言葉は話すのに会話が続かない理由(言語発達)
はじめに
「言葉はたくさん話せるのに、会話がなかなか続きません。」
「質問には答えられるけれど、自分から話を広げることが苦手です。」
このような相談を受けることがあります。
子どもが話せる言葉の数が増えると、「もう会話も上手にできるだろう」と思われがちですが、言葉を話すことと、会話を続けることは別の力です。
会話には、相手の気持ちを考えたり、話の流れを理解したり、自分の考えを整理して伝えたりする力が必要になります。
この記事では、言葉は話せるのに会話が続かない理由について解説します。
「話す力」と「会話する力」は違う
例えば、子どもが
「りんご!」
「赤!」
「ワンワン!」
と単語を話せても、それだけでは会話にはなりません。
会話では、
- 相手の話を聞く
- 内容を理解する
- 返事を考える
- 相手に伝わるように話す
- 相手の反応を見て話を続ける
という多くの力を同時に使っています。
そのため、単語や文章が話せるようになっても、会話の力は少しずつ育っていきます。
相手とのやり取りを理解する力が育っている途中
会話は、「話す」ことだけではなく、「やり取り」を楽しむことが大切です。
例えば、
親:「今日は何して遊んだの?」
子:「ブロック。」
ここで会話が終わってしまうことがあります。
これは、「質問に答える」ということはできても、「もっと詳しく伝える」「相手にも分かるように話す」という力がまだ発達の途中だからです。
年齢とともに、
「ブロックでおうちを作ったよ。」
「お友達と一緒に遊んだよ。」
というように、少しずつ内容が豊かになっていきます。
自分の考えを言葉にまとめることが難しい
頭の中では分かっていても、
- どこから話せばよいか
- どの言葉を使えばよいか
- 順番をどうすればよいか
が難しいことがあります。
そのため、
「どうだった?」
と聞かれても、
「楽しかった。」
だけで終わってしまうこともあります。
これは語彙だけではなく、「考えを整理して話す力」が発達している途中だからです。
語彙がまだ十分ではない
伝えたいことがあっても、それを表す言葉を知らないと会話は続きません。
例えば、「公園で大きな虫を見つけた。」と言いたくても、
「虫」「いた」しか言えないと、それ以上話を広げることが難しくなります。
絵本を読んだり、日常生活でさまざまな言葉に触れたりすることで、少しずつ語彙が増え、会話も豊かになっていきます。
相手の気持ちを考える力も必要
会話では、「相手は何を知りたいのかな。」「ここは説明したほうがいいかな。」というように、相手の立場を考える力も必要です。
幼児期はまだこの力が発達の途中なので、自分が知っていることは相手も知っていると思い込み、説明が足りなくなることがあります。
こうした力は、友達や家族とのやり取りを通して少しずつ育っていきます。
緊張や性格の影響もある
普段はよく話す子どもでも、
- 初めて会う人
- 大勢の前
- 緊張する場面
では会話が少なくなることがあります。
また、
- 慎重な性格
- 人見知り
- 恥ずかしがり屋
の子どもは、知っていることでも話さないことがあります。
家庭ではよく話すのに、園や学校ではほとんど話さないということも珍しくありません。
家庭でできる関わり方
会話を育てるためには、「もっと話して。」と促すよりも、やり取りを楽しむことが大切です。
例えば、
子:「公園行った。」
保護者:「そうなんだ。何して遊んだの?」
子:「すべり台。」
保護者:「誰と遊んだの?」
というように、一度にたくさん質問するのではなく、一つずつ会話を広げていくと、子どもも話しやすくなります。
また、子どもが話した内容を、「ブロックでおうちを作ったんだね。」などと言い換えてあげることも、会話の見本になります。
相談したほうがよい場合
会話が苦手でも、年齢とともに少しずつ上達していくことがほとんどです。
しかし、
- 年齢に比べて会話のやり取りが極端に難しい
- 相手の質問を理解することが難しい
- 一方的に話し続けることが多い
- 会話への興味があまり見られない
などの場合は、一度専門家へ相談すると安心です。
まとめ
言葉は話せるのに会話が続かない理由には、
- 話す力と会話する力は別だから
- やり取りの力が発達の途中だから
- 考えを整理して話すことが難しいから
- 語彙がまだ十分ではないから
- 相手の気持ちを考える力が育っている途中だから
- 性格や緊張の影響を受けることがあるから
などがあります。
会話の力は、毎日のやり取りの中で少しずつ育っていきます。
焦ってたくさん話させようとするのではなく、子どもの話に耳を傾け、一緒に会話を楽しむことが何より大切です。

