注意障害がある場合は、
- テレビを見ながら食事をする
- 会話しながら家計簿をつける
- 音楽を聴きながら書類を書く
などの「ながら作業」でミスが増えやすくなります。
まずは、一つのことを終えてから次のことを行う習慣をつけましょう。
これだけでも失敗を減らせることがあります。
疲れたら休憩する
高次脳機能障害では、疲労によって注意力が低下しやすいことがあります。
集中できなくなったら、「もう少し頑張ろう」ではなく、5〜10分程度休憩することも大切です。
無理を続けるより、休憩を挟んだ方が結果的に集中しやすくなることがあります。
家族がサポートするときのポイント
ご家族は、「もっと集中して!」と言いたくなることがあるかもしれません。
しかし、注意障害は気持ちの問題ではありません。
そのため、
- 静かな環境を整える
- 一つずつ説明する
- 集中できたことを褒める
といった関わり方の方が、ご本人の意欲につながります。
「できる時間」を少しずつ延ばす
注意力は、一日で大きく改善するものではありません。
最初は、
- 5分集中できた
- 最後まで課題を終えられた
という小さな成功を積み重ねることが大切です。
少しずつ集中できる時間が延びていけば、それが回復につながっていきます。
まとめ
注意力を高めるためには、集中しやすい環境を整え、短時間から無理なく練習を始めることが大切です。
間違い探しや抹消課題、読書、家事など、生活の中で取り組める練習も多くあります。
また、「ながら作業」を避け、疲れたら休憩することも注意力を保つためには重要です。
焦って長時間取り組む必要はありません。毎日少しずつ続けることが、注意力の向上や生活のしやすさにつながります。

