ストレスで吃音になるの?
ストレスだけで吃音になるわけではありません
「引っ越しをしてからどもるようになった」
「幼稚園に通い始めてから吃音が出てきた」
このような経験から、「ストレスが原因で吃音になったのではないか」と考える方は少なくありません。
しかし、現在の研究では、ストレスだけが吃音の原因になるわけではないと考えられています。
吃音は、脳の働きや遺伝、発達など複数の要因が関係して起こるコミュニケーション障害です。
ストレスは症状に影響を与えることはありますが、それだけで吃音を引き起こすとは考えられていません。
なぜストレスが原因だと思われるの?
吃音が始まるタイミングと、生活環境の変化が重なることがあります。
例えば、
- 幼稚園や保育園への入園
- 小学校への入学
- 引っ越し
- 弟や妹の誕生
- 家族構成の変化
などです。
このため、「ストレスが原因だった」と考えられることがあります。
しかし、これらは子どもの成長や言葉の発達が大きく進む時期とも重なっています。
そのため、ストレスだけが原因と考えることはできません。
ストレスで症状が強くなることはある
ストレスそのものが吃音を引き起こすとは考えられていませんが、ストレスによって症状が強くなることはあります。
例えば、
- 人前で発表するとき
- 面接や試験のとき
- 電話をかけるとき
- 初対面の人と話すとき
などでは、普段より吃音が目立つことがあります。
これは、緊張や不安によって話すことを強く意識し、話すための動きがさらに調整しにくくなるためと考えられています。
ストレスが少ない場面では話しやすいこともある
吃音の特徴の一つは、場面によって症状が変わることです。
例えば、
- 家族との会話
- 一人で歌う
- 独り言
- ペットに話しかける
などでは、比較的スムーズに話せる人もいます。
一方で、
- 自己紹介
- 注文
- 電話
- 会議での発言
など、緊張しやすい場面では症状が強くなることがあります。
このことから、「緊張するとどもる」と思われがちですが、実際には吃音そのものが緊張によって生じているわけではありません。
保護者が自分を責める必要はありません
子どもが吃音になると、
「家庭で何かストレスを与えてしまったのではないか」
と心配される保護者もいます。しかし、現在では、
- 親の育て方
- 家庭環境
- しつけ
だけが吃音の原因になるという考え方は否定されています。
保護者が自分を責める必要はありません。
それよりも、家庭で安心して話せる環境をつくることが大切です。
ストレスを減らすことは意味がある
ストレスが原因ではないとしても、ストレスを減らすことは無意味ではありません。
安心して話せる環境は、
- 話すことへの不安を軽くする
- 自信を持って会話できるようになる
- 吃音による困りごとを減らす
ことにつながります。そのため、
- 最後まで話を聞く
- 急がせない
- 話し方ではなく内容に耳を傾ける
といった関わり方が勧められています。
心因性吃音との違い
まれではありますが、強い精神的ショックや大きな心理的負担をきっかけに、吃音のような症状が現れることがあります。
これは心因性吃音と呼ばれることがあります。
ただし、一般的な幼児期の吃音(発達性吃音)とは原因や経過が異なります。
日常的にみられる吃音の多くは、心因性ではなく、脳の働きや発達などが関係する発達性吃音です。
まとめ
ストレスだけで吃音になるわけではありません。吃音は、脳の働きや遺伝、発達など複数の要因が関係して生じるコミュニケーション障害です。
一方で、ストレスや緊張によって症状が強くなることはあります。そのため、本人が安心して話せる環境を整え、話し方ではなく伝えたい内容に耳を傾けることが大切です。

