言語聴覚士はどのように評価する?

「言語聴覚士(ST)は何を評価しているのでしょうか?」
「医師の診察とは何が違うのですか?」
「どのようなことを見てリハビリを考えるのでしょうか?」

嚥下障害の診療では、言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapist:ST)が重要な役割を担っています。

言語聴覚士は、単に「飲み込める・飲み込めない」を判断するのではありません。

飲み込みのどこに問題があるのか、どのようにすれば安全に食べられるのかを専門的な視点から評価し、

その人に合ったリハビリや食事方法を提案します。

この記事では、言語聴覚士がどのような評価を行っているのかについて、わかりやすく解説します。


言語聴覚士は「安全に食べる方法」を探す専門職

嚥下障害の評価で最も大切なのは、「食べられるかどうか」ではなく、

「どうすれば安全に食べられるか」を考えることです。

そのため、言語聴覚士は一つの検査結果だけではなく、さまざまな情報を総合的に評価します。


まずは問診を行う

評価は問診から始まります。

例えば、

  • いつから飲み込みにくくなったか
  • 何でむせることが多いか
  • 食事時間は長くなったか
  • 食後に咳や痰が増えるか
  • 体重は減っていないか
  • 発熱を繰り返していないか

などを確認します。

また、ご本人だけでなく、ご家族からの情報も重要です。


全身状態を確認する

飲み込みは、のどだけの問題ではありません。

そのため、

  • 意識状態
  • 呼吸状態
  • 姿勢
  • 疲れやすさ
  • 栄養状態

なども確認します。

体調が悪い日は、一時的に飲み込みが悪くなることもあります。


口や舌の動きを評価する

食べ物を安全に飲み込むためには、口や舌がしっかり動くことが大切です。

言語聴覚士は、

  • 唇が閉じられるか
  • 舌が上下左右へ動くか
  • 頬の筋肉は働いているか
  • あごの動きは十分か

などを確認します。

これによって、食べ物を口の中でまとめる力や、のどへ送る力を評価します。


声や咳の状態を確認する

声や咳も重要な評価項目です。

例えば、

  • 声がかすれていないか
  • 食後に声がガラガラにならないか
  • 咳をしっかりできるか

などを確認します。

咳が弱い場合は、

誤嚥しても食べ物を外へ出しにくくなることがあります。


実際の飲み込みを観察する

実際に、

  • とろみ水
  • ゼリー
  • 食事

などを飲み込んでもらい、

  • むせるか
  • 飲み込みに時間がかかるか
  • のどに残る感じがあるか

などを観察します。

これにより、日常の食事に近い状態で飲み込みを評価できます。


VEやVFの結果を確認する

必要に応じて、

  • 嚥下内視鏡検査(VE)
  • 嚥下造影検査(VF)

の結果も確認します。

言語聴覚士は、

  • 誤嚥の有無
  • 食べ物が残る場所
  • 飲み込み反射のタイミング

などを分析し、リハビリや食事方法を検討します。


食べ方や姿勢も評価する

飲み込みは、姿勢や食べ方によって大きく変わることがあります。

例えば、

  • 深く座れているか
  • あごの位置は適切か
  • 一口量は多すぎないか
  • 食べる速さは適切か

などを確認します。

姿勢を少し変えるだけで、安全に飲み込めるようになることもあります。


食形態が適切かを判断する

言語聴覚士は、現在の食事が合っているかも評価します。

例えば、

  • 普通食でよいか
  • やわらかい食事がよいか
  • とろみは必要か

などを検討します。

必要以上に食事を制限するのではなく、その人が安全に食べられる食形態を提案します。


リハビリの目標を考える

評価は診断だけで終わりではありません。

言語聴覚士は、評価結果をもとに、

  • 飲み込みを改善する訓練
  • 食事中の工夫
  • 家族への指導

などを計画します。

また、改善したかどうかを確認するために、定期的な再評価も行います。


多職種と連携して支援する

嚥下障害の支援では、言語聴覚士だけではなく、

  • 医師
  • 歯科医師
  • 歯科衛生士
  • 管理栄養士
  • 看護師
  • 作業療法士
  • 理学療法士

など、多くの専門職と連携して支援を行います。

例えば、管理栄養士は栄養面から食事内容を検討し、歯科医師や歯科衛生士は口腔内の状態や義歯の適合、口腔ケアについて評価・支援します。


まとめ

言語聴覚士は、「安全に食べられる方法」を見つけるために、飲み込みを総合的に評価する専門職です。

評価では、

  • 問診
  • 全身状態
  • 口や舌の動き
  • 声や咳
  • 実際の飲み込み
  • VE・VFの結果
  • 食べ方や姿勢
  • 食形態

など、多くの視点から状態を確認します。

その結果をもとに、一人ひとりに合ったリハビリや食事方法を提案し、

「食べる楽しみ」をできるだけ長く続けられるよう支援しています。

飲み込みに不安がある場合は、一人で悩まず、言語聴覚士に相談してみることをおすすめします。

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