聴覚障害と言葉の発達の関係
「耳が聞こえにくいと、言葉の発達にも影響するのでしょうか?」
「難聴があると話せるようにならないのでしょうか?」
お子さんの聞こえについて心配される保護者の方から、このような質問を受けることがあります。
結論から言うと、聴覚障害は言葉の発達に影響を与えることがあります。
しかし、それは「話せるようにならない」という意味ではありません。
早く気づき、適切な支援を受けることで、多くのお子さんが言葉を身につけ、コミュニケーションを広げていくことができます。
この記事では、聴覚障害と言葉の発達の関係について、言語聴覚士がわかりやすく解説します。
言葉は「聞くこと」から始まる
赤ちゃんは、生まれた直後から周囲の音や人の声を聞いています。
最初は意味を理解していませんが、
- お父さん、お母さんの声
- 音の高さやリズム
- 会話のやり取り
を毎日聞き続けることで、少しずつ言葉を覚えていきます。
つまり、言葉の発達の土台には「聞く経験」があります。
聞こえにくいと、言葉を覚えにくくなることがある
聞こえにくさがあると、人の話し声を十分に聞き取ることが難しくなります。
その結果、
- 新しい言葉を覚えにくい
- 言葉の意味が分かりにくい
- 発音をまねしにくい
ことがあります。
特に、生まれつき難聴がある場合や乳幼児期から聞こえにくさが続いている場合は、言葉の発達に影響が出やすくなります。
発音にも影響することがある
子どもは、自分の声だけでなく周囲の人の話し方を聞きながら発音を学びます。
しかし、十分に聞こえない状態では、「正しい音」が分かりにくいため、
- 発音が不明瞭になる
- 音の違いを区別しにくい
- 話し始める時期が遅くなる
ことがあります。
難聴の程度によって影響は異なる
言葉の発達への影響は、難聴の程度によって異なります。
例えば、
軽度難聴
日常会話は聞こえることも多いため、気づかれにくいことがあります。
しかし、
- 小さな声
- 語尾
- 子音
などが聞き取りにくく、語彙の増え方や発音に影響することがあります。
中等度以上の難聴
聞き取れる言葉の量が少なくなるため、言葉の発達への影響が大きくなることがあります。
そのため、補聴器や人工内耳、言語訓練などを早期に開始することが重要になります。
早期発見・早期支援が大切
現在、日本では多くの医療機関で新生児聴覚スクリーニングが行われています。
この検査によって、生まれてすぐに聞こえにくさが見つかることがあります。
難聴が見つかった場合には、
- 詳しい聴力検査
- 補聴器の装用
- 人工内耳の検討
- 言語聴覚士による支援
などを早い時期から始めることで、言葉の発達を支えられる可能性が高まります。
家庭での関わりも大切
言葉の発達には、家庭での関わりも欠かせません。
例えば、
- 顔を見ながら話す
- 絵本を一緒に読む
- 子どもの反応を待ちながら会話する
- ジェスチャーや表情も使って伝える
などの工夫は、コミュニケーションの発達につながります。
「たくさん話しかけること」と同じくらい、「子どもが理解しやすい伝え方」を意識することが大切です。
聴覚障害があっても言葉は育つ
「難聴だから話せない」というわけではありません。
現在では、
- 補聴器
- 人工内耳
- 言語聴覚士による言語訓練
- 保育・教育機関との連携
など、さまざまな支援があります。
一人ひとりに合った支援を受けることで、多くのお子さんが言葉を身につけ、自分らしいコミュニケーション方法を広げています。
保護者だけで抱え込まないことが大切
お子さんの言葉がゆっくりだと、「育て方が悪かったのではないか」と不安になる保護者の方もいます。
しかし、言葉の発達にはさまざまな要因が関係しており、聞こえにくさが影響していることもあります。
大切なのは、一人で悩まず、
- 耳鼻咽喉科医
- 小児科医
- 言語聴覚士
- 療育機関
などの専門家へ相談することです。
早めに相談することで、お子さんに合った支援を受けやすくなります。
まとめ
言葉は、周囲の音や人の声を聞く経験を積み重ねながら発達していきます。
そのため、聴覚障害があると、言葉を覚えたり、発音を学んだりすることに影響が出る場合があります。
しかし、早期発見・早期支援によって、その影響を小さくできる可能性があります。
補聴器や人工内耳、言語聴覚士による支援、家庭での関わりを組み合わせることで、お子さんの言葉の発達を支えることができます。
「聞こえ」と「言葉の発達」が気になる場合は、早めに専門機関へ相談することが大切です。

