家事はどこまでできる?無理のない始め方(高次脳機能障害)
退院後の生活では、「家事を少しずつ再開したい」と考える方が多くいます。
一方で、
- 「何から始めればいいの?」
- 「一人でやらせても大丈夫?」
- 「失敗したら危なくない?」
- 「家族はどこまで手伝えばいい?」
と、不安を感じるご家族も少なくありません。
高次脳機能障害では、身体がよく動く場合でも、
- 記憶障害
- 注意障害
- 遂行機能障害
- 半側空間無視
などによって、家事が以前と同じようにはできなくなることがあります。
しかし、家事をまったくしない生活になると、自立する機会が減ってしまいます。
大切なのは、できることから少しずつ始めることです。
この記事では、高次脳機能障害のある方が無理なく家事を始めるためのポイントをご紹介します。
家事は大切なリハビリになる
家事は、単なる「お手伝い」ではありません。
例えば、料理では、
- 献立を考える
- 材料を準備する
- 火加減を見る
- 時間を確認する
など、多くの脳の働きを使います。
洗濯や掃除でも、順番を考えたり、必要な物を準備したりする必要があります。
そのため、家事は日常生活の中で行える、とても実践的なリハビリになります。
最初から元通りを目指さない
退院すると、「以前は全部できていたから」と、同じように家事をしようとしてしまうことがあります。
しかし、以前と同じ量や内容を一度に行うと、疲れたり、失敗が増えたりすることがあります。
まずは、「一つの家事だけ」から始めることが大切です。
焦らず、少しずつ生活に慣れていきましょう。
簡単な家事から始める
最初は、成功しやすい家事を選びましょう。
例えば、
- 洗濯物をたたむ
- テーブルを拭く
- ゴミをまとめる
- 食器を運ぶ
- 植物に水をあげる
などです。
短時間で終わる家事は、疲れにくく、自信にもつながります。
手順を分かりやすくする
遂行機能障害があると、「何から始めればよいか分からない」ということがあります。
そのような場合は、例えば、
- 洗剤を入れる
- 洗濯物を入れる
- スイッチを押す
というように、手順を書いたメモを準備すると分かりやすくなります。
写真やイラストを使う方法もおすすめです。
一度にたくさん任せない
家事をまとめてお願いすると、混乱してしまうことがあります。
例えば、「掃除・洗濯・買い物を全部お願い」ではなく、
「今日は洗濯物をたたもう」というように、一つずつお願いすると取り組みやすくなります。
疲れたら休憩する
高次脳機能障害では、家事をしているだけでも脳は多くのエネルギーを使います。疲れると、
- 集中力が低下する
- ミスが増える
- イライラしやすくなる
ことがあります。
そのため、30分ほど作業したら休憩するなど、無理のないペースで行いましょう。
危険を伴う家事は慎重に
家事の中には、安全面への配慮が必要なものもあります。
例えば、
- ガスコンロを使う料理
- 包丁を使う調理
- 高い場所での掃除
などです。
注意障害や記憶障害がある場合は、火の消し忘れや転倒などの危険があります。
必要に応じて、家族が見守りながら行ったり、IHコンロを利用したりするなど、安全に配慮しましょう。
家族は「見守る」ことを意識する
ご家族は、「危ないから私がやる」と思うことがあります。
もちろん、安全を守ることは大切ですが、できることまで家族が代わりに行ってしまうと、ご本人が経験を積む機会が少なくなります。
困ったときだけ手伝い、できるところは見守ることも大切な支援です。
できたことを認める
家事が以前より時間がかかったり、失敗したりすることもあります。
しかし、「全部できたか」ではなく、
- 自分から始められた
- 最後まで取り組めた
- 一人でできた部分があった
という点にも目を向けましょう。
成功体験を積み重ねることが、次への意欲につながります。
家事を続けることが生活の自信につながる
家事は、生活に必要なだけでなく、「自分にも役割がある」という実感を持てる大切な活動です。
家族の一員として役割を持つことは、自信や生きがいにもつながります。
無理のない範囲で家事を続けることは、自立した生活への大きな一歩になります。
まとめ
高次脳機能障害があっても、ご本人の状態に合わせて家事に取り組むことは十分可能です。
最初は簡単な家事から始め、手順を分かりやすくしたり、疲れたら休憩したりするなどの工夫を取り入れましょう。
また、ご家族はすべてを代わりに行うのではなく、安全に配慮しながら見守ることが大切です。
家事は日常生活の中で行える大切なリハビリです。
できることを少しずつ増やし、「自分でできた」という経験を積み重ねながら、その人らしい生活を築いていきましょう。

