飲み込みの筋肉を鍛える代表的な訓練
「飲み込みの筋肉は鍛えられますか?」
「どんな訓練があるのでしょうか?」
「自宅でもできるリハビリはありますか?」
嚥下障害では、飲み込みに関わる筋肉が弱くなったり、うまく動かなくなったりすることがあります。
そのため、嚥下リハビリでは飲み込みに必要な筋肉を鍛える訓練が行われます。
ただし、「飲み込みの筋肉」といっても、一つの筋肉だけではありません。
舌や唇、頬、のど、首など、多くの筋肉が協力して働いています。
この記事では、嚥下リハビリで行われる代表的な筋力トレーニングについてわかりやすく解説します。
なぜ筋肉を鍛える必要があるの?
飲み込みでは、
- 食べ物を口の中でまとめる
- のどへ送り込む
- 気管を閉じる
- 食道へ送る
という一連の動きが行われます。
これらには、多くの筋肉が関わっています。
病気や加齢によって筋力が低下すると、飲み込みに時間がかかったり、誤嚥しやすくなったりすることがあります。
そのため、状態に応じて筋力を維持・改善する訓練が行われます。
筋力トレーニングは全員同じではない
飲み込みにくい原因は、人によって異なります。
例えば、
- 舌の筋力が弱い方
- のどを持ち上げる力が弱い方
- 咳が弱い方
では、
必要な訓練も変わります。
そのため、言語聴覚士が評価したうえで、その人に合った訓練を選択します。
代表的な訓練① 舌の運動
舌は、食べ物をまとめてのどへ送る重要な役割があります。
代表的な訓練には、
- 舌を前へ出す
- 左右へ動かす
- 上あごへ押しつける
などがあります。
舌の筋力や動きを維持・改善することを目的としています。
代表的な訓練② シャキア訓練(頭部挙上訓練)
仰向けになり、頭だけを持ち上げる訓練です。
首の前側の筋肉を鍛え、飲み込みの際に喉頭(のどぼとけ)が持ち上がる動きを助けることを目的としています。
体への負担が大きいため、自己判断ではなく、専門家の指導のもとで行うことが大切です。
代表的な訓練③ 発声訓練
「あー」「いー」などの発声や、大きな声を出す練習を行います。
発声に使う筋肉は、飲み込みにも関係しているため、飲み込みの機能維持につながることがあります。
代表的な訓練④ 咳の練習
誤嚥したときは、咳で異物を外へ出すことが重要です。
そのため、深呼吸をした後に、強く咳をする練習を行うことがあります。
これは、誤嚥性肺炎の予防にも役立ちます。
代表的な訓練⑤ 息こらえ嚥下(声門閉鎖訓練)
飲み込む前に息を止め、飲み込んだ後に咳をする練習です。
気道をしっかり閉じる力を高めることを目的として行われることがあります。
ただし、適応が限られるため、必ず専門家の指導を受けて行います。
代表的な訓練⑥ 舌圧トレーニング
専用の器具を使って、舌で押す力を鍛える訓練です。
舌の筋力を数値で確認できるため、リハビリの効果を評価しやすいという特徴があります。
筋力だけでは改善しないこともある
飲み込みは、筋力だけで決まるわけではありません。
例えば、
- 飲み込み反射
- 感覚
- 姿勢
- 呼吸
- 注意力
なども大切です。
そのため、
筋力トレーニングだけではなく、食べ方や姿勢の練習、食形態の調整なども組み合わせて行います。
無理に鍛えればよいわけではない
筋トレというと、「たくさんやれば効果がある」と思われるかもしれません。
しかし、飲み込みの筋肉は疲れやすく、過度な訓練は逆効果になることもあります。
回数や負荷は、医師や言語聴覚士の指導に従って行いましょう。
継続することが大切
筋力トレーニングは、数日で大きな変化が出るものではありません。
毎日少しずつ継続することで、筋力や動きの維持・改善が期待できます。
無理なく続けることが、最も大切なポイントです。
まとめ
飲み込みの筋肉を鍛える代表的な訓練には、
- 舌の運動
- シャキア訓練
- 発声訓練
- 咳の練習
- 息こらえ嚥下
- 舌圧トレーニング
などがあります。
ただし、嚥下障害の原因は一人ひとり異なるため、すべての訓練が全員に適しているわけではありません。
まずは医師や言語聴覚士の評価を受け、自分に合った訓練を選ぶことが大切です。
安全に食べ続けるためにも、無理をせず、継続して取り組んでいきましょう。

