嚥下障害と栄養・脱水の関係

「食べる量が減ってきたけれど、大丈夫でしょうか?」
「むせるので水分を控えるようになりました。」
「嚥下障害があると、栄養不足や脱水になりやすいと聞きました。」

嚥下障害があると、「飲み込みにくい」という問題だけでは終わりません。

食べる量や飲む量が減ることで、低栄養や脱水を引き起こし、さらに飲み込みの機能が低下するという悪循環に陥ることがあります。

そのため、嚥下障害では「安全に食べること」と同じくらい、「必要な栄養と水分をしっかり摂ること」が大切です。

この記事では、嚥下障害と栄養・脱水の関係についてわかりやすく解説します。


嚥下障害があると食事量が減りやすい

嚥下障害がある方は、

  • むせるのが怖い
  • 飲み込みに時間がかかる
  • 食べると疲れてしまう

といった理由から、食事量が少しずつ減ってしまうことがあります。

また、「食べるのが大変だから、少しでいい。」

と本人が食事を控えるようになることも少なくありません。

その結果、必要な栄養を十分に摂れなくなります。


水分不足にも注意

水やお茶などのさらさらした飲み物は、嚥下障害がある方にとって飲みにくいことがあります。

そのため、「むせるから水分はあまり飲まない。」

という状態になりやすく、脱水のリスクが高まります。

特に高齢者はもともと喉の渇きを感じにくくなるため、自分では気づかないうちに脱水が進んでいることもあります。


低栄養になると何が起こる?

栄養不足が続くと、体全体の筋肉が少しずつ減っていきます。

これは飲み込みに必要な筋肉も例外ではありません。

その結果、

  • 飲み込む力が弱くなる
  • むせやすくなる
  • 食事量がさらに減る

という悪循環が起こります。

また、

  • 疲れやすくなる
  • 傷が治りにくくなる
  • 感染症にかかりやすくなる

など、全身にもさまざまな影響が現れます。


脱水になるとどうなる?

脱水になると、

  • 口の中が乾燥する
  • 唾液が少なくなる
  • 食べ物をまとめにくくなる

ため、さらに飲み込みにくくなります。

また、

  • 便秘
  • 尿路感染症
  • 意識がぼんやりする
  • 血圧が下がる

など、全身の健康にも影響を及ぼします。

脱水は嚥下障害を悪化させるだけでなく、さまざまな病気の引き金にもなります。


「食べられる」と「必要な量を食べられる」は違う

「普通に食事はしています。」という方でも、実際には必要な栄養量や水分量が不足していることがあります。

例えば、

  • 食事量が半分くらいになった
  • おかずよりご飯ばかり食べている
  • 水分をほとんど飲まない

という状態では、見た目には食べていても低栄養や脱水が進んでいることがあります。

そのため、「食べているか」だけでなく、「十分な量を食べられているか」を確認することが重要です。


栄養状態が悪くなるサイン

次のような変化がある場合は、低栄養や脱水が進んでいる可能性があります。

  • 体重が減ってきた
  • 筋肉が落ちてきた
  • 疲れやすい
  • 食欲がない
  • 食事量が減った
  • 口の中が乾燥している
  • 尿の量が少ない
  • 便秘が続いている

これらのサインがみられる場合は、医療機関へ相談しましょう。


栄養と水分を保つためにできること

嚥下障害があっても、工夫次第で十分な栄養や水分を摂れる場合があります。

例えば、

  • 飲み込みやすい食形態にする
  • 必要に応じてとろみをつける
  • 高たんぱく・高エネルギーの食品を取り入れる
  • 少量ずつ回数を分けて食べる
  • 栄養補助食品を活用する

などの方法があります。

食事内容については、医師や言語聴覚士、管理栄養士と相談しながら調整すると安心です。


家族が気をつけたいポイント

ご家族は、毎日の食事の様子から多くの変化に気づくことができます。

例えば、

  • 食べる量が減っていないか
  • 水分をしっかり飲めているか
  • 体重が減っていないか
  • 食事時間が長くなっていないか

などを確認してみましょう。

「少し痩せたかな」と感じる程度でも、低栄養が始まっていることがあります。


まとめ

嚥下障害では、食べる量や飲む量が減りやすく、低栄養や脱水を起こしやすくなります。

低栄養や脱水になると、

  • 飲み込みの筋力が低下する
  • むせやすくなる
  • 誤嚥性肺炎のリスクが高まる

など、さらに嚥下障害が悪化する悪循環に陥ることがあります。

そのため、嚥下障害では「安全に飲み込めること」だけでなく、「十分な栄養と水分を摂ること」も同じくらい重要です。

食事量の減少や体重の変化がみられた場合は、早めに医療機関へ相談し、その人に合った食事や栄養管理について専門職と一緒に考えていきましょう。

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