健忘失語とは?
失語症にはさまざまな種類がありますが、その中でも比較的軽度なタイプとして知られているのが「健忘失語(けんぼうしつご)」です。
健忘失語の方は、会話そのものは比較的スムーズに行えることが多い一方で、
「言葉が出てこない」
「物の名前が思い出せない」
といった困りごとを抱えています。
そのため、
「少し物忘れが増えただけでは?」
「認知症では?」
と誤解されることもあります。
この記事では、健忘失語の特徴や症状、リハビリについてわかりやすく解説します。
健忘失語とは?
健忘失語とは、主に物や人の名前を思い出すことが難しくなる失語症です。
失語症の中では比較的軽度とされ、
- 話す
- 聞く
- 読む
- 書く
といった能力は比較的保たれていることが多いのが特徴です。
しかし、会話の中で言葉が出てこないため、日常生活では不便を感じることがあります。
主な原因
健忘失語の原因として最も多いのは脳卒中です。
特に、
- 左側頭葉
- 左頭頂葉
- 左後頭葉周辺
などの障害でみられることがあります。
そのほか、
- 頭部外傷
- 脳腫瘍
- 脳炎
などによって起こることもあります。
健忘失語の特徴
健忘失語の最大の特徴は、
「名前が出てこない」
ことです。
話す
- 言葉が思い出せない
- 物の名前が出てこない
- 回りくどい説明になる
聞く
- 比較的理解できる
読む
- 比較的保たれる
書く
- 比較的保たれる
全体として、他の失語症に比べると会話能力は良好なことが多いです。
実際の会話例
例えば、
コップを指して
「これは何ですか?」
と聞かれたとします。
健忘失語の方は、
「えーと……飲み物を入れるやつ」
「水を飲むときに使うもの」
と説明することができます。
しかし、
「コップ」
という言葉そのものが出てこないことがあります。
「分かっているのに言えない」
健忘失語の方は、
- 物が何か分かっている
- どう使うか分かっている
にもかかわらず、
名前だけが出てこない
ことが特徴です。
そのため、
「喉まで出かかっているのに思い出せない」
感覚に近いと表現されることがあります。
認知症との違い
健忘失語は認知症と間違われることがあります。
しかし、
健忘失語
- 物の意味は分かる
- 使い方も分かる
- 名前だけ出てこない
認知症
- 物の意味や用途そのものが分からなくなることがある
という違いがあります。
健忘失語の方は、考える力や記憶が保たれていることが少なくありません。
リハビリでは何をする?
健忘失語では、
- 呼称訓練
- 語想起訓練
- カテゴリー訓練
- 音読練習
などが行われます。
例えば、
「動物の名前をできるだけ多く言う」
「果物の名前を挙げる」
といった訓練を行うことがあります。
家族ができる関わり方
健忘失語の方と話すときは、
- 焦らせない
- 答えを急いで言わない
- ヒントを出す
ことが大切です。
例えば、
「コップだよ」
とすぐ答えるのではなく、
「飲み物を入れるものかな?」
などのヒントを出すことで、言葉を思い出せることがあります。
回復の可能性
健忘失語は比較的軽度の失語症であり、リハビリによって改善がみられることも少なくありません。
また、
- ジェスチャー
- メモ
- スマートフォン
などを活用しながら生活することで、困りごとを減らすこともできます。
まとめ
健忘失語とは、物や人の名前を思い出すことが難しくなる失語症です。
特徴は、
- 名前が出てこない
- 理解は比較的保たれる
- 会話は比較的可能
という点です。
ご本人は「分かっているのに言えない」というもどかしさを抱えていることが少なくありません。
焦らず言葉を待つことが、良いコミュニケーションにつながります。

