髄膜炎による難聴とは?
「髄膜炎になると難聴になることがあると聞きました。」
「なぜ耳に影響が出るのでしょうか。」
髄膜炎は、脳や脊髄を包む「髄膜」に炎症が起こる病気です。
命に関わることもある重い病気ですが、治療によって回復した後も、難聴をはじめとした後遺症が残ることがあります。
特に細菌性髄膜炎では、聞こえに関わる内耳が障害されることがあり、早期発見と適切な対応がとても重要です。
この記事では、髄膜炎による難聴の原因や症状、治療、リハビリテーションについて、言語聴覚士がわかりやすく解説します。
髄膜炎とは?
髄膜炎とは、脳や脊髄を包んでいる髄膜に炎症が起こる病気です。
原因には、
- 細菌
- ウイルス
- 真菌(カビ)
などがあります。
この中でも、細菌性髄膜炎は重症化しやすく、難聴などの後遺症が残ることがあります。
なぜ難聴になるの?
髄膜炎では、炎症が内耳まで広がることがあります。
内耳には、音を感じ取る蝸牛や、平衡感覚を担う前庭があります。
炎症によって、これらの組織や聴神経が障害されると、音を十分に感じ取れなくなり、
感音難聴が起こることがあります。
どのような症状が現れる?
髄膜炎による難聴では、次のような症状がみられることがあります。
- 聞こえが悪くなる
- 言葉が聞き取りにくい
- 耳鳴り
- めまい
- バランスが取りにくい
難聴は、片耳だけの場合もあれば、両耳に起こることもあります。
また、髄膜炎が落ち着いた後に初めて気付かれることもあります。
子どもでは言葉の発達へ影響することも
乳幼児や小さなお子さんが髄膜炎になった場合は、聞こえにくさによって言葉の発達へ影響することがあります。
例えば、
- 呼びかけへの反応が少ない
- 言葉の発達がゆっくりになる
- 発音が不明瞭になる
などの変化がみられることがあります。
そのため、退院後も聞こえを確認することが大切です。
聴力検査を受けよう
髄膜炎の治療後は、症状がなくても聴力検査を受けることが勧められます。
特に小さなお子さんでは、本人が聞こえにくさを訴えられないこともあります。
早期に難聴を見つけることで、補聴器や人工内耳などの支援につなげることができます。
治療後の支援
難聴が残った場合は、聞こえの状態に応じた支援を行います。
例えば、
- 補聴器
- 人工内耳
- 聴覚リハビリテーション
- 学校や職場での配慮
などを組み合わせながら、生活しやすい環境を整えていきます。
髄膜炎による難聴では、内耳の変化が時間とともに進行し、人工内耳の手術が難しくなることがあるため、必要に応じて早めに専門医と相談することも重要です。
家族が気を付けたいこと
退院後は、聞こえの変化に気付くことが大切です。
例えば、
- 呼びかけへの反応
- テレビの音量
- 聞き返しの回数
- 学校で困っていないか
などを日頃から見守りましょう。
少しでも気になることがあれば、早めに耳鼻咽喉科へ相談することが大切です。
ワクチンによる予防も大切
細菌性髄膜炎の原因となる細菌の中には、ヒブ(Hib)や肺炎球菌など、ワクチンで予防できるものがあります。
定期接種のワクチンは、重症化や難聴などの後遺症を防ぐためにも重要です。
予防接種については、自治体やかかりつけ医と相談しながら進めましょう。
言語聴覚士ができる支援
言語聴覚士(ST)は、髄膜炎による難聴がある方に対して、聞こえや言葉の発達を評価し、コミュニケーションの支援を行います。
乳幼児では言葉の発達を促す支援、学童期では学校生活のサポート、成人では仕事や日常生活でのコミュニケーション方法について助言します。
また、耳鼻咽喉科や教育機関と連携しながら、長期的な支援を行います。
早期発見・早期支援が大切
髄膜炎による難聴は、早く見つけて適切な支援を始めることが、その後の生活に大きく影響します。
補聴器や人工内耳、リハビリテーションなどを活用することで、聞こえを補いながら生活している方も多くいます。
退院後も定期的に聞こえを確認し、困ったことがあれば早めに専門家へ相談しましょう。
まとめ
髄膜炎による難聴は、特に細菌性髄膜炎の後遺症として起こることがあり、内耳や聴神経が障害されることで感音難聴を生じます。
乳幼児では言葉の発達にも影響することがあるため、退院後も聴力検査を受けることが大切です。
難聴が残った場合でも、補聴器や人工内耳、聴覚リハビリテーションなどの支援によって、聞こえを補いながら生活することができます。
聞こえの変化に気付いたら早めに耳鼻咽喉科へ相談し、適切な支援につなげましょう。

