聞こえにくい方への聞き取りやすい話し方・伝え方のコツ
「何度も聞き返されてしまいます。」
「大きな声で話しているのに、うまく伝わりません。」
家族や友人に聞こえにくさがあると、「もっと大きな声で話した方がいいのかな?」と思う方も多いのではないでしょうか。
しかし、聞き取りやすい会話は、大きな声だけで決まるわけではありません。
話し方や伝え方を少し工夫するだけで、会話がぐっとスムーズになることがあります。
この記事では、聞こえにくい方に伝わりやすい話し方・伝え方のコツについて、言語聴覚士がわかりやすく解説します。
まず相手の注意を引く
突然話し始めると、相手が会話の準備をできていないことがあります。
そのため、
- 名前を呼ぶ
- 軽く肩をたたく(相手との関係性や状況に配慮して行う)
- 目を合わせる
などをしてから話し始めると、聞き取りやすくなります。
顔を見ながら話す
聞こえにくい方は、耳からの情報だけでなく、口の動きや表情も参考にしながら会話を理解しています。
そのため、
- 顔を相手に向ける
- 口元を隠さない
- 十分な明るさを確保する
ことが大切です。
マスクを着けていると口元が見えにくくなるため、必要に応じて筆談や音声認識アプリなども活用するとよいでしょう。
ゆっくり、はっきり話す
早口になると、言葉の区切りが分かりにくくなります。
一方で、極端にゆっくり話し過ぎたり、一音ずつ区切って話したりすると、かえって理解しづらくなることもあります。
普段より少しゆっくり、はっきり発音することを意識すると伝わりやすくなります。
必要以上に大声を出さない
聞こえにくい方に対して、大声で話せばよいと思われがちです。
しかし、必要以上に大きな声は、音がゆがんで聞こえたり、不快に感じたりすることがあります。
また、補聴器を使用している場合は、過度に大きな声がかえって聞き取りにくくなることもあります。
相手の反応を見ながら、自然な大きさの声ではっきり話すことを心がけましょう。
短く区切って話す
長い説明を一度にすると、内容を理解するのが難しくなることがあります。
例えば、「今日は病院へ行って、そのあと薬局に寄って、帰りにスーパーで買い物をしてきてね。」ではなく、
「今日は病院へ行きます。」「そのあと薬局へ行きます。」「帰りにスーパーへ寄ります。」というように内容を区切って伝えると理解しやすくなります。
言い換えも効果的
聞き取れなかったときは、同じ言葉を繰り返すだけでは伝わらないことがあります。
そのような場合は、別の言い方に言い換えてみましょう。
例えば、「受診します。」ではなく、「病院へ行きます。」というように、より身近な表現へ言い換えることで理解しやすくなることがあります。
静かな場所で話す
テレビや音楽、周囲の話し声などがあると、会話が聞き取りにくくなります。
できるだけ、
- テレビを消す
- 静かな部屋へ移動する
- レストランでは比較的静かな席を選ぶ
など、
周囲の音を減らす工夫も大切です。
身振りや文字も活用する
話すだけでなく、
- 指差し
- 身振り
- メモ
- スマートフォンの文字入力
- 音声認識アプリ
などを組み合わせることで、より伝わりやすくなります。
複数の方法を組み合わせることは、決して特別なことではありません。
「聞こえたかな?」と確認する
話した後は、相手が理解できたかを確認しましょう。
例えば、「大丈夫?」ではなく、「何時に出発する予定だった?」など、具体的に確認すると、お互いの認識のずれに気付きやすくなります。
本人に合った方法を見つけよう
聞こえにくさの程度や原因は人それぞれです。
そのため、
- 少しゆっくり話す方が聞きやすい人
- 正面から話すと理解しやすい人
- 筆談があると安心できる人
など、
聞き取りやすい方法は異なります。
一人ひとりに合った伝え方を一緒に見つけていくことが大切です。
言語聴覚士に相談しよう
聞き取りにくさで困っている場合は、言語聴覚士(ST)へ相談することもおすすめです。
聞こえの状態や生活環境を確認しながら、本人やご家族に合ったコミュニケーション方法を提案することができます。
「どう話せば伝わりやすいのか」を知ることは、毎日の生活をより快適にする第一歩になります。
まとめ
聞き取りやすい話し方・伝え方では、大きな声を出すことよりも、顔を見ながら話すことや、少しゆっくり・はっきり話すこと、短く区切って伝えることが大切です。
また、静かな環境を選んだり、身振りや筆談を組み合わせたりすることで、よりスムーズなコミュニケーションにつながります。
聞こえ方は一人ひとり異なります。相手に合った伝え方を工夫しながら、お互いが安心して会話を楽しめる環境をつくっていきましょう。

