買い物や金銭管理の工夫(高次脳機能障害)
退院後の生活では、買い物やお金の管理が欠かせません。
しかし、高次脳機能障害があると、
- 「買う物を忘れてしまう」
- 「予定より多く買ってしまう」
- 「支払いを忘れてしまう」
- 「おつりの計算が難しい」
などの困りごとが起こることがあります。
これらは、記憶障害や注意障害、遂行機能障害などの影響によるものであり、ご本人の努力不足ではありません。
だからこそ、「頑張る」だけではなく、生活しやすい仕組みを作ることが大切です。
この記事では、買い物や金銭管理を安心して行うための工夫をご紹介します。
買い物はメモを活用する
買い物で最も役立つ方法の一つが、買い物メモを作ることです。
例えば、
- 牛乳
- パン
- 卵
- ティッシュ
など、必要な物を書き出してから出かけましょう。
買った物にはチェックを付けるようにすると、同じ物を何度も買ってしまうことを防ぎやすくなります。
スマートフォンのメモアプリを利用してもよいでしょう。
一度にたくさん買おうとしない
大きなスーパーで多くの買い物をすると、覚えることや判断することが増え、疲れや混乱につながることがあります。
最初は、
- コンビニ
- 小さなスーパー
などで、
必要な物だけを買う練習から始めるのがおすすめです。
慣れてきたら、少しずつ買う物の数や行く場所を広げていきましょう。
買い物の順番を決めておく
買い物では、何から買えばよいか分からなくなってしまうことがあります。
そのような場合は、例えば、
- 野菜
- 肉・魚
- 牛乳・卵
- パン
- レジ
というように、毎回同じ順番で回るようにすると混乱しにくくなります。
「いつも同じ流れ」を作ることが、安心して買い物をするコツです。
現金を持ちすぎない
金銭管理が難しい場合は、必要以上のお金を持ち歩かないことも大切です。
例えば、「今日は3,000円だけ持って行く」というように決めておくと、使いすぎを防ぎやすくなります。
財布の中を整理し、お札や小銭を決まった場所へ入れておくことも役立ちます。
キャッシュレス決済も上手に活用する
キャッシュレス決済は、おつりの計算が不要になるため、便利な場合があります。
一方で、「いくら使ったか分かりにくい」ということもあるため、利用履歴を確認する習慣をつけることが大切です。
ご本人の状態に応じて、現金とキャッシュレスのどちらが使いやすいかを一緒に考えましょう。
支払い忘れを防ぐ工夫をする
公共料金や家賃などの支払いを忘れてしまうこともあります。
そのような場合は、
- カレンダーへ記入する
- スマートフォンの通知機能を使う
- 口座振替を利用する
などの工夫が役立ちます。
支払いを自動化できるものは、積極的に利用すると安心です。
家計簿を簡単につけてみる
細かい家計簿を続けることが難しい場合は、「今日は何に使ったか」だけを記録する簡単な方法でも十分です。
例えば、
- 食費 1,200円
- 日用品 800円
というように書くだけでも、
お金の流れを把握しやすくなります。
家族は「管理する」より「一緒に確認する」
ご家族は、心配のあまり、財布を預かったり、お金をすべて管理したりしたくなることがあります。
もちろん、安全面から必要な場合もありますが、できることまで家族が代わりに行うと、ご本人が経験を積む機会が少なくなってしまいます。
例えば、
- 一緒にレシートを確認する
- 一緒に財布の中を整理する
- 一緒に支払い予定を確認する
など、「一緒に確認する」という関わり方を意識すると、ご本人の自立につながりやすくなります。
困ったときは専門職へ相談する
買い物や金銭管理に大きな不安がある場合は、言語聴覚士や作業療法士などのリハビリスタッフへ相談してみましょう。
生活場面に合わせた練習方法や、ご本人に合った工夫を提案してもらえることがあります。
また、必要に応じて医療ソーシャルワーカーや相談支援専門員などへ相談し、利用できる制度について確認することも大切です。
「自分でできた」を増やすことが自信につながる
買い物や金銭管理は、毎日の生活に欠かせない活動です。
最初は家族と一緒でも構いません。
少しずつ、
- 一人で買い物ができた
- お金を正しく支払えた
- レシートを確認できた
という経験を積み重ねることで、自信や意欲につながります。
できなかったことではなく、「今日はここまでできた」という成功体験を大切にしましょう。
まとめ
高次脳機能障害があると、買い物や金銭管理で困ることがありますが、メモやチェックリスト、カレンダー、キャッシュレス決済などを上手に活用することで、生活しやすくなることがあります。
また、ご家族はすべてを代わりに行うのではなく、一緒に確認しながら少しずつ自立を支えることが大切です。
買い物や金銭管理は、日常生活の中で行える大切なリハビリでもあります。無理のない範囲で経験を積み重ね、ご本人に合った方法を見つけながら、安心して生活できる環境を整えていきましょう。

