外傷性脳損傷でも高次脳機能障害は起こる?
高次脳機能障害というと、脳卒中の後遺症をイメージする方が多いかもしれません。
しかし、高次脳機能障害は脳卒中だけでなく、頭を強く打ったことによる「外傷性脳損傷」でも起こります。
特に交通事故や転落事故などによる外傷性脳損傷は、若い世代の高次脳機能障害の大きな原因の一つです。
この記事では、外傷性脳損傷と高次脳機能障害の関係についてわかりやすく解説します。
外傷性脳損傷とは?
外傷性脳損傷とは、外から強い衝撃を受けることで脳が損傷する状態を指します。
主な原因として、
- 交通事故
- 自転車事故
- バイク事故
- 転倒
- 転落
- スポーツ事故
などがあります。
頭蓋骨の骨折がなくても、脳が損傷している場合があります。
なぜ高次脳機能障害が起こるの?
脳はゼリーのような柔らかい組織です。
事故などで強い衝撃を受けると、頭蓋骨の中で脳が揺さぶられます。
その結果、
- 脳が直接傷つく
- 神経線維が引き伸ばされる
- 脳内に出血が起こる
などの損傷が生じます。
こうした脳のダメージによって、高次脳機能障害が現れることがあります。
びまん性軸索損傷とは?
外傷性脳損傷でよくみられる病態の一つに「びまん性軸索損傷」があります。
これは脳全体に広がる神経線維(軸索)が損傷する状態です。
脳卒中のように一部分だけが傷つくのではなく、脳全体のネットワークに影響が及ぶため、
- 注意障害
- 記憶障害
- 遂行機能障害
などが現れやすくなります。
MRIを撮ってもはっきりした異常が見つからない場合があり、診断が難しいこともあります。
外傷性脳損傷でみられる主な症状
記憶障害
新しいことを覚えることが難しくなります。
- 約束を忘れる
- 同じ質問を繰り返す
- 予定を覚えられない
といった症状がみられます。
注意障害
集中力や注意力が低下します。
- ミスが増える
- 気が散りやすい
- 長時間の作業が難しい
などがみられます。
遂行機能障害
計画を立てて実行する力が低下します。
- 段取りが悪くなる
- 仕事が進まない
- 複数の作業を同時に行えない
といった困りごとにつながります。
社会的行動障害
感情や行動のコントロールが難しくなることがあります。
- 怒りっぽくなる
- 衝動的になる
- 人間関係のトラブルが増える
などがみられる場合があります。
若い人にも多い障害
脳卒中による高次脳機能障害は高齢者に多くみられますが、外傷性脳損傷は若い世代でも起こります。
例えば、
- 学生
- 会社員
- 子育て世代
など、社会的な役割が大きい年代で発症することがあります。
そのため、
- 学校復帰
- 就職
- 職場復帰
- 家庭生活
に大きな影響を及ぼすことがあります。
見た目では分かりにくい
外傷性脳損傷による高次脳機能障害の特徴の一つが、「見た目では分かりにくい」ことです。
手足の麻痺がほとんどない場合、
周囲からは
「元気になった」
「もう治った」
と思われることがあります。
しかし実際には、
- 忘れっぽい
- 集中できない
- 仕事が続かない
などの困難を抱えていることがあります。
そのため本人が苦しみを理解してもらえず、孤立してしまうことも少なくありません。
リハビリはとても重要
外傷性脳損傷による高次脳機能障害では、リハビリが重要な役割を果たします。
症状に応じて、
- 記憶訓練
- 注意訓練
- 問題解決訓練
- 環境調整
などを行います。
また、
- メモを活用する
- スマートフォンの予定表を使う
- 作業を一つずつ行う
といった工夫も有効です。
まとめ
高次脳機能障害は脳卒中だけでなく、外傷性脳損傷でも起こります。
特に交通事故や転落事故などによる頭部外傷は、若い世代の高次脳機能障害の大きな原因です。
記憶障害や注意障害、遂行機能障害などは見た目では分かりにくいため、周囲の理解と適切な支援が欠かせません。
外傷性脳損傷の後に「以前と何か違う」と感じた場合は、高次脳機能障害の可能性を考え、専門機関へ相談することが大切です。

