運転は再開できる?注意点を解説
高次脳機能障害になると、多くの方が気になるのが「運転を再開できるのか」という問題です。
特に地方では、
- 車がないと買い物へ行けない
- 通院が難しい
- 仕事へ行けない
など、生活に大きな影響があります。
一方で、ご家族は、
- 「本当に運転して大丈夫なの?」
- 「事故を起こさないか心配」
- 「もう運転はあきらめた方がいいのでは?」
と不安を感じることも少なくありません。
高次脳機能障害では、身体に麻痺がほとんどなくても、注意力や判断力などが低下していることがあります。
そのため、運転の再開は慎重に判断する必要があります。
この記事では、高次脳機能障害のある方が運転を再開する際の注意点について解説します。
高次脳機能障害では運転に必要な能力が影響を受けることがある
自動車の運転では、
- 周囲を見渡す注意力
- 危険を予測する判断力
- 標識や信号を理解する力
- 素早く操作する力
- 行き先を覚える記憶力
など、多くの能力を同時に使っています。
高次脳機能障害では、
- 注意障害
- 遂行機能障害
- 半側空間無視
- 記憶障害
- 病識低下
などの症状があると、安全な運転が難しくなる場合があります。
見た目に問題がなくても、運転能力が低下していることがあるため注意が必要です。
「身体が動く=運転できる」ではない
手足の麻痺が改善すると、「もう運転しても大丈夫」と思う方がいます。
しかし、運転に必要なのは身体の動きだけではありません。
例えば、青信号になっても前の車が急ブレーキをかけたときに素早く反応したり、
歩行者や自転車を見落とさずに運転したりするには、認知機能が大きく関わっています。
そのため、身体機能だけで運転の可否を判断することはできません。
自己判断で運転を再開しない
「少し近所を走るだけだから」「昔から運転には慣れているから」
という理由で、自己判断で運転を再開することは避けましょう。
高次脳機能障害では、自分の能力の低下に気づきにくい病識低下がみられることもあります。
そのため、「自分では大丈夫」と思っていても、実際には危険な場面が起きていることがあります。
運転を再開するかどうかは、必ず主治医や専門職と相談しながら判断することが大切です。
運転再開には評価が重要
運転を再開する際には、医師やリハビリスタッフによる評価を受けることが勧められます。
例えば、
- 注意力
- 判断力
- 視空間認知
- 記憶力
- 処理速度
などを神経心理学的検査で確認します。
必要に応じて、自動車運転評価を実施している医療機関や専門施設を紹介されることもあります。
検査の結果を参考にしながら、安全に運転できるかを総合的に判断します。
運転免許について確認する
高次脳機能障害になった場合は、運転免許に関する手続きが必要になることがあります。
病気や障害の内容によっては、主治医の診断書の提出が求められたり、運転適性について確認されたりする場合があります。
運転を再開したいと考えている場合は、自己判断で運転する前に、主治医へ相談し、必要に応じて各都道府県の運転免許センター(運転適性相談窓口)にも相談しましょう。
家族が「大丈夫」と判断しない
ご家族は、「運転できそうだから」あるいは、
「絶対に運転させたくない」と感情的に判断してしまうことがあります。
しかし、運転の可否は家族だけで判断するものではありません。
専門的な評価を受けたうえで、安全性を確認することが重要です。
家族は、ご本人と専門職をつなぐ役割として関わることが大切です。
運転以外の移動手段も考える
運転を再開できない場合でも、生活が終わるわけではありません。
例えば、
- 公共交通機関
- タクシー
- 家族の送迎
- 地域の移動支援サービス
- 福祉タクシー
など、さまざまな移動手段があります。
地域によって利用できるサービスは異なるため、市区町村や地域包括支援センターなどへ相談してみましょう。
焦らず慎重に判断する
仕事や生活のために、「早く運転したい」と思う気持ちは自然なことです。
しかし、安全に運転できることは、ご本人だけでなく周囲の人を守ることにもつながります。
運転の再開を急ぐのではなく、リハビリを続けながら、専門職と一緒に判断していくことが大切です。
運転できなくても自分らしい生活は続けられる
運転を再開できなかった場合、落ち込んでしまう方もいます。
しかし、自分に合った移動方法を見つけることで、買い物や通院、趣味や社会参加を続けることは十分可能です。
「運転できるかどうか」だけではなく、「どうすれば安心して生活できるか」という視点で考えることが大切です。
まとめ
高次脳機能障害では、身体に麻痺がなくても注意力や判断力などの低下により、安全な運転が難しくなることがあります。
そのため、自己判断で運転を再開せず、主治医やリハビリスタッフによる評価を受け、必要に応じて運転適性について専門的な確認を受けることが大切です。
また、運転が難しい場合でも、公共交通機関や地域の支援サービスなどを活用することで、自分らしい生活を続けることは可能です。
大切なのは、「運転を再開すること」ではなく、「安全に安心して生活を送ること」です。焦らず、ご本人・ご家族・専門職が一緒になって最適な方法を考えていきましょう。

