家族には伝わるのに他の人には伝わらないのはなぜ?

子どもと家庭で話していると特に困らないのに、保育園や幼稚園の先生から発音が聞き取りにくいと言われることがあります。

祖父母や初めて会った人から、何て言っているのかわからないと言われて、初めて子どもの発音が気になったという保護者の方もいるでしょう。

家族には普通に伝わっているのに、なぜ他の人には伝わらないのでしょうか。

これは、家族が毎日子どものことばを聞くことで、その子特有の発音の特徴を理解できるようになっていることが大きく関係しています。

この記事では、家族には伝わるのに他の人には伝わりにくくなる理由や、子どもの発音を確認するときのポイント、家庭での対応についてわかりやすく解説します。

家族は子どもの発音に慣れている

家族は、毎日子どものことばを聞いています。

そのため、子どもに特徴的な発音の誤りがあっても、長い時間をかけて自然にその特徴を理解するようになります。

例えば、子どもがさ行をいつもた行として発音しているとします。

家族は普段からその発音を聞いているため、たかなと言われても、さかなのことだとすぐに理解できることがあります。

一方、初めてその子どもと話す人は、たかなという発音からさかなを推測しなければなりません。

そのため、同じ発音を聞いていても、家族とそれ以外の人では聞き取りやすさが大きく異なることがあります。

家族は子どもの発音の規則を知っている

子どもの発音の誤りには、一定の規則性がみられることがあります。

例えば、

・さ行がた行になる
・か行がた行になる
・ら行がだ行に近い音になる
・特定の音を省略する

など、その子なりの発音のパターンがみられる場合があります。

家族は意識して覚えているわけではなくても、毎日の会話を通して、この子はこの音をこう言うという規則を自然に学習しています。

そのため、多少発音が不明瞭でも、頭の中で正しいことばへ変換しながら聞くことができます。

家族にとっては普通に聞き取れるため、発音の問題そのものに気づきにくくなることもあります。

家族は何について話しているのか予測できる

会話では、発音だけを聞いて相手の話を理解しているわけではありません。

何について話しているのかという状況も、大きな手がかりになります。

例えば、子どもと動物園へ行った帰りに動物の話をしていれば、多少発音が不明瞭でも、何の動物について話しているのか推測しやすくなります。

家庭では、子どもがその日に何をしたのか、何に興味を持っているのか、誰のことを話しているのかなど、多くの情報を家族が共有しています。

そのため、発音だけでは十分に聞き取れなくても、状況から内容を補うことができます。

一方、園の先生や初対面の人などは、そのような情報を十分に持っていない場合があります。

話題を予測できない状況では、より発音そのものを頼りに内容を理解する必要があるため、伝わりにくくなります。

表情や指さしも手がかりになっている

家庭でのコミュニケーションでは、ことば以外の情報もたくさん使われています。

子どもの表情、視線、指さし、身振り、持っている物なども、何を伝えようとしているのかを理解する手がかりになります。

例えば、冷蔵庫を指さしながら不明瞭な発音で話していれば、飲み物や食べ物について話しているのではないかと推測できます。

このような手がかりがあると、発音が多少不明瞭でも会話が成立します。

反対に、電話や離れた場所からの会話など、視覚的な情報を利用できない状況では、普段より子どものことばが聞き取りにくいと感じることがあります。

家族には伝わるから問題ないとは限らない

家庭内でコミュニケーションが成立していることは、とても大切なことです。

しかし、家族に伝わっているから発音には問題がないとは限りません。

子どもは成長すると、家族以外の人と話す機会が増えていきます。

保育園や幼稚園では先生や友達、小学校ではさらに多くの人とコミュニケーションを取るようになります。

家庭では困っていなくても、社会生活の範囲が広がることで、発音による伝わりにくさが目立ってくる場合があります。

そのため、家族が理解できるかだけでなく、家族以外の人にもどの程度ことばが伝わっているのかを見ることが大切です。

園や学校で初めて発音を指摘されることもある

家庭では発音の問題に気づいていなかったものの、保育園や幼稚園へ通い始めてから先生に指摘されることがあります。

これは、家族と先生で子どもの発音に対する慣れが異なることも関係しています。

また、集団生活では家庭とは異なる条件で話す機会が増えます。

周囲が騒がしい中で話したり、みんなの前で発表したり、初めての話題について説明したりすることがあります。

このような状況では、発音が不明瞭だと内容が伝わりにくくなることがあります。

先生から発音について指摘された場合には、家庭では問題ないからと考えるだけでなく、園ではどのような場面で伝わりにくいのかを聞いてみるとよいでしょう。

家族以外にどの程度伝わるかを確認する

子どもの発音が気になる場合には、家族以外の人との会話にも注目してみましょう。

例えば、次のような様子を確認します。

・園や学校の先生に話が伝わっているか
・友達との会話が成立しているか
・祖父母や親戚にことばが伝わるか
・初めて会った人にも話が伝わるか
・何度も聞き返されていないか
・子どもが言い直すことが多くないか
・伝わらないときに子どもが困っていないか
・発音を理由に話すことを避けていないか

発音そのものだけでなく、実際のコミュニケーションにどの程度影響しているのかを見ることが重要です。

どのくらい聞き取れるかには年齢も関係する

小さな子どもの発音が大人より不明瞭なのは珍しいことではありません。

子どもは成長しながら少しずつさまざまな音を獲得していくため、幼児期にはまだ正しく言えない音があります。

そのため、家族以外の人に伝わりにくいからといって、必ず構音障害があるわけではありません。

年齢が上がり発音が発達するにつれて、家族以外の人にも伝わりやすくなっていくことがあります。

一方で、年齢が上がっても会話全体がかなり聞き取りにくい場合や、特定の発音の誤りが長く続いている場合には、一度専門家へ相談する方法があります。

発音だけでなくことば全体を見ることも大切

家族以外の人に話が伝わりにくい場合、必ずしも構音だけが原因とは限りません。

使えることばが少なかったり、文を組み立てることが難しかったりすると、聞き手が話の内容を推測しにくくなります。

また、話の順序を整理して相手へ説明することが難しい場合にも、何を伝えようとしているのかわかりにくくなることがあります。

発音は比較的明瞭でも、ことばの発達やコミュニケーションの特徴によって話が伝わりにくくなることもあります。

そのため、子どもの話が伝わりにくい場合には、発音だけではなく、語彙、文、会話などことば全体の発達を見ることも大切です。

家族が通訳しすぎないことも大切

子どものことばが他の人に伝わらないと、保護者がすぐに代わりに説明したくなることがあります。

子どもが困っている場合には、もちろん助けることも必要です。

一方で、いつも大人が先回りして通訳してしまうと、子ども自身が相手に伝える機会が少なくなってしまいます。

子どもがもう一度言ってみたり、指さしや身振りを使ったり、別のことばで説明したりする時間を少し待つことも大切です。

それでも伝わらず困っている場合には、大人が自然に補助するとよいでしょう。

発音が完璧でなくても、自分のことばで相手に伝わったという経験は、コミュニケーションへの自信にもつながります。

発音を何度も言い直させる必要はない

他の人に伝わらない場面が増えると、家庭で発音を直さなければならないと考えることがあります。

しかし、発音を間違えるたびに言い直させることはおすすめできません。

正しい音の作り方をまだ身につけていない場合には、何度繰り返しても正しく発音できないことがあります。

また、話すたびに発音を指摘されると、子どもが会話そのものを嫌がるようになる可能性もあります。

普段の会話では、発音の正しさよりも子どもが何を伝えようとしているのかを大切にしましょう。

発音の練習が必要な場合には、子どもの状態を確認しながら適切な方法で進めていきます。

専門家への相談を考える目安

家族には伝わっていても、次のような様子がみられる場合には、言語聴覚士などの専門家への相談を検討してもよいでしょう。

・家族以外の人にはかなり伝わりにくい
・園や学校の先生から発音について指摘された
・友達から何度も聞き返されている
・複数の音に発音の誤りがある
・特定の発音の誤りが長く続いている
・本人が発音を気にしている
・人前で話すことを避けるようになった
・就学を控えて発音が気になっている
・発音以外のことばの発達も気になる

相談したからといって、必ず構音訓練を始めるわけではありません。

現在の発音が発達途中として考えられるのか、練習を検討したほうがよいのかを確認することができます。

まとめ

子どものことばが家族には伝わるのに他の人には伝わらないのは、家族がその子特有の発音に慣れていることが大きく関係しています。

家族は発音の誤り方だけでなく、子どもの興味やその日の出来事なども知っているため、状況から話の内容を推測できます。

表情や指さしなど、ことば以外の情報も理解を助けています。

そのため、家庭では問題なく会話できていても、園や学校などでは話が伝わりにくいことがあります。

子どもの発音を考えるときには、家族が理解できるかだけではなく、家族以外の人にもどの程度伝わるのかを見ることが大切です。

他の人に伝わりにくい状態が続いている場合や、本人が発音を気にしている場合には、言語聴覚士などの専門家へ相談することも検討しましょう。

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