退院後の生活でまず気をつけたいこと(高次脳機能障害)
高次脳機能障害で入院やリハビリを経験し、いよいよ退院の日を迎えると、
「家に帰れる」と安心する一方で、
- 「ちゃんと生活できるだろうか」
- 「また困ることが増えるのではないか」
- 「家族だけで支えられるだろうか」
と、不安を感じる方やご家族も少なくありません。
病院では医師やリハビリスタッフがそばにいましたが、退院後は自宅での生活が中心になります。そのため、環境の変化によって新たな困りごとが見つかることもあります。
しかし、退院はゴールではなく、新しい生活のスタートです。
焦らず一つずつ生活を整えていくことで、自宅でも安心して暮らせるようになります。
この記事では、退院後の生活でまず気をつけたいポイントについて解説します。
退院後は無理をしすぎない
退院すると、「早く元の生活に戻らなければ」と思ってしまう方がいます。
しかし、高次脳機能障害では、退院したからといって症状が完全になくなったわけではありません。
記憶障害や注意障害、疲れやすさなどは、退院後もしばらく続くことがあります。
退院直後は、
- 予定を詰め込みすぎない
- 家事や仕事を一気に始めない
- 十分な休息を取る
ことを意識しましょう。
焦らず生活に慣れていくことが大切です。
疲れやすさを理解する
高次脳機能障害では、身体は元気そうに見えても、脳が疲れやすくなっていることがあります。
長時間活動すると、
- 集中力が低下する
- ミスが増える
- イライラしやすくなる
- 物忘れが増える
ことがあります。
そのため、「疲れる前に休む」ことが大切です。
午前と午後に休憩時間を設けるなど、自分に合った生活リズムを作りましょう。
自宅で困ることを一つずつ確認する
病院では問題なくできていたことでも、自宅では環境が違うため、困ることがあります。
例えば、
- 薬の管理
- 食事の準備
- ゴミ出し
- 買い物
- お金の管理
などです。
「全部できるかどうか」ではなく、「どこで困っているか」を確認し、一つずつ工夫していくことが大切です。
生活リズムを整える
退院後は、生活リズムが乱れやすくなることがあります。
特に、
- 夜更かし
- 昼夜逆転
- 食事時間が不規則
になると、疲れやすさや集中力の低下につながることがあります。
できるだけ、
- 決まった時間に起きる
- 三食しっかり食べる
- 決まった時間に寝る
ことを心がけましょう。
規則正しい生活は、体だけでなく脳の回復にも役立ちます。
家族だけで抱え込まない
退院すると、ご家族が一人で支えようとしてしまうことがあります。
しかし、長く続けるためには、
- 主治医
- 言語聴覚士
- 作業療法士
- 理学療法士
- ケアマネジャー
- 高次脳機能障害支援拠点
など、専門職とも連携しながら生活することが大切です。
困ったことがあれば、早めに相談しましょう。
メモやカレンダーを活用する
退院後は、病院のようにスタッフが予定を教えてくれるわけではありません。
そのため、
- カレンダー
- 手帳
- スマートフォンの予定表
- メモ帳
などを活用して、自分で予定を確認する習慣を作ることが大切です。
最初は家族と一緒に確認しながら進めていくと安心です。
「できないこと」ではなく「できること」を大切にする
退院すると、以前との違いを感じて落ち込むことがあります。
しかし、
- 自分で着替えられる
- 一人で散歩ができる
- 家事を少し手伝える
など、できることもたくさんあります。
できないことばかりに目を向けるのではなく、「今日できたこと」を積み重ねていくことが大切です。
困ったことは記録しておく
退院後は、生活して初めて気づく困りごとが出てきます。
例えば、
- 外出すると疲れやすい
- 買い物で混乱する
- 薬を飲み忘れる
などです。
困ったことをメモしておくと、外来受診やリハビリの際に相談しやすくなります。
また、解決方法を一緒に考えてもらうこともできます。
少しずつ生活範囲を広げる
退院直後から、発症前と同じ生活を目指す必要はありません。
まずは、
- 家の中で過ごす
- 近所を散歩する
- コンビニへ行く
- スーパーへ買い物に行く
というように、少しずつ生活範囲を広げていきましょう。
成功体験を積み重ねることで、自信につながります。
「退院=リハビリ終了」ではない
退院すると、「リハビリは終わった」と思う方もいます。
しかし、退院後も生活そのものがリハビリです。
毎日の生活の中で、
- メモを使う
- 家事を行う
- 外出する
- 人と話す
ことが、脳を使う大切な機会になります。
無理のない範囲で活動を続けることが、生活の質の向上につながります。
まとめ
退院後の生活では、焦らず生活リズムを整え、疲れすぎないように過ごすことが大切です。
また、自宅で困ることを一つずつ確認し、メモやカレンダーなどを活用しながら、自分に合った生活の工夫を取り入れていきましょう。
退院はゴールではなく、新しい生活のスタートです。
ご本人だけでなく、ご家族も無理をせず、専門職や地域の支援を活用しながら、一歩ずつ自分らしい生活を築いていくことが大切です。

