高次脳機能障害を職場や学校へ伝えるべき?
高次脳機能障害のある方が復職や復学を考えるとき、多くの方が悩むのが、
- 「障害を職場や学校へ伝えた方がいいのだろうか」
- 「伝えたら不利になるのでは?」
- 「周りに理解してもらえるだろうか」
- 「できれば知られたくない」
という問題です。
高次脳機能障害は、外見からは分かりにくい障害です。
そのため、何も伝えなければ以前と同じように見られることが多くあります。
一方で、必要な配慮を受けられず、仕事や学校生活で困ってしまうことも少なくありません。
障害を伝えるかどうかに、誰にでも当てはまる正解はありません。しかし、安心して働き、学び続けるためには、ご自身の状況に合わせて考えることが大切です。
この記事では、障害を職場や学校へ伝えることについて考えていきましょう。
障害を伝えるかどうかは本人が決めること
まず大切なのは、障害を伝えるかどうかは、ご本人の意思が尊重されるべきということです。
「必ず伝えなければならない」あるいは、「絶対に伝えない方がいい」というものではありません。
ご本人の希望や仕事内容、学校生活の状況などを踏まえながら判断することが大切です。
迷ったときは、主治医やリハビリスタッフ、相談支援の専門職と一緒に考えるとよいでしょう。
高次脳機能障害は見えにくい障害
高次脳機能障害では、身体に目立った障害がない方も多くいます。
そのため、
- 忘れ物が多い
- 指示を聞き漏らす
- 作業に時間がかかる
- 疲れやすい
といった症状があっても、周囲からは、「やる気がない」「不注意だ」「努力が足りない」と誤解されてしまうことがあります。
こうした誤解が続くと、ご本人もつらい思いをすることがあります。
伝えることで受けられる配慮がある
障害について理解してもらうことで、職場や学校から必要な配慮を受けられる場合があります。
例えば、職場では、
- 業務内容の調整
- メモやチェックリストの活用
- 指示を一つずつ伝えてもらう
- 定期的な休憩時間の確保
学校では、
- 課題量の調整
- プリントの配布
- 試験時間への配慮
- 疲れたときの休憩
など、一人ひとりに合わせた支援を受けられることがあります。
すべてを詳しく話す必要はない
障害を伝えるといっても、病気や治療について細かく説明する必要はありません。
大切なのは、「どのような配慮があると力を発揮しやすいか」を伝えることです。
例えば、「新しいことを一度にたくさん説明されると覚えにくいので、メモを取りながら確認したいです。」
「疲れやすいため、短時間の休憩を取ることで集中力を維持できます。」など、具体的に伝えると理解してもらいやすくなります。
伝える相手を選ぶことも大切
職場や学校の全員へ話す必要はありません。
例えば、
- 上司
- 人事担当者
- 担任の先生
- 養護教諭
- 学校の支援担当者
など、必要な人へ伝えるだけでも十分な場合があります。
誰に、どこまで伝えるかについても、あらかじめ考えておくと安心です。
一人で説明することが難しい場合
障害について説明することに不安がある場合は、一人で行う必要はありません。
主治医や言語聴覚士、作業療法士、医療ソーシャルワーカーなどに相談し、
必要に応じて診断書や情報提供書を活用したり、一緒に説明したりすることもできます。
専門職が関わることで、障害の特徴や必要な配慮がより正確に伝わりやすくなります。
伝えなかった場合に起こり得ること
障害を伝えないという選択をする方もいます。
その場合、配慮を受けずに仕事や学校生活を続けられるのであれば問題ないこともあります。
しかし、困りごとがあるにもかかわらず周囲が障害を知らないと、
「なぜできないのか分からない」という状況になり、ご本人も周囲も困ってしまうことがあります。
そのような場合には、伝えることが結果として生活しやすさにつながることもあります。
復職・復学後も話し合いを続ける
一度伝えたら終わりではありません。実際に仕事や学校生活を始めると、
新たな困りごとが見つかることもあります。
そのため、定期的に、
- 困っていること
- 配慮してほしいこと
- 改善したこと
などを話し合いながら、必要に応じて支援内容を見直していくことが大切です。
自分らしく過ごすための選択を
障害を伝えることは、「特別扱いをお願いすること」ではありません。
ご本人が持っている力を発揮し、安心して働いたり学んだりするための環境を整えることが目的です。
どのような形が自分にとって最も過ごしやすいのかを考えながら、自分らしい選択をしていきましょう。
まとめ
高次脳機能障害を職場や学校へ伝えるかどうかは、ご本人の意思を尊重しながら考えることが大切です。
障害を伝えることで必要な配慮を受けられ、仕事や学校生活が送りやすくなることがあります。
一方で、すべてを詳しく説明する必要はなく、必要な配慮を中心に伝えるだけでも十分な場合があります。
迷ったときは、一人で判断せず、主治医やリハビリスタッフ、相談支援の専門職と相談しながら進めましょう。
自分らしく安心して働き、学び続けるために、無理のない方法を選ぶことが何より大切です。

