漢字は読めるのに文章が理解できない理由
失語症のある方の中には、
「漢字は読めるのに文章の意味が分からない」
「一文字ずつは読めるけれど内容が頭に入らない」
という症状がみられることがあります。
ご家族からすると、「漢字が読めているなら理解できているのでは?」と思うかもしれません。
しかし、漢字を読むことと文章を理解することは別の能力です。
この記事では、漢字は読めるのに文章が理解できなくなる理由についてわかりやすく解説します。
漢字を読むことと文章を理解することは違う
例えば、
「病院」
「散歩」
「食事」
という漢字を見たとき、多くの失語症の方は読むことができる場合があります。
しかし、「今日は病院へ行ったあとに散歩をして、その後に食事をしました」
という文章になると理解が難しくなることがあります。
これは、
- 漢字を認識する力
- 文章を理解する力
が別の機能だからです。
一つひとつの言葉は分かる
失語症の方の中には、文章の中に出てくる単語の意味は理解できる方がいます。
例えば、
- 病院
- 散歩
- 食事
それぞれの意味は分かります。
しかし、それらをつなげて文章全体の意味を理解することが難しくなることがあります。
文章は「つながり」を理解する必要がある
文章を理解するためには、単語の意味だけでは不十分です。
例えば、
「犬が猫を追いかけた」と「猫が犬を追いかけた」
では意味がまったく異なります。
文章を理解するためには、
- 語順
- 助詞
- 文法
を理解する必要があります。
失語症ではこの部分に障害が生じることがあります。
助詞の理解が難しくなることがある
日本語では、
- が
- を
- に
- で
などの助詞が重要な役割を持っています。
例えば、「犬が猫を追いかけた」という文章では、
「が」と「を」が主語と目的語を示しています。
失語症では助詞の理解が難しくなり、
誰が何をしたのか分からなくなることがあります。
長い文章ほど理解しにくい
文章が長くなると、前半の内容を覚えながら後半を読む必要があります。
例えば、「病院へ行ったあと薬局で薬を受け取り、その後スーパーで買い物をして帰宅しました」
という文章では、複数の出来事を順番に整理しなければなりません。
失語症ではこの処理が難しくなることがあります。
新聞や本で困ることが多い
新聞や本は、
- 文章が長い
- 情報量が多い
- 難しい表現がある
ため、失語症の方にとって理解が難しくなりやすい読み物です。
そのため、見出しは読めても本文の内容が理解できないことがあります。
音読できても理解できないことがある
失語症では、文章を声に出して読むことはできる場合があります。
しかし、「何と書いてありましたか?」と聞かれると説明できないことがあります。
これは、読む力と理解する力が別だからです。
理解障害が関係していることもある
特にウェルニッケ失語では、
- 会話の理解
- 読解
の両方に障害がみられることがあります。
そのため、漢字は読めても文章の意味を理解することが難しくなります。
リハビリで改善する可能性がある
文章理解の低下に対しては、
- 単語理解訓練
- 助詞理解訓練
- 短文読解訓練
- 読解問題
などが行われます。
短い文章から段階的に練習することで改善が期待できます。
家族ができる工夫
文章を理解しにくい場合は、
- 短い文章を使う
- 一文を短くする
- 重要な部分に線を引く
- 写真やイラストを添える
と理解しやすくなることがあります。
また、「読めるのだから分かるはず」と考えないことも大切です。
まとめ
漢字は読めるのに文章が理解できないのは、
- 単語の理解はできる
- 文章全体の意味をまとめることが難しい
ために起こります。
特に、
- 助詞の理解
- 文法の理解
- 長い文章の処理
が難しくなることがあります。
これは失語症による症状の一つであり、ご本人の努力不足ではありません。
適切なリハビリや周囲の支援によって、読解力の改善が期待できます。

