薬で嚥下障害は改善する?
「薬を飲めば嚥下障害は治りますか?」
「飲み込みを良くする薬はあるのでしょうか?」
「リハビリをしなくても薬だけで改善しますか?」
嚥下障害と診断されると、「薬で治せないのでしょうか?」と疑問に思う方は少なくありません。
結論から言うと、現在のところ、多くの嚥下障害に対して『これを飲めば治る』という薬はありません。
しかし、原因となる病気を治療したり、飲み込みに影響する症状を改善したりすることで、嚥下機能が良くなることがあります。
また、一部の方では嚥下機能の改善を目的として薬が使用されることもあります。
この記事では、薬による嚥下障害の治療についてわかりやすく解説します。
嚥下障害そのものを治す薬は少ない
嚥下障害は、
- 脳卒中
- パーキンソン病
- 神経筋疾患
- 頭頸部がん
- 加齢
など、さまざまな原因で起こります。
そのため、嚥下障害だけを治療する万能な薬はありません。
まずは、原因となる病気を治療することが基本になります。
原因となる病気の治療が重要
例えば、
パーキンソン病
パーキンソン病では、パーキンソン病の治療薬によって体の動きが改善すると、飲み込みが良くなることがあります。
逆流性食道炎
胃酸の逆流によって、のどの違和感や飲み込みにくさが起きている場合は、胃酸を抑える薬によって症状が改善することがあります。
感染症や炎症
のどの炎症や感染症が原因の場合は、その治療によって飲み込みやすくなることがあります。
嚥下反射を改善する薬が使われることもある
一部の患者さんでは、嚥下反射を改善することを目的に薬が使用されることがあります。
例えば、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬という高血圧の薬では、
副作用として咳が出やすくなることがあります。
この作用が、嚥下反射や咳反射を高める可能性があるとして研究されてきました。
ただし、すべての方に効果があるわけではなく、嚥下障害の治療薬として広く使用されているわけではありません。
漢方薬が使われることもある
医療機関によっては、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)などの漢方薬が処方されることがあります。
半夏厚朴湯は、のどの違和感や飲み込みにくさの改善が期待される場合があります。
また、六君子湯(りっくんしとう)などが、食欲低下や胃腸の働きを改善する目的で使用されることもあります。
ただし、これらもすべての嚥下障害に効果があるわけではありません。
薬だけでは改善しないことが多い
薬を使ったとしても、飲み込みに必要な筋肉が強くなるわけではありません。
そのため、多くの場合は、
- 嚥下リハビリ
- 食事の工夫
- 食形態の調整
などを組み合わせて治療を進めます。
薬だけで改善を目指すのではなく、総合的な治療が重要です。
飲んでいる薬が原因になることもある
一方で、現在服用している薬が、嚥下障害に影響することもあります。
例えば、眠気が強くなる薬や筋肉をゆるめる薬などでは、飲み込みが悪くなることがあります。
また、口の中が乾燥しやすくなる薬では、食べ物が飲み込みにくくなることもあります。
「最近薬が変わってから飲み込みにくくなった。」
と感じた場合は、自己判断で中止せず、医師や薬剤師へ相談しましょう。
市販薬で治そうとしない
市販薬やサプリメントで、嚥下障害が改善するという十分な根拠はありません。
「飲み込みが良くなる」と宣伝されている商品もありますが、医学的な効果が十分に証明されているとは限りません。
まずは医療機関で原因を調べ、適切な治療を受けることが大切です。
大切なのは原因に合わせた治療
嚥下障害は、原因によって治療方法が異なります。
そのため、薬だけで判断するのではなく、
- 原因となる病気の治療
- 嚥下リハビリ
- 食事の工夫
- 定期的な評価
を組み合わせることが、安全に食べ続けるためにつながります。
まとめ
現在のところ、多くの嚥下障害に対して「これを飲めば治る」という薬はありません。
しかし、原因となる病気を治療したり、一部の薬によって飲み込みを助けたりできる場合があります。
また、服用中の薬が嚥下機能へ影響していることもあるため、気になる症状がある場合は医師や薬剤師へ相談することが大切です。
嚥下障害の治療では、薬だけに頼るのではなく、リハビリや食事の工夫と組み合わせながら、その人に合った方法で取り組むことが重要です。

