神経筋疾患で嚥下障害が起こる理由
「神経筋疾患では、なぜ飲み込みが悪くなるのでしょうか?」
「筋肉の病気なのに、食事にも影響が出るの?」
「どのようなことに気をつければいいのでしょうか?」
神経筋疾患では、手足だけでなく、口や舌、のどの筋肉にも影響が及ぶことがあります。その結果、食べ物や飲み物を安全に飲み込むことが難しくなり、嚥下障害が起こることがあります。
ただし、すべての神経筋疾患で同じような症状が現れるわけではありません。病気の種類や進行の程度によって、症状や必要な対応は異なります。
この記事では、神経筋疾患で嚥下障害が起こる理由について、わかりやすく解説します。
神経筋疾患とは?
神経筋疾患とは、筋肉を動かす神経や筋肉そのものに障害が起こる病気の総称です。
代表的な病気には、
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
- 重症筋無力症
- 筋ジストロフィー
- 多発性筋炎・皮膚筋炎
- 延髄球麻痺
- 脊髄性筋萎縮症(SMA)
などがあります。
病気によって原因や経過は異なりますが、多くの場合、筋力の低下によって日常生活にさまざまな影響が現れます。
なぜ嚥下障害が起こるの?
飲み込みには、
- 唇
- 舌
- 頬
- のど
- 食道の入口
など、多くの筋肉が協調して働く必要があります。
神経筋疾患では、これらの筋肉を動かす神経や筋肉が障害されるため、
- 食べ物を噛みにくい
- 食べ物をまとめにくい
- 舌で送り込みにくい
- 飲み込みの力が弱い
- のどに食べ物が残りやすい
といった問題が起こります。
また、咳をする筋力も低下しやすいため、誤嚥した食べ物を十分に外へ出せないことがあります。
病気によって症状は異なる
神経筋疾患といっても、嚥下障害の現れ方は病気によって異なります。
例えば、
ALS(筋萎縮性側索硬化症)では、舌やのどの筋力が徐々に低下し、飲み込みが難しくなっていきます。
重症筋無力症では、食事の途中で筋肉が疲れやすくなり、食べ始めは問題なくても、後半になると飲み込みにくくなることがあります。
筋ジストロフィーでは、病気の進行に伴って口やのどの筋力が低下し、食事時間が長くなったり、むせたりすることがあります。
このように、病気ごとに特徴があるため、専門的な評価が重要になります。
神経筋疾患でみられる嚥下障害の症状
次のような症状がみられることがあります。
- 食事中によくむせる
- 水分で咳き込む
- 食べ物が口の中に残る
- のどにつかえる感じがする
- 食事に時間がかかる
- 食後に声がガラガラになる
- 食べると疲れてしまう
- 体重が減ってきた
これらの症状は少しずつ進行することもあるため、小さな変化を見逃さないことが大切です。
誤嚥性肺炎のリスクが高くなる
神経筋疾患では、
- 飲み込む力の低下
- 咳をする力の低下
の両方が起こることがあります。
そのため、誤嚥した食べ物や唾液を十分に排出できず、誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。
また、むせが少ない不顕性誤嚥がみられる場合もあり、本人が気づかないうちに誤嚥を繰り返していることもあります。
早めの評価が大切
神経筋疾患では、「食べられなくなってから」ではなく、症状が軽いうちから飲み込みを評価することが大切です。
必要に応じて、
- 嚥下内視鏡検査(VE)
- 嚥下造影検査(VF)
などを行い、安全に食べられる方法を検討します。
定期的に評価を受けることで、病気の変化に合わせた対応がしやすくなります。
リハビリや食事の工夫で安全に食べる
神経筋疾患では、病気そのものを治すことが難しい場合もありますが、嚥下リハビリや食事の工夫によって、安全に食べ続けられる可能性があります。
例えば、
- 食べやすい食形態に変更する
- 食事姿勢を工夫する
- 一口量を調整する
- 疲れにくい時間帯に食事をする
- 必要に応じて嚥下訓練を行う
などが行われます。
症状に合わせて無理のない方法を選ぶことが大切です。
家族ができるサポート
ご家族は、毎日の食事の中で小さな変化に気づきやすい存在です。
例えば、
- 食事時間が長くなった
- むせる回数が増えた
- 食後に疲れやすくなった
- 食事量が減った
などの変化があれば、医療スタッフへ相談しましょう。
早めに対応することで、安全に食事を続けられる可能性が高まります。
まとめ
神経筋疾患では、飲み込みに必要な神経や筋肉の働きが低下することで、嚥下障害が起こります。
その結果、
- むせる
- 食べ物がのどに残る
- 食事に時間がかかる
- 誤嚥性肺炎のリスクが高まる
などの症状がみられることがあります。
病気によって症状や進行は異なるため、定期的な評価と、その人に合ったリハビリや食事の工夫が大切です。
気になる症状があれば、早めに医師や言語聴覚士へ相談しましょう。

