自己免疫性内耳疾患とは?
「自己免疫性内耳疾患という病気を初めて聞きました。」
「難聴と免疫にはどのような関係があるのでしょうか。」
私たちの体には、細菌やウイルスなどから体を守る「免疫」という仕組みがあります。
しかし、この免疫の働きに異常が起こると、本来守るはずの自分自身の組織を攻撃してしまうことがあります。
自己免疫性内耳疾患は、そのような免疫の異常によって内耳が障害され、難聴やめまいが起こる病気です。
患者さんは多くありませんが、早期に診断・治療を行うことで聞こえの改善が期待できる場合があるため、知っておきたい病気の一つです。
この記事では、自己免疫性内耳疾患の原因や症状、診断、治療について、言語聴覚士がわかりやすく解説します。
自己免疫性内耳疾患とは?
自己免疫性内耳疾患とは、免疫の異常によって、耳の奥にある内耳が障害される病気です。
内耳には、
- 音を感じ取る蝸牛
- バランスを保つ前庭
があります。
これらが障害されることで、難聴やめまいなどの症状が現れます。
なぜ起こるの?
原因は完全には分かっていません。
自己免疫疾患では、本来は細菌やウイルスを攻撃する免疫細胞が、誤って自分自身の組織を攻撃してしまいます。
自己免疫性内耳疾患では、その攻撃の対象が内耳になると考えられています。
また、
- 関節リウマチ
- 全身性エリテマトーデス(SLE)
- シェーグレン症候群
- 多発血管炎性肉芽腫症
など、
他の自己免疫疾患を合併することもあります。
どのような症状がある?
代表的な症状は、
- 難聴
- 耳鳴り
- めまい
- ふらつき
です。
特に特徴的なのは、両耳の難聴が数週間から数か月の間に進行することが多いことです。
ただし、初めは片耳から始まり、後から反対側の耳にも症状が現れる場合もあります。
突発性難聴との違い
自己免疫性内耳疾患は、突発性難聴と間違われることがあります。
しかし、突発性難聴は突然起こることが多いのに対し、自己免疫性内耳疾患では、聞こえが良くなったり悪くなったりしながら、徐々に進行することがあります。
また、両耳へ影響することが比較的多い点も特徴です。
どのように診断されるの?
自己免疫性内耳疾患だけを確実に診断できる検査は、現在のところありません。
そのため、
医師は、
- 症状の経過
- 聴力検査
- 血液検査
- MRI検査
- 他の病気がないか
などを総合的に判断して診断します。
自己免疫疾患が疑われる場合は、リウマチ内科など他の診療科と連携して診断を進めることもあります。
治療方法
治療では、免疫の働きを抑えることが目的になります。
主な治療は、ステロイド薬です。
症状や経過によっては、免疫抑制薬などが使われることもあります。
早い時期に治療を始めることで、聞こえが改善したり、進行を抑えられたりする場合があります。
聞こえが残った場合の支援
治療を行っても、難聴が残ることがあります。
その場合は、聞こえの状態に合わせて、
- 補聴器
- 人工内耳(高度難聴の場合)
- 聴覚リハビリテーション
- コミュニケーション方法の工夫
などを取り入れながら生活を支えていきます。
定期的な経過観察が大切
自己免疫性内耳疾患では、症状が落ち着いても、再び悪化することがあります。
そのため、定期的に耳鼻咽喉科を受診し、聴力検査を受けながら経過を確認することが大切です。
「少し聞こえが悪くなった」と感じたときも、早めに受診しましょう。
言語聴覚士ができる支援
言語聴覚士(ST)は、聞こえの状態を評価し、日常生活で困っていることについて相談に応じます。
補聴器や人工内耳の活用方法、聞き取りやすい環境づくり、家族とのコミュニケーション方法などについて助言を行います。
また、耳鼻咽喉科やリウマチ内科などと連携しながら、長期的な支援を行います。
早めの受診が聞こえを守ることにつながる
自己免疫性内耳疾患は、珍しい病気ですが、早期に治療を始めることで、聞こえを守れる可能性があります。
「両耳の聞こえが少しずつ悪くなっている」
「聞こえが良くなったり悪くなったりする」
といった症状がある場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診し、適切な検査を受けることが大切です。
まとめ
自己免疫性内耳疾患は、免疫の異常によって内耳が障害され、難聴や耳鳴り、めまいなどが起こる病気です。
両耳の難聴が徐々に進行することが多く、他の自己免疫疾患を合併する場合もあります。
早期に診断し、ステロイドなどによる治療を始めることで、聞こえの改善や進行を抑えられることがあります。
聞こえの変化に気付いたら早めに耳鼻咽喉科を受診し、必要に応じて補聴器やリハビリテーションなどの支援を受けながら生活していくことが大切です。

