失語症の方の自立を支える関わり方
失語症になると、言葉によるコミュニケーションが難しくなります。
そのため、ご家族は
「代わりにやってあげた方がいいのでは?」
「困らないように支えたい」
と思うことが多いでしょう。
もちろん家族のサポートは大切です。
しかし、手助けが多すぎると、ご本人ができることまで奪ってしまう場合があります。
失語症の方が自分らしく生活するためには、「支えること」と「見守ること」のバランスが重要です。
この記事では、失語症の方の自立を支える関わり方について解説します。
自立とは「一人で何でもできること」ではない
まず知っておきたいのは、自立とは「誰の助けも借りずに生活すること」ではないということです。
例えば、
・家族に相談する
・メモを使う
・スマートフォンを活用する
など、必要な支援を受けながら生活することも立派な自立です。
失語症があっても、自分で選び、自分で決めながら生活できることが大切なのです。
本人の意思を尊重する
失語症になると、ご家族が代わりに判断する場面が増えることがあります。
しかし、
・何を食べたいか
・どこへ行きたいか
・何をしたいか
という気持ちは失われていません。
会話に時間がかかっても、
「どうしたいですか?」
「どちらがいいですか?」
と本人の意思を確認することが大切です。
自分で決める機会を持つことが、自立につながります。
すぐに手伝いすぎない
言葉が出ない様子を見ると、家族はすぐに助けたくなるものです。
例えば、
本人が話そうとしている途中で答えてしまう
↓
買い物の選択を代わりに決めてしまう
といったことがあります。
もちろん必要なサポートは大切ですが、まずは本人ができるかどうかを見守ることも重要です。
少し待つことで、自分の力でできることが意外と多い場合があります。
「できること」に目を向ける
失語症になると、
「できなくなったこと」
に目が向きがちです。
しかし、
・自分で着替えができる
・買い物に参加できる
・簡単な会話ができる
など、できることもたくさん残っています。
ご本人の強みやできることを活かすことで、自信を保ちやすくなります。
失敗する機会も大切
家族としては失敗を防ぎたくなるものです。
しかし、
失敗しないこと
=自立
ではありません。
誰でも失敗しながら学びます。
失語症の方も同じです。
例えば、
・注文を間違える
・言葉がうまく出ない
・伝わらない
ことがあっても、それは経験の一つです。
安全面に配慮しながら挑戦する機会を作ることが大切です。
役割を持ってもらう
自立を支えるうえで大切なのが、「役割」を持つことです。
失語症になると、
「家族に迷惑をかけている」
「何もできない」
と感じてしまう方もいます。
そこで、
・新聞を取る
・洗濯物をたたむ
・食器を運ぶ
・庭の手入れをする
など、その人に合った役割を持ってもらうことが大切です。
役割は生きがいや自信につながります。
コミュニケーション手段を広げる
話すことが難しくても、
・ジェスチャー
・筆談
・指差し
・スマートフォン
などを使えば意思表示できる場合があります。
「話せないから何もできない」ではなく、
「別の方法で伝える」
という考え方が大切です。
コミュニケーションの幅が広がることで、主体的に行動しやすくなります。
家族が全部背負わない
失語症の方を支える家族は、
「自分が何とかしなければ」
と考えがちです。
しかし、家族だけで支え続けるのは大変なことです。
必要に応じて、
・言語聴覚士
・ケアマネジャー
・患者会
・家族会
などの支援も活用しましょう。
家族が無理をしすぎないことも、長く支えるためには大切です。
自立は少しずつ育っていく
失語症の回復と同じように、自立も一歩ずつ進んでいくものです。
昨日できなかったことが、今日できるようになることがあります。
小さな成功体験の積み重ねが、大きな自信につながります。
焦らず、その人のペースを大切にしましょう。
まとめ
失語症の方の自立を支えるためには、
・本人の意思を尊重する
・すぐに手伝いすぎない
・できることに目を向ける
・役割を持ってもらう
・挑戦する機会を作る
・コミュニケーション手段を広げる
ことが大切です。
家族の役割は、すべてを代わりに行うことではありません。
ご本人が「自分でできた」と感じられる機会を支えることが、本当の意味での自立支援につながります。
失語症があっても、その人らしい生活を続けられるよう、焦らず一緒に歩んでいきましょう。

