神経と筋肉の病気では何が違う?
「神経の病気と筋肉の病気は何が違うの?」
「どちらも話しにくくなるの?」
「リハビリの方法も違うの?」
構音障害の原因を調べていると、「神経の病気」や「筋肉の病気」という言葉を目にすることがあります。
どちらも話しにくさの原因になりますが、障害される場所が異なるため、症状の現れ方や治療・リハビリの考え方も少し違います。
この記事では、神経の病気と筋肉の病気の違いについて、ご本人やご家族にも分かりやすく解説します。
話すためには「脳・神経・筋肉」の協力が必要
私たちが話すときは、
- 脳が「話そう」という指令を出す
- 神経がその指令を筋肉へ伝える
- 筋肉が実際に動いて発音する
という流れで言葉が作られています。
この流れのどこかに問題が起こると、構音障害が現れます。
神経の病気とは?
神経の病気では、脳から筋肉へ送られる指令がうまく伝わらなくなることが原因です。
筋肉そのものには大きな問題がなくても、神経が十分に働かないため、筋肉を思うように動かせなくなります。
代表的な病気には、
- ALS(筋萎縮性側索硬化症)
- パーキンソン病
- 脳卒中
- 脳幹の病気
などがあります。
神経の病気では、話しにくさだけでなく、歩きにくさや手足の動かしにくさなど、全身に症状が現れることもあります。
筋肉の病気とは?
筋肉の病気では、神経からの指令は届いていても、筋肉が十分な力を発揮できません。
そのため、「動かそう」という気持ちはあっても、筋肉が思うように反応できず、発音が不明瞭になります。
代表的な病気には、
- 筋ジストロフィー
- 炎症性筋疾患
などがあります。
また、重症筋無力症は神経と筋肉のつなぎ目に問題が起こる病気で、両方の特徴を持っています。
症状の現れ方にも違いがある
神経の病気では、筋肉を動かす指令そのものに問題があるため、
- ろれつが回らない
- 声が小さくなる
- 動きがぎこちない
などの症状がみられます。
一方、筋肉の病気では、筋力が低下するため、
- 長く話すと疲れる
- 声が弱くなる
- 話し続けると発音が崩れる
といった症状が目立つことがあります。
ただし、実際には似た症状が現れることも多く、症状だけで見分けることはできません。
リハビリの考え方も少し違う
どちらの病気でも言語聴覚士によるリハビリは重要です。
しかし、その目的は少し異なります。
神経の病気では、残っている神経の働きを活用しながら、より伝わりやすい話し方を身につけることを目指します。
筋肉の病気では、疲れやすさにも配慮しながら、筋肉に負担をかけすぎない方法で話しやすさを保つことが大切になります。
病気によっては、無理な筋力トレーニングが適さない場合もあるため、専門職の指導を受けることが重要です。
正確な診断が大切
「話しにくい」という症状だけでは、神経の病気なのか、筋肉の病気なのかを判断することはできません。
医師が、
- 症状
- 診察
- 画像検査
- 神経や筋肉の検査
などを総合的に評価して診断します。
原因が分かることで、その方に合った治療やリハビリを選ぶことができます。
家族が知っておきたいこと
神経の病気でも筋肉の病気でも、ご本人は「もっとはっきり話したい」と思っています。
しかし、気持ちだけでは改善できないことも少なくありません。
そのため、「頑張って話して」と励ますよりも、
ゆっくり最後まで話を聞き、安心して会話できる環境を作ることが何より大切です。
まとめ
神経の病気は、脳から筋肉への指令がうまく伝わらなくなる病気です。
一方、筋肉の病気は、指令は届いていても筋肉が十分に力を発揮できなくなる病気です。
どちらも構音障害の原因になりますが、障害される場所や症状の現れ方、リハビリの考え方には違いがあります。
話しにくさの原因を正しく理解し、その方に合った治療やリハビリを受けることが、より良いコミュニケーションにつながります。

