高次脳機能障害に対して理学療法士はどんな役割?
高次脳機能障害のリハビリでは、
- 医師
- 言語聴覚士(ST)
- 作業療法士(OT)
- 理学療法士(PT)
など、多くの専門職が関わります。
その中で、「理学療法士は歩く練習だけをする人?」と思われることがあります。
確かに理学療法士は歩行や運動機能のリハビリを専門としていますが、高次脳機能障害のある方にとっても重要な役割を担っています。
この記事では、高次脳機能障害に対して理学療法士がどのような支援を行うのかをわかりやすく解説します。
理学療法士とは?
理学療法士(Physical Therapist:PT)は、
身体を動かす機能を回復・維持し、安全に生活できるよう支援する国家資格です。
対象となるのは、
- 脳卒中
- 頭部外傷
- 骨折
- パーキンソン病
- 整形外科疾患
など、さまざまな病気やけがです。
高次脳機能障害では認知機能だけでなく、麻痺やバランス障害を伴うことも多いため、理学療法士の支援は欠かせません。
身体機能を評価する
リハビリを始める前に、理学療法士は身体の状態を詳しく確認します。
例えば、
- 筋力
- バランス能力
- 歩行能力
- 立ち上がる力
- 疲れやすさ
などを評価します。
高次脳機能障害では、身体機能だけでなく注意障害や半側空間無視が歩行に影響していないかも確認します。
歩行のリハビリ
理学療法士の代表的な役割が歩行訓練です。
例えば、
- 安全に歩く練習
- 杖や歩行器の使い方
- 階段の昇り降り
- 屋外歩行
などを行います。
高次脳機能障害がある場合は、「歩けること」と「安全に歩けること」は必ずしも同じではありません。
注意力や判断力も考慮しながら練習を進めます。
バランス能力を高める
脳卒中後は、
- ふらつく
- 転びやすい
- 方向転換が苦手
になることがあります。
理学療法士は、
- 立位バランス
- 歩行中のバランス
- 姿勢の安定
を高める練習を行い、転倒予防につなげます。
麻痺へのリハビリ
高次脳機能障害は、麻痺を伴うことも少なくありません。
理学療法士は、
- 筋力を維持する
- 関節が硬くならないようにする
- 動かし方を練習する
など、身体機能の回復を目指したリハビリを行います。
身体が動きやすくなることで、日常生活の自立にもつながります。
半側空間無視への支援
半側空間無視がある方では、歩行中に、
- 左側の壁
- 家具
- 人
に気づかず接触することがあります。
理学療法士は、
- 左側を見る習慣をつける
- 歩行中の注意を促す
- 安全な移動方法を身につける
などの練習を行います。
安全に移動できるよう支援することも重要な役割です。
日常生活で安全に動けるようにする
病院の中だけ歩けても、自宅では環境が異なります。
そのため、
- 段差
- 廊下
- トイレ
- 玄関
など、自宅での生活を想定した練習を行うこともあります。
必要に応じて、
- 手すりの設置
- 家具の配置
などについて助言することもあります。
体力づくりも重要
高次脳機能障害では、活動量が減ることで体力が低下しやすくなります。
また、疲れやすさを感じる方も少なくありません。
理学療法士は、
- 無理のない運動
- 持久力を高める運動
- 休憩の取り方
なども一緒に考えます。
体力が向上すると、日常生活や外出もしやすくなります。
他の専門職との連携
高次脳機能障害では、一人の専門職だけで支援することはありません。
例えば、
- 言語聴覚士が認知機能やコミュニケーションを支援する
- 作業療法士が家事や仕事の練習を行う
- 理学療法士が安全な移動や身体機能を支援する
というように、それぞれが専門性を生かしながら連携しています。
ご本人が安心して生活できるよう、チームで支援を進めていきます。
理学療法士の目標は「安全に動けること」
理学療法士の目標は、「たくさん歩けるようになること」だけではありません。
- 転倒を防ぐ
- 安全に外出できる
- 自宅で安心して生活できる
ことも大切な目標です。
身体機能と高次脳機能の両方を考えながら、その人に合ったリハビリを行います。
まとめ
理学療法士は、高次脳機能障害のある方に対して、歩行やバランス、麻痺へのリハビリを中心に、安全に生活できる身体づくりを支援する専門職です。
また、半側空間無視や注意障害などにも配慮しながら、転倒予防や安全な移動方法を一緒に練習します。
言語聴覚士や作業療法士など他の専門職とも連携し、ご本人が安心して自分らしい生活を送れるよう支援していくことが、理学療法士の大切な役割です。

