むせたときの正しい対応
「食事中にむせたらどうすればいいのでしょうか?」
「水を飲ませた方がいいですか?」
「背中をたたけばいいのでしょうか?」
嚥下障害がある方では、食事中や水分を飲んだときにむせることがあります。
突然激しく咳き込むと、家族も驚いてしまいますが、
慌てて対応すると、かえって危険になることがあります。
まず知っておきたいのは、むせること自体は、体を守るための大切な反応だということです。
この記事では、むせたときの正しい対応と、受診が必要な場合についてわかりやすく解説します。
むせるのは悪いこと?
むせるのは、食べ物や飲み物が気管へ入りそうになったときに、
咳で外へ出そうとする体の防御反応です。
つまり、むせているということは、体がしっかり反応しているともいえます。
そのため、軽いむせであれば、慌てる必要はありません。
まずは咳を続けてもらう
むせたときは、無理に止めようとせず、十分に咳をしてもらうことが大切です。
咳には、気管へ入った食べ物や飲み物を外へ出す働きがあります。
途中で咳を止めようとしたり、急いで次の動作へ移ったりしないようにしましょう。
慌てて水を飲ませない
よくある対応として、「水で流し込もう。」と考える方がいます。
しかし、これはおすすめできません。
水は流れが速いため、さらに誤嚥してしまう可能性があります。
まずは、咳が落ち着くのを待つことが大切です。
食事は一度中断する
むせた後は、そのまま食べ続けるのではなく、一度食事を中断しましょう。
呼吸が落ち着き、しっかり飲み込める状態になってから、再開することが大切です。
何度も続けてむせる場合は、その日の食事を中止し、医療機関へ相談することも検討しましょう。
姿勢を確認する
むせたときは、姿勢が崩れていないかも確認しましょう。
基本的には、少し前かがみになり、咳をしやすい姿勢をとります。
無理に上を向かせると、かえって気管へ流れ込みやすくなることがあります。
背中を強くたたいた方がいい?
軽くむせた程度であれば、背中を強くたたく必要はありません。
むしろ、本人が咳をしやすいよう見守ることが大切です。
一方、食べ物が完全に詰まり、咳も声も出ない場合は、窒息の可能性があります。
この場合は緊急事態です。
すぐに救急要請を行い、必要に応じて背部叩打法や腹部突き上げ法などの応急手当を行います。
むせた後の様子も大切
むせがおさまった後も、次のような変化がないか確認しましょう。
- 声がガラガラになる
- 咳が続く
- 息苦しそう
- 痰が増える
- 顔色が悪い
これらが続く場合は、誤嚥している可能性があります。
むせないから安心とは限らない
嚥下障害では、むせずに誤嚥する不顕性誤嚥が起こることもあります。
そのため、むせがないからといって、必ずしも安全とは言えません。
食後の声の変化や発熱などにも注意しましょう。
むせが増えてきたら相談を
以前より、
- むせる回数が増えた
- 水分で毎回むせる
- 食事時間が長くなった
などの変化があれば、嚥下機能が変化している可能性があります。
食形態やリハビリの見直しが必要になることもあるため、医師や言語聴覚士へ相談しましょう。
家族が落ち着いて対応することが大切
本人がむせると、家族も不安になります。
しかし、介助する人が慌てると、本人も焦ってしまいます。
落ち着いて、
- 咳を続けてもらう
- 食事を一度止める
- 様子を観察する
という順番で対応しましょう。
まとめ
食事中にむせたときは、咳は体を守る大切な反応です。
慌てて水を飲ませたり、無理に食事を続けたりせず、まずは咳が落ち着くまで見守りましょう。
その後、姿勢や飲み込みの状態を確認し、必要に応じて食事を再開します。
一方で、咳や声が出ない場合は窒息の可能性があり、すぐに救急要請が必要です。
また、むせが増えてきた場合や、食後に咳や発熱を繰り返す場合は、嚥下機能が変化している可能性があります。
早めに医師や言語聴覚士へ相談し、安全に食事を続けられる方法を一緒に考えていきましょう。

