吃音の原因は何?
吃音の原因は一つではありません
「なぜ吃音になるのでしょうか。」
これは、吃音のある本人や保護者から最も多く寄せられる質問の一つです。
現在の研究では、吃音は一つの原因だけで起こるものではなく、複数の要因が重なって生じると考えられています。
以前は性格や育て方が原因と考えられていた時代もありましたが、現在ではその考え方は否定されています。
脳の働きが関係している
近年の研究では、吃音のある人では、話すときに働く脳のネットワークに違いがあることがわかってきました。
私たちが話すときには、
- 話したい内容を考える
- 言葉を選ぶ
- 発音を計画する
- 舌や唇、声帯を動かす
という複雑な処理が、ほんの一瞬で行われています。
吃音では、この一連の流れがスムーズにつながりにくくなることがあり、その結果として音の繰り返しや詰まりが生じると考えられています。
ただし、脳に大きな病気や異常があるという意味ではありません。
遺伝的な要因
吃音には遺伝的な影響もあることが知られています。
家族や親戚に吃音のある人がいる場合、吃音がみられる可能性はやや高くなることが報告されています。
しかし、遺伝するからといって必ず吃音になるわけではありません。
また、家族に吃音のある人がいなくても発症することは珍しくありません。
遺伝はあくまで多くの要因の一つと考えられています。
発達との関係
吃音は2〜5歳頃に始まることが多く、この時期は言葉の発達が急速に進みます。
語彙が増え、長い文章で話せるようになる一方で、話すための脳の働きも発達の途中です。
この発達の過程で、話し方が一時的にスムーズでなくなり、吃音が現れることがあります。
そのため、幼児期の吃音は発達性吃音と呼ばれています。
ストレスだけが原因ではない
「引っ越しをしたから」
「弟や妹が生まれたから」
「幼稚園に入ったから」
など、生活環境の変化をきっかけに吃音に気づくことがあります。
しかし、これらの出来事だけが吃音の原因になるわけではありません。
ストレスや疲労によって症状が強くなることはありますが、吃音そのものを引き起こす原因ではないと考えられています。
親の育て方は原因ではない
昔は、
- 厳しく育てたから
- 甘やかしたから
- 話し方を注意しすぎたから
など、保護者が原因だと考えられることがありました。
しかし現在では、このような考え方は否定されています。
保護者が自分を責める必要はありません。
むしろ、家庭で安心して話せる環境をつくることが、子どもの支えになります。
性格が原因でもない
「恥ずかしがり屋だから吃音になる」という考え方も誤解です。
吃音は、
- 活発な子ども
- おとなしい子ども
- 社交的な大人
- 人前が苦手な大人
など、さまざまな人にみられます。
吃音があることで話すことに不安を感じるようになり、その結果として消極的に見えることはありますが、性格が原因ではありません。
原因を一つに決めることはできない
現在の考え方では、
- 脳の働き
- 遺伝的要因
- 発達
- 環境要因
などが互いに影響し合いながら吃音が生じると考えられています。
そのため、「これだけが原因」というものはありません。
一人ひとり原因や経過は異なるため、支援も個別に考えることが大切です。
まとめ
吃音は、一つの原因だけで起こるものではありません。脳の働きや遺伝的要因、発達などが複雑に関係して生じるコミュニケーション障害と考えられています。
一方で、親の育て方や本人の性格、努力不足が原因ではありません。吃音について正しい知識を持ち、本人が安心して話せる環境を整えることが、何より大切です。

