発音が不明瞭なのはいつまで様子を見てよい?
はじめに
「3歳になっても発音がはっきりしません。」
「『さかな』が『たかな』になります。」
「もう少し様子を見ても大丈夫でしょうか?」
このような相談は、言語聴覚士のもとにも多く寄せられます。
子どもの発音は、大人と同じように最初から正確にできるわけではありません。
成長とともに少しずつ発音がはっきりしていくため、幼いうちの発音の誤りは珍しいことではありません。
しかし、年齢によっては一度相談したほうがよい場合もあります。
この記事では、発音が不明瞭な場合に「様子を見てよいケース」と「相談をおすすめするケース」について解説します。
幼児の発音は未完成で当たり前
子どもは言葉を覚えるのと同時に、
- 唇
- 舌
- あご
- 息の使い方
などを少しずつ上手に使えるようになります。
そのため、小さいうちは、
- 「さ」が「た」
- 「し」が「ち」
- 「ら」が「や」
など、大人とは違う発音になることがあります。
これは発音を学んでいる途中で見られる自然な現象です。
発音は少しずつ完成していく
発音の発達には個人差がありますが、おおよその目安として、
- 2〜3歳頃:家族には理解できる言葉が増えてくる
- 4歳頃:多くの音が正しく言えるようになる
- 5〜6歳頃:ほとんどの発音が完成に近づく
とされています。
そのため、3歳頃まで多少発音が不明瞭でも、成長とともに自然に改善する子どもは少なくありません。
様子を見てもよい場合
次のような場合は、少し経過を見てもよいことがあります。
年齢相応の発音の誤りがある
例えば、
- 「さかな」→「たかな」
- 「しんかんせん」→「ちんかんてん」
- 「らっぱ」→「やっぱ」
など、幼児によく見られる発音の誤りです。
年齢とともに改善していくことが多くあります。
少しずつ発音が良くなっている
以前より、
- 聞き取りやすくなった
- 正しく言える音が増えてきた
など、少しずつ成長が見られる場合は、大きな安心材料になります。
コミュニケーションに大きな支障がない
多少発音が不明瞭でも、
- 家族との会話が成り立つ
- 友達と遊べる
- 自分の気持ちを伝えられる
のであれば、発音の発達を見守ることができる場合もあります。
相談したほうがよい場合
次のような場合は、一度専門家へ相談することをおすすめします。
5歳頃になっても発音がかなり分かりにくい
5歳を過ぎても、
- 家族でも聞き取りにくい
- 初めて会う人にはほとんど伝わらない
という場合は、発音の評価を受けることをおすすめします。
特定の音だけがずっと言えない
例えば、
- 「さ行」
- 「か行」
- 「ら行」
など、一部の音だけが年齢相応を超えて誤っている場合には、構音障害が関係していることがあります。
発音の誤りが増えている
以前は言えていた音が言えなくなったり、発音がどんどん分かりにくくなったりする場合は、自然な発達とは異なる可能性があります。
このような場合は、早めに相談しましょう。
話し方そのものに違和感がある
例えば、
- 鼻に抜けるような話し方
- 声が極端にかすれる
- 息が漏れるような発音
- 舌や唇の動きに気になる様子がある
などは、口や喉の構造や動きが影響していることもあります。
家庭でできる関わり方
発音が気になると、「もう一回言って。」「違うよ。」と何度も言い直しをさせたくなるかもしれません。
しかし、繰り返し訂正すると、子どもが話すことに自信をなくしてしまうことがあります。
おすすめなのは、自然に正しい発音を聞かせることです。
例えば、
子ども:「たかな!」
保護者:「そうだね、さかなさんが泳いでいるね。」
このように、言い直しを強制せず、正しい発音を自然に聞かせることが大切です。
また、絵本の読み聞かせや会話を楽しむことも、発音や言葉の発達を支える良い機会になります。
発音だけで判断しないことも大切
発音が少し不明瞭でも、
- 言葉を理解している
- 会話ができる
- 語彙が増えている
- コミュニケーションを楽しんでいる
のであれば、発達は順調に進んでいることも多くあります。
発音だけに注目するのではなく、お子さん全体の成長を見ることが大切です。
まとめ
幼児の発音は発達の途中であり、多少不明瞭でも自然なことが少なくありません。
一方で、
- 5歳頃になっても発音がかなり分かりにくい
- 特定の音だけが長く言えない
- 発音が悪化している
- 話し方そのものに違和感がある
といった場合は、一度言語聴覚士などの専門家に相談することをおすすめします。
発音の発達には個人差がありますが、気になることがあれば早めに相談することで、お子さんに合ったアドバイスや必要な支援を受けることができます。

