失語症はなぜ話せなくなるの?

失語症になると、

「言いたいことがあるのに言葉が出てこない」
「頭では分かっているのに話せない」

という状態になることがあります。

ご家族からも、

「口や舌は動くのに、なぜ話せないの?」
「考える力がなくなったの?」

と質問されることがあります。

しかし、失語症の方が話せなくなるのは、口や舌の筋肉の問題ではありません。

この記事では、失語症で話せなくなる理由についてわかりやすく解説します。

話すためには脳が働いている

私たちは普段、何気なく会話をしています。

しかし実際には、

  1. 言いたいことを考える
  2. 言葉を選ぶ
  3. 文を組み立てる
  4. 発音の計画を立てる
  5. 口や舌を動かす

という複雑な作業を脳が瞬時に行っています。

失語症では、この「言葉を選ぶ」「言葉を組み立てる」部分に障害が生じます。

言葉を思い出せなくなる

失語症では、言葉そのものが出てこなくなることがあります。

例えば、コップを見ているのに、「コップ」という言葉が思い出せません。

しかし、

  • 何に使うかは分かる
  • 飲み物を入れるものだと分かる

ことが多くあります。

つまり、物を知らなくなったわけではなく、名前を取り出せなくなっているのです。

言葉の辞書が取り出しにくくなるイメージ

脳の中には膨大な言葉の情報が蓄えられています。

失語症になると、その言葉の辞書にアクセスしにくくなります。

例えば、本棚にある本を探しているのに、どこに置いてあるか分からなくなってしまったような状態です。

言葉が消えてしまったわけではなく、うまく取り出せなくなっているのです。

言いたい言葉とは違う言葉が出ることもある

失語症では、「テレビ」と言いたいのに「ラジオ」と言ってしまうことがあります。

これを「錯語(さくご)」と呼びます。

ご本人は正しい言葉を言おうとしているのですが、脳の中で別の言葉が選ばれてしまうのです。

話すための脳の部位が障害される

多くの人では、言葉を話す機能は左脳にあります。

特に重要なのが、

  • ブローカ野
  • ウェルニッケ野

と呼ばれる言語中枢です。

これらの部位が脳卒中などで損傷されると、失語症が起こります。

特にブローカ野が障害されると、

  • 話したいのに言葉が出ない
  • 短い言葉しか話せない

といった症状がみられます。

考える力がなくなったわけではない

失語症の方を見ていると、話せないために「何も分かっていないのでは?」と思われることがあります。

しかし実際には、

  • 状況を理解している
  • 気持ちがある
  • 考えている

ことが少なくありません。

言葉で表現できないだけで、頭の中では多くのことを考えている場合があります。

構音障害との違い

失語症と似た症状に「構音障害」があります。

失語症

  • 言葉を選べない
  • 言葉が出てこない
  • 文が作れない

構音障害

  • 言葉は思い浮かぶ
  • 発音がうまくできない

つまり、失語症は「言葉の障害」、構音障害は「発音の障害」という違いがあります。

リハビリで改善することがある

失語症では、

  • 呼称訓練
  • 音読練習
  • 復唱訓練
  • 会話練習

などのリハビリが行われます。

脳には回復する力があり、適切なリハビリによって話しやすくなることがあります。

まとめ

失語症で話せなくなるのは、口や舌の問題ではなく、脳の言語機能が障害されるためです。

言葉が出なくても、

  • 理解している
  • 考えている
  • 感情がある

ことが少なくありません。

失語症を正しく理解し、焦らずコミュニケーションを取ることが大切です。

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