文字は読めるのに意味が分からないのはなぜ?
失語症のある方の中には、
「文字は読めるのに内容が理解できない」
「音読はできるのに意味が頭に入らない」
という症状がみられることがあります。
ご家族からすると、「読めているなら理解できているのでは?」と思うかもしれません。
しかし、「文字を読むこと」と「意味を理解すること」は別の能力です。
この記事では、文字は読めるのに意味が分からなくなる理由についてわかりやすく解説します。
読む力には2つの段階がある
私たちは文章を読むとき、まず文字を認識し、その後に意味を理解しています。
例えば、「今日は天気が良いです」という文章を見ると、
①文字を読む
②文章の意味を理解する
という2つの作業を行っています。
失語症では、このうち意味を理解する部分に障害が生じることがあります。
音読できることと理解できることは違う
失語症の方の中には、文章をスラスラ音読できる方もいます。
例えば、「今日は天気が良いです」という文章を問題なく読めます。
しかし、「何と書いてありましたか?」と聞かれると答えられないことがあります。
これは、文字の音は読めても意味が結び付いていない状態です。
なぜ意味が分からなくなるの?
失語症では、言葉の意味を処理する脳の働きが障害されることがあります。
そのため、
- 文字は見える
- 音として読める
にもかかわらず、内容を理解することが難しくなります。
これは目の問題ではなく、脳の言語処理の問題です。
単語は分かるのに文章が分からないこともある
例えば、
- 「犬」
- 「公園」
- 「散歩」
という単語は理解できても、「犬と公園を散歩しました」
という文章になると理解が難しくなることがあります。
文章では、
- 単語の意味
- 語順
- 文法
をまとめて処理する必要があるためです。
長い文章ほど難しくなる
失語症では、文章が長くなるほど理解が難しくなる傾向があります。
例えば、短い見出しは理解できても、新聞記事や本の本文になると内容が分からなくなることがあります。
これは、前半の内容を覚えながら後半を理解する必要があるためです。
新聞や本が読みにくくなる理由
新聞や本には、
- 難しい言葉
- 長い文章
- 多くの情報
が含まれています。
そのため、文字は追えていても内容が頭に入らないことがあります。
ご本人からは、「読んでいるのに理解できない」という訴えが聞かれることがあります。
ウェルニッケ失語でよくみられる
文字の意味理解の障害は、
ウェルニッケ失語など理解障害を伴う失語症でよくみられます。
この場合、
- 会話の理解
- 読解
の両方に困難がみられることがあります。
認知症との違い
「読んでも理解できない」と聞くと、認知症を思い浮かべる方もいるかもしれません。
失語症
言葉の理解そのものが障害される
認知症
記憶や判断力など幅広い認知機能が低下する
という違いがあります。
両者は別の病気です。
リハビリで改善する可能性がある
読解力の低下に対しては、
- 単語理解訓練
- 短文読解訓練
- 音読訓練
- 質問応答訓練
などが行われます。
短い文章から段階的に練習することで改善が期待できます。
家族ができる工夫
読解が難しい場合は、
- 短い文章を使う
- 大きな文字にする
- 重要な部分を強調する
- 写真やイラストを添える
と理解しやすくなります。
また、「読めるのに分からないのはおかしい」と考えないことも大切です。
まとめ
文字は読めるのに意味が分からない状態は、失語症でみられることがあります。
これは、
- 文字を読む力は残っている
- 言葉の意味を理解する力が低下している
ために起こります。
特に長い文章や複雑な内容になるほど理解が難しくなることがあります。
ご本人の努力不足ではなく、脳の言語機能の障害による症状です。
適切なリハビリと周囲の理解によって、読解力の改善や生活のしやすさにつながることがあります。

