中耳炎による難聴の治療方法
「中耳炎になると聞こえにくくなることがあると聞きました。」
「中耳炎による難聴は治るのでしょうか?」
中耳炎は、子どもから高齢者まで幅広い年代でみられる病気です。
中耳炎になると、耳の痛みや発熱だけでなく、音が聞こえにくくなる(難聴)ことがあります。
しかし、多くの場合は原因となっている中耳炎を適切に治療することで、聞こえも改善することが期待できます。
この記事では、中耳炎による難聴の治療方法について、言語聴覚士がわかりやすく解説します。
なぜ中耳炎で聞こえにくくなるの?
耳は、
- 外耳
- 中耳
- 内耳
の3つに分けられます。
中耳炎では、鼓膜の奥にある中耳に炎症が起こります。
炎症によって、
- 中耳に膿や液体がたまる
- 鼓膜が動きにくくなる
- 音を伝える耳小骨の働きが悪くなる
ため、音が内耳まで十分に伝わらなくなります。
このため起こる難聴は伝音難聴と呼ばれます。
急性中耳炎の治療
急性中耳炎は、風邪などをきっかけに細菌やウイルスが中耳に入り、急激に炎症を起こす病気です。
主な治療は、
- 抗菌薬(細菌感染が疑われる場合)
- 痛み止め
- 鼻の治療
などです。
症状によっては、鼓膜を小さく切開して、中にたまった膿を出す鼓膜切開が行われることもあります。
炎症が改善すると、多くの場合は聞こえも回復します。
滲出性中耳炎の治療
滲出性中耳炎は、中耳に液体(滲出液)がたまる病気です。
強い痛みはないことが多く、「テレビの音が大きい」「呼びかけに反応しない」などから気づかれることがあります。
治療では、
- 鼻やのどの炎症を改善する
- 経過を観察する
- 必要に応じて鼓膜切開を行う
などが行われます。
長期間改善しない場合には、鼓膜換気チューブを入れる手術が選択されることもあります。
慢性中耳炎の治療
慢性中耳炎では、鼓膜に穴が開いた状態が続いたり、炎症が繰り返されたりします。
治療では、
- 耳を清潔に保つ
- 点耳薬や内服薬
- 鼓膜を修復する手術(鼓膜形成術)
- 耳小骨を修復する手術(鼓室形成術)
などが行われます。
聞こえの改善だけでなく、炎症の再発を防ぐことも重要な目的です。
真珠腫性中耳炎では手術が必要になることも
真珠腫性中耳炎は、鼓膜の一部が袋状になり、その中に古い皮膚がたまっていく病気です。
進行すると、
- 耳小骨
- 内耳
- 顔面神経
などに影響を及ぼすことがあります。
そのため、多くの場合は手術による治療が必要になります。
早期に発見できれば、合併症のリスクを減らすことができます。
聞こえは元に戻るの?
多くの中耳炎では、炎症が改善すると聞こえも回復します。
しかし、
- 炎症が長期間続いた場合
- 耳小骨が傷ついた場合
- 内耳まで影響が及んだ場合
には、難聴が残ることもあります。
そのため、「そのうち治るだろう」と放置せず、早めに治療を受けることが大切です。
子どもの中耳炎では特に注意
子どもは耳管(耳と鼻をつなぐ管)が短く、風邪をひくと中耳炎になりやすい特徴があります。
聞こえにくい状態が続くと、
- 言葉の発達
- 発音
- 学習
などに影響することがあります。
そのため、長く聞こえにくさが続く場合には、定期的な聴力検査を受けながら経過をみることが大切です。
必要に応じて、言語聴覚士が言葉やコミュニケーションの発達を評価・支援することもあります。
治療後も聞こえが気になるときは
中耳炎が治ったあとでも、
- 聞こえにくさが残る
- 耳鳴りが続く
- 会話が聞き取りにくい
と感じることがあります。
その場合は、再度聴力検査を受け、必要に応じて追加の治療や補聴器などを検討することがあります。
自己判断せず、医師に相談しましょう。
まとめ
中耳炎による難聴は、中耳に炎症や液体がたまることで音が伝わりにくくなる「伝音難聴」が多くを占めます。
急性中耳炎や滲出性中耳炎では、薬や鼓膜切開などによって改善が期待でき、慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎では手術が必要になることもあります。
多くの場合は適切な治療によって聞こえも回復しますが、治療が遅れると難聴が残ることもあります。
聞こえにくさや耳の違和感が続く場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診し、適切な治療を受けることが大切です。

