誤嚥性肺炎はなぜ繰り返すの?
「退院したばかりなのに、また誤嚥性肺炎になってしまった。」
「何度も肺炎を繰り返していて心配です。」
「一度治ったのに、なぜまた肺炎になるのでしょうか?」
誤嚥性肺炎は、一度治療を受けて回復しても、再び発症してしまうことが少なくありません。
その理由は、「肺炎だけを治療しても、誤嚥の原因が残っていることが多い」ためです。
誤嚥性肺炎を繰り返さないためには、肺炎の治療だけでなく、飲み込みの機能や口腔内の状態、生活習慣などにも目を向けることが大切です。
この記事では、誤嚥性肺炎を繰り返す理由と予防のポイントについてわかりやすく解説します。
肺炎だけが治っても原因は残っている
誤嚥性肺炎になると、抗菌薬などで肺の炎症は改善します。
しかし、
- 嚥下障害
- 不顕性誤嚥
- 咳をする力の低下
などの原因が改善していなければ、再び誤嚥が起こり、肺炎を繰り返してしまうことがあります。
つまり、誤嚥性肺炎を繰り返す背景には、多くの場合、飲み込みの問題が残っているのです。
不顕性誤嚥が続いている
誤嚥性肺炎を繰り返す方では、不顕性誤嚥が隠れていることが少なくありません。
不顕性誤嚥とは、食べ物や唾液が気管へ入っても、咳やむせがほとんど出ない状態です。
本人も気づかないうちに誤嚥を繰り返し、細菌が肺へ入ることで肺炎が再発しやすくなります。
「むせないから安心」とは言えない理由がここにあります。
口の中の細菌が多い
誤嚥性肺炎は、食べ物だけでなく、口の中の細菌が肺へ入ることで起こります。
そのため、
- 歯磨きが十分にできていない
- 入れ歯が汚れている
- 口が乾燥している
などがあると、肺炎のリスクが高くなります。
毎日の口腔ケアは、誤嚥性肺炎を予防するための基本です。
飲み込みの機能が低下している
加齢や病気によって、
- 舌やのどの筋力が低下する
- 飲み込み反射が遅れる
- 咳をする力が弱くなる
と、誤嚥しやすい状態が続きます。
さらに、食事量が減って低栄養になると筋力が落ち、飲み込みの機能も低下するという悪循環に陥ることがあります。
食事の方法が合っていない
飲み込みの状態に合わない食事も、誤嚥性肺炎を繰り返す原因になります。
例えば、
- 水分がさらさらで飲みにくい
- 一口量が多すぎる
- 食事を急いでいる
- 食事中の姿勢が悪い
などです。
退院時と現在では飲み込みの状態が変わっていることもあるため、定期的に食事内容を見直すことが大切です。
全身状態の低下も影響する
高齢者では、
- 低栄養
- 脱水
- 筋力低下
- 寝たきり
などによって体の抵抗力が弱くなることがあります。
その結果、少量の誤嚥でも肺炎を起こしやすくなります。
飲み込みだけでなく、全身の健康状態を保つことも重要です。
誤嚥性肺炎を繰り返さないためにできること
誤嚥性肺炎を予防するためには、複数の対策を組み合わせることが大切です。
飲み込みの評価を受ける
嚥下内視鏡検査(VE)や嚥下造影検査(VF)などで、現在の飲み込みの状態を確認しましょう。
症状が変化している場合は、食事方法を見直す必要があります。
口腔ケアを徹底する
歯磨きや舌の清掃、入れ歯の手入れを毎日行い、口の中を清潔に保ちましょう。
口腔ケアは、誤嚥性肺炎を予防するうえで欠かせません。
食事の工夫をする
その人に合った食形態や姿勢、一口量を選ぶことで、誤嚥のリスクを減らすことができます。
自己判断で食事を変更するのではなく、医師や言語聴覚士、管理栄養士などに相談しましょう。
リハビリを続ける
嚥下リハビリは、飲み込みの機能を維持・改善するために重要です。
また、歩行や運動などで全身の筋力を保つことも、誤嚥性肺炎の予防につながります。
家族が気づきたいサイン
次のような変化がある場合は、誤嚥性肺炎の再発に注意しましょう。
- 食後に咳や痰が増える
- 食後に声がガラガラになる
- 食欲が落ちた
- 微熱が続く
- 元気がない
- 食事時間が長くなった
「いつもと違う」と感じたら、早めに医療機関へ相談することが大切です。
まとめ
誤嚥性肺炎を繰り返す主な理由は、
- 嚥下障害が改善していない
- 不顕性誤嚥が続いている
- 口腔内の細菌が多い
- 食事方法が合っていない
- 全身状態が低下している
などが挙げられます。
肺炎だけを治療するのではなく、その背景にある原因へ目を向けることが再発予防につながります。
飲み込みの評価や口腔ケア、リハビリ、食事の工夫を続けることで、誤嚥性肺炎のリスクを減らせる可能性があります。
何度も肺炎を繰り返している場合は、一人で悩まず、医師や言語聴覚士などの専門職へ相談しましょう。

