半側空間無視のリハビリ
脳卒中の後にみられる高次脳機能障害の一つに「半側空間無視」があります。
半側空間無視があると、
- 左側のおかずを食べ残す
- 左側の壁や家具にぶつかる
- 左側から話しかけられても気づかない
- 本や新聞の左側を読み飛ばす
といった症状が現れます。
ご本人やご家族の中には、
「リハビリで改善するのだろうか」
「どのような訓練をするのだろうか」
と不安に感じる方もいるかもしれません。
半側空間無視は脳の回復やリハビリによって改善する可能性があります。また、生活の中で工夫を取り入れることで困りごとを減らすこともできます。
この記事では、半側空間無視のリハビリについてわかりやすく解説します。
半側空間無視は改善する可能性がある
まず知っておいていただきたいのは、半側空間無視は改善する可能性があるということです。
脳卒中の直後は症状が強くても、
- 脳のむくみが改善する
- 神経ネットワークが再構築される
- リハビリによって注意機能が高まる
ことで症状が軽くなることがあります。
特に発症後数か月間は回復がみられやすい時期です。
ただし、回復の程度には個人差があります。
リハビリの目的とは?
半側空間無視のリハビリの目的は、
- 左側への注意を高める
- 安全に生活できるようにする
- 日常生活での困りごとを減らす
ことです。
完全に症状をなくすことだけでなく、
「気づきやすくする」「事故を防ぐ」ことも重要な目標になります。
左側を見る練習
半側空間無視の基本的なリハビリの一つです。
例えば、
- 左側にある物を探す
- 左から右へ順番に見る
- 左側に置いた目標物を確認する
といった練習を行います。
これを「視覚探索訓練」と呼びます。
左側を見る習慣を身につけることが目的です。
文字や図を使った訓練
机上で行う訓練もあります。
抹消課題
紙に並んだ文字や記号の中から、指定されたものを探して線を引きます。
左側を見落とさないように練習します。
間違い探し
左右に注意を向けながら違いを探します。
読字訓練
文章を読む際に左端から確認する練習を行います。
日常生活を活用したリハビリ
半側空間無視では、実際の生活場面での練習が重要です。
食事
食事の前に、「左側も確認しましょう」と声をかけます。
必要に応じてお皿を回しながら確認することもあります。
身だしなみ
鏡を使って、
- 左側の髪
- 左側の顔
も確認する練習を行います。
歩行
歩く際に左側の障害物を意識する練習を行います。
安全面を考慮しながら実施します。
左側に目印を置く
生活場面では目印を利用する方法もあります。
例えば、
- 赤いテープ
- カラフルなシール
などを左側に貼ります。
すると、「ここまで見る」という目安になります。
読書や食事などで活用されることがあります。
プリズム療法とは?
医療機関によっては「プリズム療法」が行われることがあります。
特殊なプリズム眼鏡を使用し、視線や注意を左側へ向けやすくする方法です。
すべての方に行われるわけではありませんが、効果が期待される場合があります。
環境調整も大切
リハビリだけでなく、生活環境を整えることも重要です。
例えば、
- 左側から声をかける
- 左側に必要な物を置く
- 障害物を減らす
といった工夫があります。
ただし安全面を考慮しながら行う必要があります。
本人に自覚がないことも多い
半側空間無視では、自分の症状に気づいていないことがあります。
例えば、「全部食べました」と言っても左側に食べ残しがあることがあります。
そのため、「ちゃんと見て」と注意するだけでは改善しないことがあります。
責めるのではなく、気づきを促す支援が大切です。
ご家族ができるサポート
ご家族は、
- 左側への注意を優しく促す
- 左側から声をかける
- 一緒に確認する
といった支援ができます。
ただし、
何でも代わりに行うのではなく、
ご本人が自分で気づく機会を作ることも大切です。
改善には時間がかかることもある
半側空間無視は短期間で大きく改善する場合もありますが、時間がかかることもあります。
そのため、
- 焦らない
- 小さな変化を評価する
- 継続的に取り組む
ことが重要です。
少しずつ左側への注意が高まることで、生活の安全性や自立度が向上していきます。
まとめ
半側空間無視のリハビリでは、左側への注意を高める訓練や生活場面での練習が行われます。
視覚探索訓練や抹消課題、読字訓練などに加え、食事や歩行など実際の生活を活用した訓練も重要です。
また、環境調整やご家族のサポートも大切な役割を果たします。
半側空間無視は改善する可能性があり、継続的なリハビリによって生活しやすくなることも少なくありません。
焦らず、ご本人に合った方法を見つけながら取り組んでいきましょう。

